第4話 幼馴染で親友はアイドル騎士vtuber
ライブスターズという事務所所属のアイドルライバーであることが分かったが、私の知る範囲ではそんな事務所を聞いたことがない。
もしや騙されているのでは?と思い調べてみる。
「ライブスターズプロダクション(以下ライブスターズ)は、現在設立6年目であり、総勢72名のバーチャルUtuber(以下vtuber)が所属している。個人vtuberであった りくのかね をスカウトし0期生とした後、1期生〜6期生までをオーディションとスカウトでデビューさせている。英語圏在住のライブスターズENなどもおり、チャンネル登録者数100万人を越えた証である金の矛を手に入れた数は全vtuberグループ最多である。ライブスターズはアイドル事務所であるが、各々他の役職を持っていることもある。」
ほうほう、なるほど、バーチャルUtuberを vtuberと呼び、その中でも最大手のアイドルvtuber事務所にあたるのがライブスターズという訳か。
私は改めて優里のチャンネル概要欄を見る。
「virtualアイドルグループ livestars三期生 騎士」
このvtuber事務所の三期生であり、アイドルをしながら騎士もこなしているのだろう。大忙しだ。
七期生までいる中での三期生ということはグループ内では中堅扱いなのだろうか?
もう一度登録者数を見る。
「ひゃ、ひゃくごじゅ…!?」
気軽な気持ちで見たが、凄い人気みたいだ。
確かに100万人を超えるvtuberが多いと聞いていたからよく考えると可能性は高かったけれど。
それに金の矛?みたいなやつも優里のあの部屋に飾られていたような…。
一瞬入室しただけなので詳しく覚えていないが、結構雑に置かれていたような気がする。大事なものならもう少し丁寧に飾りなよ。
とにかく変な事務所ではなさそうだし、優里のプリンセス・ナイトさんのようなキャラクターを駆使したvtuberという配信スタイルがあるということを今知ったので、せっかくならこれからもっと詳しくなりたいところだ。
手始めに過去のプリンセス・ナイトさんの配信を出来るだけ見てみようと思う。明日から土曜日で大学も休みだ。時間ならいくらでもある。
今日の予定も終わっていない中で明日の予定を決める。
次のスケジュールがすでに決まっているという感覚は、アイドルをやっていた時以来だ。
そういえば三期生の優里はいつデビューしたんだろう?
プリンセス・ナイトさんのチャンネル概要欄から一番古いライブ配信を見つける。
四年前、となっていた。
時期的に、私のアイドル時代と重なる。ちょうど高校に入学したくらいだろうか?
つまり、私の知らないところで優里もアイドルとして頑張っていたということだ。
「なんで黙ってたんだろう...?」
考えても理由は分からない。しいて挙げるなら恥ずかしかったから、だろうか。
アイドルを恥ずかしいなんて言ったら私が怒ると思っていまだに言えていないのかもしれない。
他に思い当たることもないし、勝手に納得しておく。
そうこうしているうちにライブ配信が終了したのか優里からメッセージが来ている。
「ん、今着いたよ。インターホン押すね、と。送信」
約束通りの20時だ。私にとってはここからも楽しい時間だが、優里の、いやプリンセス・ナイトさんのファンからしたら推しとの時間を邪魔するやつ、などと思われているかもしれない。
心の中で「ごめんね」と手を合わせておく。
インターホンを押し、優里の声と共にオートロックが開く。もう一度繰り返した後、エレベーターに乗る。
先ほど乗ったばかりのエレベーターなのに、なんだか別のエレベーターに乗っているかのような気持ちだ。
理由は一つ。
「プリンセス・ナイト…直訳で姫・騎士…姫野京香と岸宮優里…いやいやまさかね」
もしそうだとしたら恥ずかしいけどちょっと嬉しいかもなぁ、なんて考える。
そうだ、買ってきた飲み物とかぬるくなってないと良いけど。
結局その後、ホラーが苦手な優里の反応を目一杯堪能させてもらいながらも、配信で言っていたボディータッチとか来るのかなぁ、と思っていたら全くなかった。やっぱりあれは配信用なのだと納得して帰ろうとした時、不意に腕を掴まれる。
「きょ、今日泊まって行きなよ。もう遅いし…明日土曜だし…」
あくまでも平静を装いながら提案してくる優里の顔は真っ赤である。
一世一代の告白かな?と思ったけれど、純粋に考えてホラーを見た後の怖いから一緒に寝よっていうやつだろう。
明日はプリンセス・ナイト...長いからナイトさんでいいや。ナイトさんの過去配信を見まくる予定だったんだけど、まぁいいや。過去のナイトさんより目の前の優里。当然だよね。
まだまだ長い夜は続いていく。
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