第15話 彼女の独白


―歩の部屋(後編)― 


意外にも、想像していたTHE女子のお部屋とは違い、シンプルな部屋だった。


しかも、いい匂いがする。


俺が何回か鼻をすすっているとまた足を踏んできた。


隆之「いてぇっ」


美咲「ごめん、足が滑って」 漫才か!そう思った。滑っても足は踏まないだろというツッコミはやめておいた。


美咲「ごめんね、急に押しかけて」


歩「..驚いたけど ..それで今日は何しに来たの?」


隆之「率直に言う、話をしに来た」


歩「!?」


美咲「本音であゆみと話したい」


歩「...私はどうしていいかわからないの みさきも傷つけて..」


美咲「あゆみは、私のこと嫌い?」


歩「嫌いじゃないよ!!嫌いになんかなれない!」


美咲「じゃあ、もう仲直りじゃん」


歩「...ほんとにごめんなさいっ!!」歩が美咲に抱き着く


美咲「よしよし あゆみは頑張ったよ ほんとに頑張った」歩の頭をなでながらそう言った。


歩「..........っ......く...」歩は、今までの悩みを吐くかのように泣いていた。美咲の胸で泣いていた。


美咲「ほら、可愛い顔が台無しだよ」そう言ってハンカチを渡した。涙を拭う歩。


歩「たかゆき ちょっとあっち見てて!」ドアの方を指しながら言われた。


美咲「鼻水出てるよ(笑)」


歩「ちょっと声に出さないといてよ!(笑)」


隆之「笑」


歩「たかゆき むかつく!(笑)」


美咲「ほんとね(笑)」俺たちは、長いこと笑っていた。



そして、雨は止み始めた。





歩「笑ってたら悩んでたことがふっとんじゃった(笑)」


美咲「...そうだね でも私たちは話さないといけないと思う」


歩「何について…?」


美咲「今、あゆみの抱えているもの」


歩「!?」


隆之「俺らに話してくれないか 俺に話せないことあるならその時は席を外すからさ」


歩「うん... 分かった 話す」


美咲「ありがとう」


歩「まず、2人はもう気づいてるかもしれないけどいつきにその...」言葉を詰まらせていた。


隆之「...そのことは聞いているから大丈夫だよ」


歩「そう..なんだね.. うん 告白をされて いつきのことは大事だけどそうじゃないから でも、この仲のいい今の好きなクラスでいたいから どうすればいいのかわからなくて」


美咲「うん その気持ちわかるよ」


歩「でも、いつきは答えを欲しがっていて、どうすればいいと思う?みんな」


隆之「...あいつは、告白する時真剣だった 


         本気で考えていた 悩んでいた 


         緊張していた かっこよかった


 だから、どんな言葉をあゆみが返したとしてもそれを受け入れる あいつはそれで今の関係がなくなるようなやつじゃない それは、俺が保証する 絶対だ」



歩「......私もその気持ちに真剣に応えないといけないんだね」


隆之「あぁ」


歩「うん 次に会ったときに返事する」


美咲「それとね これはたかゆきにも言っていないんだけど」


隆之「?」


美咲「私 今日たかゆきが先生のところに話しに行った時、言ったんだクラスのみんなに 今、歩は大変危険な状態だからこれ以上私の親友を傷つけんな!って」


歩「えっ...みさきそんなこと言って大丈夫なの..何かされてない?」


美咲「大丈夫だよ みんな意外に私の言葉効いたみたいだったよ」


隆之「...」普段しっかりしてて、品があって、冷静な美咲がそんなことを言ったら、通常の美咲を知る人であるほど事の重大さに気づくだろうなそう思った。


歩「ごめんね、怖い思いさせて…」


美咲「大丈夫だよ よしよし」そう言ってまた、歩の頭を撫でた。


歩「じゃあ、私も頑張って言う」


隆之「何をだ?」


歩「たかゆきに謝りたいことがあるの」


隆之「謝る?」身に覚えがなかった。


歩「そのね 私色々あってどうしていいかほんとに分からなかった その時たかゆきに私は逃げていたの.. たかゆきは優しいから、このことから目を逸らせれるってそのために隆之に頼っていた ほんとにごめんなさい..」


隆之「そんなもん 俺がいつ迷惑で辛いって言った? あゆみ が悩んでてその近くにいながらも 一緒に悩めないことが 俺は辛いよ!」


歩「!?」

美咲「!?」


俺は、とんだ馬鹿野郎だと思った。“あゆみ“って言えるじゃなぇか。


ほんと馬鹿だ。


俺が馬鹿だったからだ。


こんな子を困らせて馬鹿野郎だ。


歩「...ごめん、ここからは、みさきと2人で話したい..」


隆之「分かった みさき、帰る時は一人なんだから親を呼べよな あゆみ、今まで悩ませてごめんな また、学校来いよ じゃあ帰るわ」そう言って歩の部屋のドアを出た。


そして、俺は、階段を降り、リビングにいた歩のお母さんに帰ることを伝えた。


隆之「すみません お騒がせして では、もう帰ります」


歩のお母さん「ありがとうね 隆之君 今度は、歩と3人でお話ししましょうね」


隆之「っ、考えときます…」


歩のお母さん「ふ ふ 気をつけて帰ってね 隆之君」


隆之「はい、お邪魔しました」


そうして、俺はすっかり夕方になっていることに驚いたが、きれいな夕日を目にし、俺は走っていた。

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