第2話 昼食

小説の世界には稀に見る再会しても何を話せばいいか分からない現象、それには、様々な理由があり単なる照れ隠しという事もある。実際、俺はその状況下にある入学式から1週間酒井とは全然話せていない。

入学式から1週間が過ぎ普通に授業が始まり正直、慣れてきた。高校1年というのは中学で習った事を復習そして深く解説される。だから、始まりの方は正直勉強をしなくてもなんとかなるのだ。

そんな事よりも、今は酒井の事が問題である。俺の初こ、、、友人の酒井とは連絡先は交換しているのだが特に連絡することもなく普通に時間が経ってしまっている。俺から話しかけるべきなのだろうか?でも、少し恥ずかしく感じる。とにかくこれから先どうすればいいのだろうか、、、。

あっという間に午前授業が終わり春休みとなった。俺は弁当を取り出していると俺の前に酒井が来た。

酒井「ねぇ、暁斗くん、、、一緒にお昼食べない?」

酒井の顔が赤いところを見るに勇気を出して声をかけてくれた。それはとても嬉しかった。しかし、同時に俺は恥ずかしかった。自分の勇気の無さに俺は感情を抑えつつ弁当を持って酒井と一緒に教室を出た。

友達と一緒に弁当を食べる場所、、、俺の中では部室や屋上が多いイメージがある。どこで食べようか悩んでいると

酒井「ねえ、屋上行ってみない?」

さっきの赤い顔の酒井とは違い、笑顔で俺に接してくれる酒井。

信田「そうだな、行ってみるか、、、」

俺は酒井に連れられるがまま屋上に向かった。


しかし、現実は甘くなかった。

酒井「立ち入り禁止だって」

そう小説やアニメなどでよく使われるであろう屋上。だが、実際には立ち入り禁止という紙が貼られている。

どうしようか、物凄く気まずい

酒井「どうしよう、どうしよう」

酒井も慌ててしまっている。俺の方を涙目で見てくる。

信田「じゃあ、ここで食べようか」

酒井「えっ?」

俺の提案が意外だったのか目を丸くしている。

信田「だって、開いてないんだろ?」

誰も屋上が開いていない事を知らなかったんだ。なら、誰も悪くない。

信田「それに、、、」

酒井「それに?」

俺は笑顔で

信田「俺は酒井とご飯が食べられれば何処でもいいさ」

酒井に言い放った。酒井は固まった。そして、ボンという音で顔が赤くなった。

そんな酒井を横に俺は階段に腰を下ろし、弁当を開けた。

信田「酒井、さっさと食べるぞ」

ずっと俯き固まっている酒井を現実に戻し横に座らした。酒井も弁当を開け俺はチラリと弁当を見た。中には卵サンドが入っていた。酒井は卵サンドをとりウサギのように食べ始めた。こんな時の会話って、、、

信田「美味しそうだな、卵サンド」

このぐらいだろうか?すると酒井は

酒井「食べる?」

と俺に聞いてきた。俺は少し悩んだが貰うことにした。そして、それを頬張った。見た目はシンプルな卵サンドだがパンと卵の甘みが絶妙である。

信田「美味しかったぞ」

そんな俺の言葉を聞き酒井は

酒井「それはよかった」

と嬉しそうに笑った。そして俺は

信田「貰うだけじゃ悪いから。なんか食べたいものあるか?」

と俺の弁当を見せた。まぁ、俺が作ったものだから別に欲しく無いだろうが。すると

酒井「タコさんウィンナー」

と少し恥ずかしそうに言った。よかった食べたいと思えるものがあって。俺は箸でウィンナーをつまみ酒井の弁当に入れようとしたが箸がなかったので

信田「酒井口を開けろ」

と言い、口を開けたところにウィンナーを放り込んだ。酒井はほっぺを押さえ

酒井「暖かい」

と言った。

そんな楽しい時間もあっという間に過ぎ俺たちはご飯を食べ終わった。そして、

信田「酒井、また一緒に食べような」

と簡単な約束をし俺たちは教室へ戻った。

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