君に恋したその日から

ニガムシ

第1話 入学式

小説において入学式とは様々な書き方がある。新しい春がやってきた。や 今日は高校の入学式だ。など例外としては学校に行く途中古い考えかもしれないが角でパンを咥えた少女とぶつかる、学校に入ってきて早々誰かに一目惚れするなどがある。

何が言いたいかと言うと、こんな夢物語は絶対と言っていい程起きない。何故なら俺は何事もなくこうして入学式を終えたからである。

俺は入学式を終えて教室に案内された。教室では少し体が引き締まっている女性が教卓に立っていた。

野口「えー、このクラスの担任になった野口 千草(のぐち ちぐさ)だ。よろしく頼む。早速だが、全員には自己紹介をしてもらう」

と言い番号が最初の人を指名した

自己紹介を聞いているがやはり様々な人間がいる元気な奴やヤンキーのような奴。

酒井「さ、酒井 加奈(さかい かな)です、、、、。よ、よろしくおねがいします」

小さな声で自己紹介をした。小柄な女の子、、、人見知りなのか殆ど自己紹介の内容が聞こえなかった。そして、ついに俺の番がやってきた。

信田「信田暁斗(しのだ あきと)だ。趣味は読書、よろしく頼む」

意外と自己紹介と言うものは緊張するものだ、全く内容が思い浮かばなかった。小柄な、、、酒井の肩がはねた気がするが気のせいだろう。そんなこんなで、自己紹介の時間がどんどん過ぎていった。

自己紹介が終わりあっという間に帰宅の時間となった。帰りも孤独、やはり入学式では好きな人が出来たりするものではないなと帰路についた。明日からはきっと本が友達になってるだろう。その時、後ろから服の裾を引っ張られた。俺は何事かと後ろを振り向くと小柄な、、、酒井が服を引っ張っていた。

信田「えっと、、、何かようかな?」

俺は少し困惑しながら聞くと、酒井はキョトンとした顔で

酒井「覚えて、ない、の?」

と途切れ途切れで言ってきた。

髪が目を隠し眼鏡をかけていてよく見ると可愛い顔立ちをしている子なんて俺の知っている人の中にはいなかったような気がする。

酒井「そっか、、、人違いだった、んだ。ごめんね、気にしないで」

何処か悲しげな言葉を残しその場を去っていった。彼女は本当に誰だったんだろう?俺の記憶には彼女のような、、、。いや、1人思いだした。あの子は、、、。


私は孤独に自分の家への道を歩いていた。懐かしい人に会えたから勇気を出して声をかけてみたが覚えてなかったようだ。それは、そうだ。5年も前のことだから、、、。何故だろう何故こんなにも胸が痛むのだろうか?別にいいではないか私が勝手に覚えていはだけなのだから、忘れてしまえばいいのだ。そう考え下を向いて歩いていると後ろから私を止める声が聞こえた。


俺は走りようやく酒井の後ろ姿が見えた。俺は一生懸命叫び酒井を止めた。酒井もこちらに気づき振り向いた。

酒井「何?」

その声は少し怒りと悲しみが半々で混ざっているように聞こえる。

信田「お前、、、」

そう、ようやく思い出せた。俺が1番こいつのことをわかっていたじゃないかと。

信田「図書委員の酒井か?」

そう、小学生の頃にずっと一緒にいた。ずっと図書室で隣にいた。ずっと好きな本の話をしていた。あの酒井だ。すると、酒井はこちらへ走ってきて、俺の方は飛び込んできた。

酒井「そうだよ、ようやく思い出してくれたんだね。暁斗くん」

小学生の頃に読んでくれた呼び方で久しぶりに会えた友人、、、いや寂しすぎて忘れようとしていた俺の初恋の人。

さて、最初にあんなふうに言ってしまった、ありえない夢物語だと。なので、言い換えよう、これは俺の小説のように出会い恋をする正真正銘の夢のような物語である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る