第51話 怨霊2

それから、しばらく

「それで、残っている人は、ここにいる人だけなんですか?」

そう僕が言うと、


「貴様……よくタコ殴りにされた後にそんな風に普通に話せるな。」

そうバレットさんは呆れ顔で呟いていた。

僕はルナを急に投げたせいでルナから、攻撃を食らった。


「まあ、殴られたのは、僕が悪いのでそれに、ダメージはないので、そんなことより、6人しか逃げきれた人いないんですか?」


「まあ、私も徹にもう怒ってませんしね。」

ルナも普通に戻っていた。でも生き残ってる人数は少ない気がする。いや、こんなものなのか?


この場にいたのは、僕とルナ。それにバレットさんはアインさんと前に僕と戦った双子の兄弟。双子は、ケガは治っていないようだ。


「あと2人はいますね。それ以外は分からないですね。連絡手段とかもないですし。」

アインさんはそう言った。あと2人いるとは?何処にいるんだ?それが分かっていてどうして合流してないんだ?何か理由があるのか?少し聞きづらい空気があった。


「誰ですか?」

ルナが空気を読まずに聞いてくれたありがとう。


「ああ、えっと牢屋にいる前の族長とその息子です。」

あっなるほど。ここで開放するのは得策じゃないことは間違えなかった。


「とりあえず、6人ってことですね。それじゃあ、どうやってクロモヤと謎の怪物を倒すか話し合いでもしましょうか?」


「「そんなの無理に決まっている、いなかったからそんなことを言えるんだ。お前は」」

双子は息ぴったりだった。でも、無理とかじゃなくてどうにかしないといけないのである。てか、まああのドラゴンよりは、ダンジョンのドラゴンよりは楽だろう。


「徹、4人でやるしかないらしいですよ。どうしましょうか?距離があれば私はあのクロモヤを元の人間に戻せますけど、でも周りからすぐにクロモヤを供給されますからね。」

ルナはナチュラルに二人を省いて話を進めるらしい。まあ、僕もそうしようとしてたし。


「ルナ、その、クロモヤって無限なんですか?」

クロモヤをルナが元に戻し続けたら、そのうちクロモヤの力が尽きるのではないか?


「それはですね、徹。半無限って感じですね。多分私の魔力が無くなるほうが先ですね。これは私の見立てで予想ですけど、クロモヤを纏った人物を経由して本体からクロモヤを全員に供給し続けてるん感じなのかなって」

なるほど、じゃあ、ゴリ押しでどうにかなるものではないと。


「じゃあ、例えば誰かが本体と戦って削ればどうですか?」

そう僕が言うとルナは


「それなら、少しずつ、クロモヤから人を取り戻せると思いますよ。じゃあ、徹が本体と戦いに行って、私がクロモヤをここらへんで浄化するって作戦ですか?危ないですよ、徹。そしたら、本体の所に出来れば私も一緒に行きたいんですけど。」

ルナはそういった。いや、


「ルナが一緒に行ったら誰がクロモヤを元に戻すんですか?大丈夫ですよ。ちゃんと戻ってくるので、約束しますから。もし戻って来なければ迎えに来てください。」

何か死亡フラグを立ててしまったが、死亡フラグなんてへし折れば良いのだそれが僕に出来るか分からないが。


「………じゃあ、それで行きましょう。」

ルナは少し心配そうにこっちを見ていたが、まあ心配をかけないように頑張るしかないかな。


「それで、そこの諦めた双子以外の他の二人はどうしますか?」


そう僕が言うとバレットさんはこっちを見て

「私も行く。本体の所に私も行く。文句は言うなよ。寺坂 徹。」

…………まあ、そんな覚悟の決まった真剣な顔をした人物を止める理由など言葉など僕には思いつかなかった。


「私はルナさんの手助けをします。」

4人か、まあどうにかなるだろう。クロモヤの本体までたどりつけば。


「ルナ、クロモヤの本体がどこにいるとか分かりますか?」

ルナは首を傾げながら


「まあ、大体なら分かりますよ。」

なるほど、それなら


「僕を魔法で、魔法の衝撃か何かでそこら辺に飛ばして、ああ、これだとバレットさんが無理ですね…………バレットさんはクロモヤの本体に行くの諦めたりしてくれません?」


「おい、貴様。私は絶対に行く、それに魔法?とかいうスキルで飛ぶよりも、ハイとローのスキルで飛ぶほうが確実だ。」


「魔法は魔法です。」

ルナがそんな風に言っていたが、そんなことより、ハイとローって誰?


「「団長…………分かりました。でも、飛ばすことは出来ても、距離が遠すぎるのでクロモヤの本体が、遠ければこちらから呼び戻すのは無理ですよ。」」

ハイとローは双子の名前らしい。


「分かっている、貴様も大丈夫だよな。」

そうバレットさんが言った。まあ、僕は大丈夫だけど。


「じゃあ、それで行きましょうか。」

そう答えると双子は、ルナから本体のだいたいの場所を尋ねるとそこらあたりに弓矢を二本飛ばした。それから、僕とバレットさんに触れた。


「「帰りは自力ですからね。」」

そう双子が再度確認したのに、僕とバレットさんは無言で頷いた。


「じゃあ、徹。気を付けて行ってきてくださいね。」


そんなルナに

「そっちこそ、気を付けて」

そう言い返した。





それとほとんど同時に僕の体は森の中にいた。近くにはバレットさんもいて、どうやら森までたどり着いたらしい。辺りには、とりあえず、パッと見た感じクロモヤの本体はいなかった。




「さて、本体を探すか。」

そう僕が呟いたときに、突然、目の前に異形の人型の何かが現れた。

それには、少し見覚えがあった。完全に同じではないと思うが、それは、僕がダンジョンに飛ばされる直前にみた、委員会のスキルで変貌した月野と似ている生物だった。なんで、なんでここに。僕の動きが固まった。


「貴様、何をボーっとしている。クロモヤの本体の前にこいつを片付けるぞ。」

その声で少し我に戻ったが、それでも動揺を隠せずに手が震えてしまっていた。

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