第18話 エルフと訓練の終わり

ダンジョンに来て訓練を始めて4ヶ月が立った。身体能力は引き出せるようになった。ただ

「徹、何で、毎回毎回壁に激突するわけ?」


力を上手くコントロールできなかった。

「上手く止まれないです。身体を上手にコントロール出来ないんですね。ルナ、ルナお姉さん…」

ルナさんと出会って、4ヶ月が過ぎて、それで僕は、ほぼ訓練とスキルの本を読んでいる生活だったが、それなりに仲良くなった。強いて言うなら、ルナさんに僕の年齢を言うとルナお姉さん呼びを強要してきた。それを拒否すると、1試合勝負をして私が勝ったら呼んでくださいって言われて、まあ結果はお察しである。


「それなら習うより慣れよですね。」

ルナさんはニッコリ笑った。ルナさんと言う人物は力加減が下手である。まるで超人以外と会った事がないようだ。割とえげつない事を悪意なくしてくる、そう言う傾向がある。まあだからその笑顔は怖かった。


すると僕の周りに土で作られたゴーレムが2体出現した。

「これと戦えって事ですか?」


「察しが良いですね。徹。動きは単調ですけど、でも動く練習だったら大丈夫ですよね。」

ルナさんのその言葉と共にそれは動いた。


両方から土の拳が飛んできた。

避けるために上に飛ぶぞ、加減を持って飛ぶぞ。

気が付けば、空中にいた、ゴーレムよりも圧倒的に高い位置にいた。それでゴーレムを落ちる勢いで1体倒した。どうやら僕自身の強さは上がったらしい。


「飛び過ぎだよ徹。そうですね。これでどうですか?」


気が付けば、周りに土の壁が現れた。数10メール立方の空間に閉じ込められていた。出口は無かった。


「何ですか?これ。」


「その壁は一定の決まった力を加えると壊れるから。それが出来たら力をコントロール出来たって確認出来るでしょ。ゴーレムもちゃんと無限に再生出来る様に魔法をかけたから。」

なるほど、これはやばいぞ。出れないぞ。




それから10日が過ぎた。

「絶対にルナの野郎許さない。」

この場所から出れ無かった。力のコントロールはある程度出来るようになった。ある程度である。身体能力を意図的に出力を60%〜70%に調整出来る様になった。でもこの壁を破壊するには、例えばピッタし72%の出力で殴らないといけない。そこまでの調整は多分無理だし、必要かどうかも怪しい。


ゴーレムの方は面倒なので再生しないけど動けない程度破壊する事で動きを止めたので(まあ約1日かかったが)ゆっくりここから出る方法は考える事が出来た。


「殴り続けるのが手っ取り早いのか。」

そんな風に独り言を言って見たが、まあそれをする気はあまり起きなかった。既に試した方法だし。さてどうしたものか。











特訓開始から半年が経過した。

「ルナ…ルナお姉さん…お久しぶりです。」


周りには粉々になった土壁があった。


「久しぶりですね。時間かかりましたね。でもその間にダンジョン攻略の準備はしました。」

ルナさんはそうニッコリ笑った。いくら美人でも許せる事許せない事がある。


「謝れよ、てめえ、謝れよ。ルナ。ふざけんなよ。大体2ヶ月、閉じこめやがって、マジで無駄に身体操作が上手くなってしまったぞ。ふざけんなよ。」


「…私は400年ぐらいここに閉じこめられてますよ。」

うわぁ、なんも言えない。てか僕が悪者の様になってるじゃん。


「…ごめんな…いや、僕にしていい理由にはならないですよね。」

危なかった。


「さて、ダンジョンの話をしましょう徹。」

ルナさんはどうやら押し通すらしい。


「……はい、それでダンジョンをどうやって攻略するかとかですか?」

そう言うとルナさんはニコッと笑った。


「そう言うのは私には出来ないので、ひとまず共有すべき情報を集めました。」

どうやら脳筋さんだったらしいルナさんは。まあ知っていた。と言うかルナさんは多分割とゴリ押しで何とかなるのだろう。でも意外な事にダンジョンの事を冊子に本にまとめていた。


「本ですか?作ったんですか?」

暇らしい。


「だって、徹、よく本を読んでるから読む方が楽かなって」

優しさであった。

それじゃあ、とりあえず読みますよ。

タイトルは『よく分かるダンジョンの構造』か。

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