第10話 始まり2
啖呵を切ったあと、しばらく会話で間をつないで、そして逃げた。
怪物と怪物に乗った少女が追いかけてきた。
「逃げないでよね。徹くん。私と遊びましょうよ。」
委員長はキャラが違った。多分こっちが素の彼女なのだろう。追いかけてきたのは、謎の怪物と委員長で、委員長があの怪物を操作しているぽかった。皇帝陛下はどうやら追いかけてこないらしい。3体1よりは少しマシになったか。
「断らせてもらいますよ。委員長。ていうかあなたはいつから、こんな風なことをクラスメイトを裏切ってたんですか?」
すると彼女は笑った。
「裏切る?違いますよ。私はクラスメイトのみんなが基本的に大好きですから。私の委員長の演技に慕ってくれるみんなを見て、ゾクゾクしてますし、それに最後までちゃんと私の大切なおもちゃとして扱ってあげますから。」
なるほど、会話は通じそうになかった。
「いや、そういうのじゃなくて、だからいつから?皇帝陛下と接点を持っていたんですか?」
委員長はつまらなさそうに笑った。
「それは、初日です。最初からずっと、そういえば2日あたりに話しましたよね。その時も、もう。君がいうクラスメイトの裏切り?をしていましたよ。」
人間不信になりそうだった。走りながら飾ってある鎧から真剣を取った。さて、どうする?今は5メートル距離があるが、あっちはたぶん本気で追いかけてない。僕はわりと全力で逃げている。このままだとそのうち、ゲームオーバーだ。
案1 本気を相手が出す前に人が多くいくところに入る
多分、これだと被害者が増えるだけだから、まあ却下。
案2 許しをこいて、とりあえず命をつなぐ
多分、無理。生き延びても人としての尊厳などはない
案3 立ち向かう
多分、無理。あの化け物が何かわからないけど。勝てる気はしない。
なるほど、割とどうしようもないぞ。まあ、それだったら、後悔の一番少ない3で行こう。僕は立ちって振り返った。
「あら、徹くん鬼ごっこは終わりですか?死ぬ覚悟でも出来ました?大丈夫ですよ。死体はちゃんと綺麗な状態にしてあげますからね。」
委員長は化け物から降りてそう笑った。
「遠慮しておきますよ。」
そう僕が言うと同時に怪物のような何かが、僕に向かってこぶしを振るった。異常な速さだったが、まっすぐだったので真剣で受け止めた。僕の持っているものは真剣で皮膚が切れるはずなのだが、怪物のような何かには傷一つ、つかなかった。やはり、この怪物を倒すことは不可能らしい。ならば……覚悟を決めておそらく操っている委員長を倒す作戦に舵を切ることにした。
「では、踊ってもらいましょう。私を楽しませてくださいね。徹くん」
委員長は光悦を浮かべた表情だった。やばいよ、この人と一瞬思ったが、そんなに悠長に考えている余裕はなかった。
怪物の動きそのものは単調で守ることは容易だが、素早い動きと重たい拳。それだけで圧倒的な脅威だった。おまけにこちらからはダメージを与えることができない。なるほど、まともに戦っては絶対に勝てない。どうにかしてこいつの動きを止めてそのすきに、委員長を。
攻撃をなんとか受け止めながら、考えた。
怪物の大きさは僕よりもそれなりに大きいので2メートル50センチはありそう。全身が紫色で顔は異形の何か。全体的に筋肉質で特に上半身が大きい。
上半身と比べて下半身が細いが、まあ比べればの話だ。
ひとつ、策を思いついた、こんなものは奇策で賭けだが、それを突破しなければもう勝ち目なんてない。
「まあ、頑張るか。はは」
もう笑うしかなかった。僕は怪物のこぶしを受け止めながら怪物の後ろに回り込み、怪物の膝の裏を思いっきり蹴った。
「痛い」
蹴ったはずの僕の足が死ぬほど痛くなったが、怪物は上半身が重いので少しバランスを崩した。そこにさらに、もう一発けりを加えると怪物は倒れた。
膝カックンはどうやら有用らしい。そして、怪物が倒れている間に、委員長のところに向かった。
「待って、待ってよ徹くん。」
その声を聴き少し揺らいだ。
人を殺すかもしれない覚悟を決めて震えながら、唇をかみしめながら真剣を振るった。
振るった、真剣は何かに遮られた。僕はそれを知っていた闇だ。スキル闇と同じ何かで防がれたのだ。
「ははは、嘘だよ。徹くん。残念だったね。」
次の瞬間、黒色の塊で手足を拘束された。なんで?月野がいるのか?それとも同じ能力か?どういうことだ?
「混乱してるね、徹くんは、そうだな、私は優しい委員長だから教えてあげるよ。」
彼女の笑みがただただ怖かった。
「そ…………それは、教えてもら……もらいたい」
何とかそういうと委員長は笑った。
「怖くて震えてるんだね。徹くん。かわいいかわいい。まあ、まずは、私のスキルを教えてあげるよ。2つスキルを持っていてね。一つは、能力視。君のスキルはお見通しなのね。もう一つは死体改造。」
スキル闇じゃない?死体改造?まさか。
「察しがいいね、顔を真っ青にしてああ、最高だよ。君の表情。そう、君がさっき膝カックンしたのは、月野 はじめだったものだよ。まあもう死体だけど。」
「……………………」
「ああ、そうだよ。君には感謝しないとだった。君のおかげで月野君が使えないことの証明と私が殺して使っていいってことになったから。ありがとう。」
…………最近の月野はじめは嫌いだった、大っ嫌いだった。でも死んだ?死んだだと……それは違った、嫌いでも死んでは欲しくないものだ。悲しみと恐怖が溢れた。
「………」
「もう、どうしたの?徹くん、さっきから黙って、震えてるけど。大丈夫?ははは。はあ、それで君を殺さないといけないけど、でも私は優しい委員長だから、チャンスをあげる。」
委員長は楽しそうに笑っていた。恐怖である。
「チャンスですか。」
ろくなものではなさそうだった。
「そう、チャンス。私は結構君のこと気に入ってるの。君が私に服従をしてくれれば、殺さずに君を私が可愛がってあげる。それなりに君がいい思いもさせてあげる。ね、どう、はははは。」
委員長は、恐怖だった。動きは封じられて動けない。この選択肢、断れば死だ。でも断らなくても死んだようなものだろう。なら答えは簡単だった。
「服従なんてしない。そんなことしてたまるかよ。」
「…………なんで?なんで?断るの?なんでなんで、なんでみんな、私の言うことを聞かないの?じゃあ、じゃあ、じゃあ、特別に私の恋人でもいいよ、ね、断らないでよね。ねえ、ねえ。」
委員長の様子はよりおかしかった。でも、答えは同じだ。まあ最後に死ぬ前に啖呵でも切っておこう。
「生憎、タイプじゃないので。はは」
震えながら笑顔でそういった。
「…………ああ、殺す。殺す、殺すよ。寺坂 徹。もう君の死体をおもちゃにすることもなく、跡形もなく消し去ってやる。あああ、死ね。死ね。死ね。」
「…………」
この闇の能力で封じられた手足は全く動きそうになかった。
委員長の言葉に呼応して月野 はじめだったものがこちらに近づいてきた。
「はぁ、はぁあ、よし殺す。こいつは、月野 はじめだったこいつは。死ぬ前よりも多くのスキルを持っていて、まあそのせいで見た目はこんなになっちゃたけど。君が決闘で戦った時よりももちろん強い、まずは腹部に風穴でも開けようか。」
委員長は落ち着きを取り戻してそういうと月野 はじめは動き出し、僕の近くの壁を思いっきり殴って、大きなへこみを作ってみせた。
ああ、死んだな。これは無理だ。いろいろ後悔していることもあるし、シャーリー様にお礼も言えてないし、てかメイドが消された話を聞くとアンナさんも危ないだろうし、でもそれは、優斗がなんとかしてくれることを信じよう。そうだな、最後に一言言っておこうか。憎まれ口でも…………
「死にたくないものですね。ははは」
まあそんなことしか言えなかった。近づいてくる月野 はじめだった怪物の拳が僕の腹部にとどきそうになって死を確信した。
その時、何かが起きた。それは奇跡でもたまたまでもないだろう。
次の瞬間、王宮の別の場所にいた。そして、目の前には不気味な青年が立っていた。
「いろいろ想定外だが、とりあえず嫉妬する。後は、私は君の敵だから逃げることを薦める。」
不気味な青年のその発言から、どうやら、奇跡は起きていないようだった。
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