第11話 始まり3

僕は走っていた。最近のブームはマラソンかもしれない。いや、どっちかというと鬼ごっこか?…………なんだよ、命がかかった鬼ごっこって。なんかいろいろあって、テンションが逆に高くなっていた。


何で逃げることを推奨してくれたかは知らないが、逃げることにした、とりあえず走り出したが何処に逃げようか。とりあえず、あれ?そもそもこれ何処に逃げれば良いんだ?王宮の中だと皇帝陛下の権力とかそういうので危ないから…………あれ?王宮の外に出ないと結局意味無いんじゃね。


「………とりあえず王宮の外を目指すか。」

道順などは分からない、それに会いたく無い人が3人(2人+1組)いる。皇帝陛下、委員長たち、そして、たぶんさっきの助けてくれたけど敵らしい不気味な青年。

さて、どうすれば…………


「案外戻って来るのが早かったね。ああ、嫉妬する。」

目の前に不気味な青年が現れた。もちろん戻って来てない、真っ直ぐ逃げた。

おかしい、離れていったはずだし、後退している要素はない。戻ってくるなどありえない、ありえないが現実に正面に青年がいた。そして見覚えも少しある景色だった。


「はは、何でこんなにいろいろあるんだよ。ふざけんなよ。あああ」

そう叫びながら地面に剣を叩きつけた。地面に刃物で傷がついた。それから再び逃げることにした。次は全部右に曲がろう。



「…………」

知っていた。そんな気がしていた。


「まあ逃げる事が出来ないだけどね。」

不気味な青年が再び現れた。可能性としては、相手が先回りしているか、ああいや違うはさっき剣で地面につけた傷が見えるから、多分僕が戻って来た。まあ、だから逃げても無駄なのだ。多分相手のスキルは場所、空間に干渉する的なもの。逃げるのは不可能と。


「えっと、どうやったら、逃げれるとかありますか。」

ダメ元で尋ねると青年は笑いながら答えた。


「君が可能な方法は、ある。無理やりこの空間を打ち破ることも不可能ではないが。まあ君にギリギリできるかもしれない方法は一つ、私を倒せばいい、目の前にいる私をな。ただ、私はさっきの色物少女と死体人形よりも余裕で強い。君には勝ち目がないと思うが、奇跡でも数1000回起こせば可能性がある。」



勝ち目がないか、でも逃げれもしないと。なるほど、それはもう、それは

「つまり、挑むしか無いと」

もうヤケクソである。


「それで挑んでくるか、嫉妬するね。その姿勢。」

不気味な青年は笑った。


不気味な青年に剣を向けた。それで、青年との距離を詰めた。距離を詰めたハズだったが。気が付けば背後に青年はいた。

「チートかよ。」

そう叫びながら後ろに剣を振っては見たが、次の瞬間にはもう青年は別の場所にいた。


「私のスキルは空間操作、空間を操ることなら大抵できる。チートってやつだ。場所移動など朝飯前ってやつだ。」

青年はスキルのことを教えてくれたが、教えられたとてという感じだった。


「クソチートがぁああ」

それでも叫び悪態をつくことはできた。



「はあ。でも、まあ、まだそんなものか。仕方ないか。さっさと終わらせよう。」

そう青年は、意味の分からないことをつぶやくと、指を軽く弾いた。



それは一瞬の出来事ではじめは理解が出来なかった。ただなぜか立つことが出来なくなったのだ。それから右足に強烈な痛みが走った。血が噴き出していた。右足が消えていた。今までそこにあった右足がまるで空間そのものから、もともとなかったかのように消え去った。


「ぐぁあああああああああ、はっぁあああ」

意味が分からない何が起きた。痛い、痛い、痛い。ああ、そうか足を空間を操作して消したのか。痛みに耐えながらそんなことを思ったが、もはや何でもよかった。身体中から嫌な汗が止まらなかった。


「じゃあ、さようなら、また逢う日まで」

そう青年が言った。これで、死ぬのか……それは、嫌だ。まだだ、僕には勝ち目がないが、外側から破ってくれる人がいるかもしれない。足の傷とかは…………シャーリー様にお願いするしかない。まあ、恥ずかしいし、すごいすごい申し訳ないけど。いや、申し訳とかはおかしいな。ともかく、まだあきらめるな時間を稼げ。


「お前は、何者だ?お前は誰だ。目的はなんだ。はぁ、はあ、なんで僕が」


「いい質問だ。私は、まあ君と君らと似たようなものだ。目的は、世界平和とでも言っておこうか。君がこんな目に合うのは、まあ運が悪かったんだ。それじゃあ、いろいろとしないといけないことがあるから、そろそろ死にかけて貰おうか。」

不気味な青年がそういった瞬間に全身のさまざまな部分に痛みが走った。時間は稼げなかったらしい。ああ、死んだな、いろいろ公開することはあるが、来世は優斗みたいな人間になりたいな………


「死ぬなよ。」

最後にそんな風に聞こえたが、そんなことは言われるわけがないので恐らく空耳だろう。













「ぎゃあああああはぁあ。はぁああ」

………………えっ

目が覚めると真っ暗な闇の中にいた。死んだのか?

よく見るとここは暗闇ではなく、洞窟っぽい。いやだからと言って意味は分からない。いや、おかしい、なんで、全身に痛みがないんだ。それどころか傷すらついてない。そんなことで全身があることを確認していると一枚の紙がポケットに入っていることが分かった。


そこには

『ただ殺すのではなくて、何処かに放り出して勝手に死んで貰った方が面白いと思ったのでそうすることにした。傷を治したのはボーナスだ。』

そんな風に書かれていた。


なるほど、どうやら僕は追放主人公の適性があったらしい…………結果、逃げられたが延命になったが、飢えで死ぬのは時間の問題のように思えた。

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