第7話 竜騎士の乙女

「?」


「絶対に生きて戻ってくるって約束しちゃいましたから約束を破る訳にはいきませんでしたし。」


「そうか。君は人として強さも優しさも兼ね備えているのだな。」


「いえ、よく祖父が優しくなりたきゃ強くなれって。言われてたので誰かを助けるには何事にも屈しない信念と悪を砕く強さが必要だと教えてくれました。」


「君の言う通り君は半治郎の孫だな。」


「え?」


「爺さんが半治郎からよく言ってたらしい。優しくなりたきゃ強くなれってね。爺さんも私にそう言い聞かしてもらった。」


「……」


「だからウチも優しく強くありたいんだ。昔も今も……」


ユーリさんは言葉に詰まり何かを言おうとしているのだろう。だけど今のユーリさんには今、何か追い詰められているような顔付きをしているのが分かる。でもこれだけは言える。


ユーリさんは昔も今も優しく強くありたいって事を言いたいのなんだろう。


「あら、ユーリに泰虎。早いじゃない?」


「おはようございます。ユーリ様。」


「おはようございます……」


話し込んでいる内にいつのまにか教会に辿り着き、シリアさん、爺やさんにアーニャさんも居たので教会でみんなが健康で平穏に暮らせるようにアント家ご先祖様にお祈りを捧げて朝食を食べてからユーリさんは帰ることにする。


「またねユーリ。たまには顔を出しなよ?」


「こっちこそ。たまにはネールランド連合国に遊びに来なよシリア。」


「もちろんよ。仕事が片付いたら爺やにアーニャそれに泰虎も一緒に連れて行くわ。」


「その時はたくさんおもてなしをしないとだな。」


するとユーリさんのワイバーンのダルクが僕と離れるのが寂しいのか頭をスリスリと擦りつけて僕の腕に甘噛みをしてくる。


「すっかりダルクも君に懐いてしまったようだ。」


「えへへ。ダルク。また会おうね。その時はいっぱい遊ぼう。」


ダルクは僕の言葉が分かったようなのか少し寂しそうな顔をして甘噛みをやめて僕から離れていく。


「では、また会おう。」


ユーリさんはダルクに跨ってダルクは大きな翼を羽ばたかせて上空へ旅立ち、僕達はユーリさんの姿が見えなくなるまで見送った。


だけど、僕達は予想もしてなかった。ネールランド連合国に遊びに行く予定のはずが、ある戦いに巻き込まれる事を知らずに……

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