第7話 竜騎士の乙女
「そう言えばユーリ。また大きくなったんじゃない?」
僕はシリアさんの言葉にビックリしてとあるマジシャンみたいに耳を大きくしながら、つい立ち止まってしまい会話を聞いてしまう。
「あぁ。困った事にな。服のサイズもピチピチで困るんだ。」
僕も見た目はこんな童顔でチビだけど1人の男だ。こんな会話を聞くのはまたとしてない機会。だが、僕にはこの場から早く立ち去らなければ変態のレッテルが貼られてしまうリスクがある。
「ムムム……私もスタイルには自信があるんだけどな。」
「そんな事ないぞ?着れる物とかオシャレとかするにもサイズを選ばなくちゃいけないからな。」
「何よ!少し触らせなさいよ!どれくらい大きくなったか、調べてやる!」
「よ、よせ!くすぐったいではないか!」
こう言う女性同士の話に胸を踊らせてしまうが、イカン、イカン。僕はスキルが発動しているうちにさっさと、この場を退散しなければないないと思い物音を立てず慎重に抜き足、差し足、忍び足で出入り口までもう少し。
僕は何かを踏んでしまい、濡れた風呂場の床に足を滑らせて転んでしまう。
「痛ててて……」
僕は踏んでしまった何かを見てみると思わず『コイツはクレイジーですよ。』って言いたくなる物。その正体は固形石鹸。誰?こんな所に固形石鹸なんか置くようなトラップを仕掛けたのは?ハハハハハ……
「泰虎?」
「少年?」
僕の目の前に居たのはディストラクション-気配消し-のスキルの能力が解け間抜けにも固形石鹸を踏み滑って尻餅をついた素っ裸の僕の姿で1人はスタイル抜群のシリアさんともう1人は筋肉質でグラマラスなユーリさん。
「あ……あの。ごめんなさいぃぃいいッ!」
僕は何か2人の目の前で恥ずかしい事が重なり全力疾走でその場で逃げ出してしまい、シリアさんとユーリさんの2人はポカーンっと唖然としている様子。
ううう……凄く恥ずかしい。
僕はタオルで身体を急いで拭き衣服に着替えると駆け足で自分の寝床に入って、掛け布団に包まって早々に明日も早いので早めに寝る事にする。
それから僕はそのまま寝落ちしてしまったのだろうか気が付けば少し日が昇り始める時間に目が覚めてしまう。やはり今までの生活習慣なのか早寝早起きが習慣になってしまってる。
ここに転移する前はいつも接骨院の中と外の掃除から電療のスポンジの取り入れ。予約の確認に時間があればパソコン作業やらで色々としてたし、休日は道場を朝一番で開けて門下生達を迎え入れてたから自然と早起きが習慣になってしまってる。
僕は寝間着から居合の稽古で着る袴に着替えてまだシリアさん達の毎朝行うお祈りの時間まで自主稽古をしようと部屋を出てから、物音を出来るだけ立てないように庭へ向かう。
日が昇る前の夜明けは少し肌寒いが冬場の凍えるほどの寒さはない。
「リリース-解放-」
僕はビートを片手に取りリリース-解放-を唱える事で木刀の形をした杖である金剛の杖を握り自主稽古を始める。
「シュリンゲジ-縮地-。」
僕の居合いの構えからスキルを唱えて高速移動からの横一文字に斬り更に袈裟斬りをで連続技。
「中々の腕前だな少年。」
「ユーリさん?」
「おはよう。随分と早い朝だな。」
「おはようございます。もう習慣ですから。」
僕の後ろから声を掛けたのはユーリさんだった。ユーリさんも結構な早起きだね。
「そう言うユーリさんも早起きですね。」
「まぁウチも習慣でね。騎士として規則正しくあんまり夜更かししないから、どうしても早起きになってしまってね。稽古の邪魔したか?」
「いえ。大丈夫ですよ。」
「そっか。では少し散歩しながら話をしよう。」
僕はお祈りの教会に向かいながらユーリさんと少しだけ世間話をついでに散歩をする事にする。
「なぁ少年。なんでシリアの元でパーティに入る事になったんだ。」
「それは本当にたまたまって言うか偶然でして。僕がこの世界に転移した時に賊を全滅させた時、シリアさんと出会いました。」
「1人で賊を全滅させたのか?」
「はい。あの時、1人の小さい女の子が居て、この子だけは絶対に守らなくちゃって思いつい……」
「そうか。君はまさに男の鏡なんだな。」
「それだけじゃないですよ。約束しましたから……」
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