第7話 竜騎士の乙女

竜騎士とは古くから【ドラグーン】と呼ばれ、竜の背に乗り空を疾走する姿は壮大であり、地に降りて戦えば一騎当千の如くの猛将ぶり。


そう。この世界ではドラゴンの国と呼ばれるネールランド連合国の竜騎士の乙女との出会いから始まる。


ジャッキー・ゾリッパーの事件から1週間。僕はシリアさんの貴族としての仕事を手伝う傍ら空いた時間は書物庫でジィジの事、またあのジェントル・ヘキサとレディ・シグマの2人組について調べていた。


ジィジについては伝説と呼ばれた人斬り半治郎としか書かれていなくて時間が経つにつれて、都市伝説や何かの陰謀論とかそんな類いに匹敵する話ばかりで特にコレと言って収穫はなかった。


それとジェントル・ヘキサとレディ・シグマについてはコイツらに関しては僅かながらに資料があって、ここ数年姿を表すS級犯罪テロリストと呼ばれているらしい。


その名前はカサルティオ。男女8組の合計16人からなる各国での反社会的な活動及びその危険な思想の為、重要犯罪者リストにも載っている。だけどお互いをコードネームで呼ぶ為、素性や本名、顔などが分からず名前のみでしかリストに載っていない。


ここ数年になって姿を現しては資金調達、破壊活動、要人暗殺と様々な活動が目立つようになり、その掴めない思想や行動からS級犯罪テロリストとして半ば指名手配という形になっている。


「ん~……どうも腑に落ちないなぁ。何もかもがベールに包まれてるからなぁ。」


全くって言って良いほど徹底した隠密ぶり。そして奴等がアイリ・ウォーノスに渡したと言われる変若水(おちみず)と言われるもの。


僕が考え事をしていると外から嵐でも来たんじゃないか?って思うほどの暴風が吹き荒れて書物室から見える窓から外を眺めてみると僕の考えはフリーズする。


「え?ドラゴン……あのゲームとかアニメで出てくる?」


大きな翼を生やしワニやトカゲかと思われるほどの頭に爬虫類のような長い尻尾。恐らくワイバーンと呼ばれる翼竜なのだが何でシリアさんの自宅前の庭に?


僕は慌てて書物室から飛び出して庭に向かうと癖のあるショートの栗毛の槍を持ち鎧を纏った女性が威風堂々と立っていた。


「あら、ユリアじゃないの!久しぶりじゃない!」


「やあ、シリア。君と会うのは数年ぶりじゃないか?」


僕はシリアさんとユリアさんと呼ばれる騎士の様子を伺いながら少し離れた所から見る。


「あら、泰虎じゃない。泰虎もこっちへおいで。紹介するから。」


「はい。」


僕は小走りをしながらシリアさんの元へ駆け寄りユリアさんと対面するけど、ユリアさんはシリアさんよりも身長が高くて騎士だからなのか凄くガッシリした筋肉質である。


「ユーリ・ドラコ・アメリアだ。宜しく少年。ウチの事はユリアと呼んでくれ。」


「寺島 泰虎です。宜しくお願いします。」


僕はペコリと頭を下げて改めてユーリさんに自己紹介する。何だろう……この世界の女性って僕と同じ身長か、僕よりもだいぶ身長が高い人が多いような気がする。


「ユーリはネールランド連合国の竜騎兵隊の隊長で彼女が乗るワイバーンは機動力が高くてワイバーンに乗りながら確実に敵を仕留めて着いたアダ名は【無敵要塞の乙女】なんて呼ばれたのよ。」

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