第6話 切り裂きジャッキーの最期

僕、シリアさん、爺やさん、カリファさんは聞き覚えのない声だが間違いなく、誰かを嘲笑うかのような声の元へ振り向くと月夜に照らされながら2人の男女が姿を表す。


「誰ですの?!」


「誰ですの?だってキャハハハ。」


「警察の奴に貴族じゃん。中々のメンツじゃん。」


カリファさんはそう叫ぶが相手方はまともに対応する様子はなさそうだけど。


「レディ・シグマ。どうやら、この変若水は売れるには売れるけど副作用がまだ大きいみたいじゃん。」


「キャハハハ。見てよ~、血を流す淑女。良い絵面じゃないジェントル・ヘキサ。」


「そうだな。あの女、変若水を渡した時の顔ったら忘れられないじゃん。」


「そうね。嫉妬で怒り狂った顔が忘れられないキャハハハ。」


僕の中で何かがプッツンっと切れた音がしたのが分かる。


「シュリンゲジ-縮地-。」


「泰虎!」


「泰虎様!」


僕はスキルを唱えてすぐさまにジェントル・ヘキサという男に金剛の杖を振り抜く。


「リリース-解放-。おっと、いきなりじゃん。」


ジェントル・ヘキサは機械型のキリンを手に取って解放して姿を変えてスピアーで僕の斬撃を受け止める。


「お前は人を何だと思ってる!!」


「おいおい勘違いしないでくれよ。俺らはあくまで提案をしただけ。その提案を受け入れたのが、あの女じゃん?」


「黙れ!ディストラクション-気配消し-」


僕は一旦、距離を取ってスキルを唱えて背後に回り込み気配を消して下段の構えから無拍子突きを繰り出す。


「痛てぇじゃん?」


僕は再びジェントル・ヘキサと距離を置いて再び下段の構えを取る。


「おいおいやろうって言うならこっちも……」


「今日は止めておいたらジェントル・ヘキサ?」


「何だよ?止めろってどう言う事じゃん?」


「今日は変若水の効き目を検分に来ただけでしょ?それに……ボスからも不要の戦闘は今は避けるようにって言われてるでしょ?」


「ちっ!まぁ良いや。ボスが言うなら仕方ないじゃん。おい、お前の名前は?ちなみに俺はジェントル・ヘキサ。」


「寺島 泰虎。」


「今日の所は引いてやるが次はお前が殺られる番だからな。」


「お前こそその首を洗って待っていなよ。」


「けっ!減らない口じゃん。行くぞレディ・シグマ。」


「キャハハハ。ばいばーい。」


するとジェントル・ヘキサとレディ・シグマは何もない空間から何処から飛び出だしたか分からない扉が現れドアノブを引くとその中に消えて扉が閉まると同時に姿を消す。


コレはこれから起こる前触れにもならない事を今の僕には知るよしもなかった。

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