第6話 切り裂きジャッキーの最期
「ディストラクション-気配消し-、シュリンゲジ-縮地-。」
僕は走り出しながらスキルを唱え発動させると吹き飛ばされたアイリ・ウォーノスを追い掛ける。
アイリ・ウォーノスは建物の壁を突き破り地面に叩きつけられ、全身が傷だらけで擦り傷や土埃で見た目からしてボロボロになっての状態。
「私はモウ戻レナイ!何もカモ失ッテ、後には引ケナイ!!ダカラ、許セナイ!愛情ヲ感ジナイ女など女デハナイ!!子供ヲ殺スのは私は許さない!!」
「憎い人を殺した先に……何が残りますか?」
「っ?!!」
「フィズクス・キャンセル-物理無効-……」
僕は居合の構えで横一文字から右へ入り身をして袈裟斬りの攻撃を加えて最後に諸手突きをアイリ・ウォーノスの鳩尾に突きつける。
アイリ・ウォーノスは恐らく僕のスキルディストラクション-気配消し-で背後から追っていた事に気が付かなかったのだろう。彼女は力なく倒れ込み勝負アリ。恐らくは立ち上がる事もないだろう。
「泰虎!」
「泰虎様!」
「坊主!」
ちょうど決着がついた頃、シリアさん、カリファさん爺やさんが走って向かってきて僕の元へやってくる。
「アンタ1人でやったの?」
「はい、ちょうど決着がついた所でした。」
「さすが泰虎様ですわ。」
「うむ。見事であった。」
「いえ、僕1人だけの力じゃないです……簡単に言えば袋叩きにしただけです。」
僕1人だけで勝ったわけじゃない。カリファさんがキッカケを作りシリアさんが猛追して、爺やさんが街の外れに吹き飛ばしてくれたお陰で僕は勝てた……
「……ユルサナイ……」
「嘘……でしょ……?」
「ゼッタイニ……」
「まさか立ち上がるなんて……」
「ヨゴレた……メスブタ……」
「もはや執念の塊……」
「コノ私ガァァァアアアッ!!!!」
アイリ・ウォーノスは立ち上がった瞬間にカラスのような漆黒の翼は広げて羽ばたかせてシリアさんを狙う。
ダメだ攻撃が間に合わない。僕は覚悟を決めて文字通り自分を盾にしてシリアさんを守ろうとシリアさんの前に立つ。
この人は……シリアさんは僕が守るっ!!
「サヨナラ、私の坊や……」
「「「「?!!」」」」
一瞬、一瞬だけどアイリ・ウォーノスは僕を見た瞬間に理性が戻ったのか我が子を愛でる優しい目に戻り自分の手で、自分の胸を突き破り絶命した……
僕はアイリ・ウォーノスの返り血を少しばかり浴びてしまうが服に着いたくらいだった。
「一瞬だったけど、あの人……」
「はい。僕を見るなりお母さんの顔をしてました……」
「泰虎様が我が子に見えたのですか?」
「彼女は無事に大きくなっていたら僕くらいの年齢だったそうです。」
「我が子のような坊主を殺めるなら自ら命を絶つっていう僅かな理性だったのかもしれん……」
生き絶えたアイリ・ウォーノスの身体からは静かに血の海が広がっていくが、その顔は嫉妬、憎悪から解放された安らかな眠りについているとも思える。
「おいおい。コイツ生き絶えてるじゃん?」
「キャハハハ。本当だ事。変若水を飲んで悪鬼になったけどまだまだ改良が必要みたいだね。」
「「「「?!!」」」」
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