第6話 切り裂きジャッキーの最期
またジャッキー・ゾリッパーに逃げられてしまった。金剛の杖からビートの姿に戻るとビートは羽根を広げて何処かへ行ってしまう。
「トラ君。」
「エルザさん。どうして?」
「やっぱり私トラ君が心配で……」
「すいません。ジャッキー・ゾリッパーは逃してしまいました。」
「ううん。それよりもトラ君が無事で良かった……」
エルザさんは優しく微笑むと僕の頭を撫でる。僕ってそんなに心配されるくらい頼りないのかな?
ジャッキー・ゾリッパーは今日はもうさすがにエルザさんを襲う事はないだろうけど、取り敢えず僕はエルザさんの護衛役を最後までやろうと思い家まで送る事にする。その間、僕はジャッキー・ゾリッパーについて考える事にする。
ジャッキー・ゾリッパーは数ある娼婦や売春婦の女性から限られた女性ばかりを執拗に狙うのだろうか?カリファさんの調べでは被害者女性には面識や共通の知人といった者がいない。
それにジャッキー・ゾリッパーは犯行後に腎臓に膀胱や子宮といった人間の臓器を持ち帰ったのが複数。切り裂かれたのは腎臓に膀胱と子宮だけなのは何故だろう?
普通なら心臓や肺とか胃に肝臓など他にも持ち帰っても良い臓器があってもおかしくはないはず……
「トラ君。もう私の家はここまでだから大丈夫よ。」
「え?あっ、はいっ!」
「ありがとうね。トラ君。」
「僕はただ貴女を守りたかっただけです。」
「ううん。そっちじゃなくて。」
「え?」
「私の闇を救ってくれてありがとう。」
「僕はただ……」
「たとえどんな理由があってもトラ君は私を助けてくれた。それで良いのよ。」
「そうですか。では僕はこれで。」
僕は踵を返して取り敢えずは警察署に戻る事にする。ジャッキー・ゾリッパーが執拗に特定の人物を狙う理由……
もしかして……僕はある仮説を立てる事にする。エルザさんの話がヒントの中にある。それぞれの被害者女性に面識はないけど、もしかしたら。本当にもしかしたらあるかもしれない。
僕は駆け足で警察署に戻りカリファさんに報告した結果、調べてくれたようなので僕達はある作戦に出る事を決定する。
ある日の夜。
建物からある女性を出て行くのを確認して物音を立てず気配を消して跡をついて行くのは殺人鬼ジャッキー・ゾリッパー。
「今日はあの小僧は居ないようだ。グフフ。」
ジャッキー・ゾリッパーはエルザ・トライドの命を頂こうと犯行に及ぼうとするが、ここ最近はことごとく邪魔が入るばかりで苛立っていた。
静かに物音を一つも立てずにジャッキー・ゾリッパーはエルザ・トライドに近付きダガーナイフを片手に持ち静かに忍び寄り、その命を頂戴しようとした時にエルザ・トライドは振り向いた。
「残念でしたね。ジャッキー・ゾリッパー。」
「ッ?!!」
その姿は見た目はエルザ・トライド。しかし、実際は違う。エルザ・トライドに変装した僕。寺島 泰虎だ。
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