第5話 ジャッキー・ゾリッパー

「ビート!リリース-解放-。」


僕はビートを呼び出し右手に取り解放の呪文を唱えると僕の武器である木刀の形をした金剛の杖を握り下段に構える。


「エルザさん。僕から離れて。」


「でも……」


「早く逃げて!」


「うん。」


僕はエルザさんを遠くに離すとジャッキー・ゾリッパーと向かい合いジリジリと距離を詰めていく。お互いに一瞬の気を抜けば間違いなく僕はお陀仏だ。


「お前の目的はなんだ?!なぜ執拗にエルザさんを狙う?!」


「グフフ。それはあの女は汚れた存在だからだ。汚れた女は世の中から消え失せれば良いのだ。無様に醜態を晒して最後の最後まで侮辱されるとは汚れた女に相応しい最期ではないか?」


「お前、本気で言ってるのか?お前は正義のヒーローを気取った自分のエゴに取り憑かれた人殺しだ!」


「黙れ!」


するとジャッキー・ゾリッパーはバッタのように跳躍して空中を飛び上がる。


ジャッキー・ゾリッパーは大きく振り上げながら巨大なハサミを僕に切り刻もうとするが僕は、しのぎという受け流しの技から右へ入り身をしてからの袈裟斬りを仕掛ける。


「なに?」


「グフフ。このハサミ分解出来るのグフフ。」


ジャッキー・ゾリッパーはホッピングジャンプのように飛び跳ねながら分裂したハサミを振り回しながら何か楽しんでいるのが分かる。


オマケに分裂したハサミってなると二刀流になるし動きからしてトリッキーで後手に回れば、どちらかと言えば僕が不利になる。


ならば、コレでどうだ?


僕は居合の構えを取る。つまり最速で目標を確実に捉えて仕留める。


「シュリンゲジ-縮地-。」


高速移動で僕はジャッキー・ゾリッパーとの間合いを縮めて横一文字に金剛の杖をジャッキー・ゾリッパーに打ち込むが、それを予知していたかのように片方の巨大なハサミで斬撃を防ぐ。


そして、防いだハサミとは逆のもう片方の手で持っているハサミで僕に切り刻もうとするがジャッキー・ゾリッパーの身体は吹き飛ばされる。


「グッ……グッゥ。何故だ?何故、貴様の攻撃は避け私が吹き飛ばされる?」


「悪いけど僕の技は基本的に一撃目が効かなかった時の為に常に二段構えの攻撃だからね。」


僕はジャッキー・ゾリッパーに横一文字の抜刀をした時に攻撃を防がれたと分かった瞬間に【二段突き】と言われる技を繰り出した事によって、ジャッキー・ゾリッパーは吹き飛ばされたっていう訳だ。


「さぁ、観念しろ。ジャッキー・ゾリッパー。お縄についてもらおう。」


「チッ!」


「なに?!グッ……」


するとジャッキー・ゾリッパーは上着のポケットから煙幕弾を出して投げつけると、あたり周辺が煙幕に包まれて視界は何にも見えなくなり、煙が晴れた頃にはジャッキー・ゾリッパーの姿が見えなかった。

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