第5話 ジャッキー・ゾリッパー

「失礼します!ベルト警部。」


「慌ててどうしたというのですの?」


カリファさんの部下らしき人がドアをノックしてから素早く開けると息を切らせ慌てた顔をしながら会議室に入り込んでくる。


「申し訳ありません!しかし大変な事が起きまして。」


「大変な事?それはなんなのですの?」


カリファさんは落ち着いた振る舞いを見せながら紅茶を一口飲む。


「ジャッキー・ゾリッパーの容疑者の1人であるジョン・ドルイドがズテム川で身投げ自殺をしたようです!」


「「「「っ?!!」」」」


ジャッキー・ゾリッパーの容疑者の1人である若い弁護士ジョン・ドルイドが自殺した事にカリファさんは驚きを隠せず、すぐに上着を着てシリアさん、爺やさん、僕はすぐに立ち上がる。


「すぐに現場に向かいますわ。貴女達も着いてきてください!」


僕達はカリファさんを先頭に馬車でジョン・ドルイドが身投げ自殺をしたというズテム川に向かい現場に着くと現場周辺にら警察が立ち並び一般人は入れないようになっている。


「お疲れ様です警部!」


「通してくださいませ。あとこの3人も警察の協力者なのでお通しを。」


「ハッ!どうぞ。」


立ち並んでいた警察官が敬礼した後に通されると川の岸辺に人が覆われるくらいの布が被されているのが分かる。周りには鑑識や監察医なども居て現場付近に手掛かりになるようなものを探している。


カリファさんは手のひらを合わせてから黙祷してから覆われた布を開くと容疑者リストの写真に写っていた若い男性ジョン・ドルイドと分かる。


「警部。どうやらジョン・ドルイドはあの橋から身投げした模様。目立った外傷は特になく橋には靴と身分証明が置かれていました。」


鑑識の人が透明の袋で入れられた靴や身分証明などを見せる。身分証明にはジョン・ドルイドの名前と生年月日、住所などが記載されている。どうやらジャッキー・ゾリッパーの容疑者の1人であるジョン・ドルイドで間違いは無さそう。


「他に分かる事はありますの?」


「はい。ベルト警部。ジョン・ドルイドの死亡推定時刻は昨夜から今朝にかけて、死因は溺死によるものだと思われます。」


「とりあえず遺体は署の方で細かく調べますので、アイリさんは司法解剖の方をお願いします。」


「了解しましたベルト警部。」


アイリさんという監察医はすぐに遺体を署に運ぶように部下に指示しカリファさんは思考を張り巡らせる。


「容疑者の1人が亡くなり残る容疑者は2人になりましたわ。今夜からローアン・コスミとマーティン・トスログの2人を監視する事に致します。私はローアン・コスミ。シリアとマスキュラー様はマーティン・トスログ。そして泰虎様はエルザ・トライドの護衛をお願いしますわ。」


「容疑者に怪しい動きがあれば即現行犯で良いって事?」

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