第4話 初めてのお仕事
「それに可愛らしい顔で腕っぷしも強い殿方って言うのも悪くはなさそうですわね。」
「え?えっ?」
「宜しければ私のフィアンセになりません?」
「えっーーー?!」
その言葉を聞いたシリアさんは顔付きが変わりズカズカと入ってきてカリファさんに再び食って掛かる。
「アンタ!私の泰虎に何て言う事を!」
「あらあら。私がどのような殿方をタイプだって貴女には関係ありませんのよ。」
「関係あるわよ!泰虎は私のパーティなのよ!結婚を許すなら貴族の私を通してから結婚の許しを得なさい!!」
「何故に貴女の許しを得なければなりませんの?ねぇ、泰虎様。あのようなガサツで剣しか芸がないジャジャ馬剣士の貴族より、お淑やかで上品な私が結婚相手がよろしくて?」
「え?」
するとカリファさんは僕の右腕を掴み引き寄せると僕の右腕にカリファさんの美乳が当たる。
「なによ!泰虎はアンタみたいな冷酷仕事人間で腹黒女より私のような世話好きお姉さんが良いわよね?」
「え?えっ?!」
するとシリアさんは僕の左腕を掴み引き寄せると僕の左腕にシリアさんの豊満バストが当たる。
僕は2人の発言や行動に経験がないので理解が出来ず混乱する他ない。
「さぁ、どっち?」
「どちらがよろしいですの?」
結局、数十分もの間、シリアさんとカリファさんは僕の腕を掴んだまま決断を迫られたが、爺やさんが咳払いをして『そろそろジャッキー・ゾリッパーの件に入ってはいかがかな?』の一言で仁義なき戦いは終幕。
さすが爺やさん。僕じゃとてもじゃないが止められなかったよ。
それから僕達はカリファさんに着いて行く形で資料室へと案内される。僕はシリアさんとカリファさんに手を繋がれていたけど。
「コレは何ですか?」
「恐らく皇帝バルガ様の資料は読んだと思いますが、ちょうど昨日も発生した資料ですわ。」
「コレは……」
「まさかの生存者ね。」
「うむ。被害者の名前はエルザ・トライド。」
唯一、ジャッキー・ゾリッパーの魔の手から逃れられた今までと同じ売春婦の女性。資料によれば仕事の帰り中にジャッキー・ゾリッパーに襲われそうな所、巡回していた警察官が発見したとの事。
「被害者のエルザ・トライドと巡回していた警察官によりますと、グロテスクな仮面に奇怪な服装。またマントを身に付け、巡回していた警察官が追跡しましたが高い塀を軽々と飛び越え屋根から屋根へと飛び回るまさにバネ足のような脚力をしていたとの事。」
「その被害者女性は?」
「取り敢えずは警察が提携する病院で検査して目立った外傷はございませんので、その日のうちに帰宅させましたわ。」
「話を聞くことは出来そうです?」
「話を聞きたいのは山々なのですが彼女の職業柄が少し立ち入り辛い所なんですのよ。」
「売春婦だから水商売ですので、お嬢やカリファ様と言った女性が出入れるところではないと……」
「おまけにエルザ・トライドの働く職場というのは警察からしたらグレーに近い職場。下手すれば後ろ盾のマフィアとの抗争もあり得ますわ。」
「「「「うーん……」」」」
僕達は頭を悩ませながら、ジャッキー・ゾリッパーの魔の手から逃れられたエルザ・トライドって言う人から細かな証言が聴けないか考える。シリアさんやカリファさんが聞き込みに行くのは少しやり辛い。
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