第4話 初めてのお仕事

「お邪魔が入って申し訳ありませんわ。さて、続きをやりましょう。」


「はい。」


僕は下段に構えながらどういう戦法を取るか考えるが、シリアさんは叫ぶように言う。


「泰虎!アンタ傷だらけで帰ってきたら承知しないぞ!無事に帰ってこい!」


「えっ?あっ……はい!必ず一本取ってきますから!だから危ないですから僕から離れて下さい!」


「もう……バカ。」


シリアさんは『頑張れ』とも『勝ちなさい』とも言わず『帰ってこい』つまり無理をするなって事なんだろう。だけど、そう言われると負ける事を前提に言われているようで少し情けないかな?


だから……一本取ってカリファさんに認めてもらおう。


「シュリンゲジ-縮地-。」


「行きますわよ。マルチプルリケーション-増殖-。アクセレーション-物理加速- 。」


さっきと同じスキルの組み合わせでカリファさんと、その分身が無数の矢が加速をつけて放たれた瞬間に僕は壁を駆け上がり空を宙に舞う。


「あらあら、空中では狙い撃ちされるだけですわよ?」


「これなら、どうです?フィズクス・キャンセル-物理無効-。」


そうスキルを唱えた瞬間に落下しながら金剛の杖を地面に突き刺すと練習場の足場が地割れを起こして足場が崩れ、カリファさんの分身は消えてカリファさん本体だけとなる。


「しまったですの!」


「シュリンゲジ-縮地-。」


僕は居合いの構えで高速移動し間合いに入った瞬間に横一文字にカリファさんの横腹を放つが横一文字は紙一重に避けられた。


「なかなかですが、甘いですわよ。」


「それはどうです?」


「え?」


僕は右へ入り身をして袈裟斬りの構えでカリファさんの鎖骨部に寸止めをしている。居合い斬りは本来は当たれば一撃必殺だが外せば自分が死に陥るという欠点がある。


だけど外された場合の切り返しの技もあると言う事。それは袈裟斬りだったり突き技だったりもする。


「一本ですよね?」


「お見事ですわ。私の負けですの。そして認めますわ貴方の実力を。そう言えばお名前はなんて申しますの?」


「寺島 泰虎です。」


「泰虎様ですね。私はカリファ・ウォルフ・ベルト。宜しくですの。」


「はい。宜しくお願いします。」


僕はカリファさんにペコリと頭を下げてから顔を上げるとカリファさんは僕の顔をジィーっと見つめる。何か僕の顔を付いているのかな?


「よく見ると泰虎様の顔って可愛らしいけど何処か凛々しい顔ですわね。」


「え?」

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