第4話 初めてのお仕事

僕はカリファさんが唱えたように見様見真似で唱えてみるとビートは形を変えて僕の武器が現れ、僕はその武器を手に取ると金属で出来た木刀の形をしたものが現れる。


「コレは……」


僕は思わず声に出してしまう。本来、魔法使いなら木製の杖とかなのに握れる形をした金属製の木刀。撲殺系の杖だねコレは。金剛の杖ってビートのステータス画面にも書いてあったしね。


「コレが泰虎の武器になるのか?」


「魔法使いらしからぬ武器。どんな戦いを見せてもらおうか。」


僕は金剛の杖で八相に構えてカリファさんの出方を伺う。どうやらカリファさんは僕が出方を伺っているのを悟ったようで不敵に笑みを浮かべる。


「では、私から行かせて頂きますわよ。マルチプルリケーション-増殖-。」


カリファさんがスキルを唱えた瞬間にカリファさんから分身とも言える複数人に分裂。さらにコレでは終わらないと言わんばかりにスキルを唱える。


「マルチプルリケーション-増殖-。」


さらにカリファさんは同じスキルを唱えると弓から青い閃光にも思える矢が現れ、その矢は十数本も増えていく。


僕はカリファさんの分身に囲まれた状態でカリファさんに弓の弦を引き矢が放たれた瞬間に十数本の矢は一斉に僕に向かって襲い掛かる。


「フィズクス・キャンセル-物理無効-。」


僕は四方八方から襲い掛かる矢をスキルを唱え金剛の杖で全ての矢を薙ぎ払い、続けてスキルを唱える。


「シュリンゲジ-縮地-。」


スキルを唱えた瞬間に僕の身体は高速移動を始めて居合いの構えでカリファさんに横一文字を食らわすが、カリファさんの分身のため僕の攻撃は空を切る形になり分身がカリファさんの1人消える。


「あらあら、一瞬で私の矢を全て跳ね除けるのは凄いです事。ならば、コレはどうですの?マルチプルリケーション-増殖-。アクセレーション-物理加速- 。」


カリファさんがスキルを唱えた瞬間に十数本から数十本と矢が増えて弓を引き放たれた。


「え?さっきと違う……」


「コレは避けられませんよね?」


数十本の矢が全て放たれた瞬間に矢は加速して僕に襲い掛かる。どうやらカリファさんのもう1つのスキルは加速させる能力。


「シュリンゲジ-縮地-、フィズクス・キャンセル-物理無効-。」


僕は2つのスキルを同時発動させて高速移動しながら金剛の杖で数十本の矢を防ぐけど僅かの矢を捌ききれずに顔と太ももに矢が掠れる。


「ちょっとアンタ!いくらなんでもやり過ぎじゃない!!ウチの泰虎に傷物にして!」


シリアさんはカリファさんの容赦ない攻撃に見ていられなくなったのか怒り気味の様子でカリファさんに食って掛かる。


「あらあら、こんなに大声を出してお下品です事。それに言ってしまえば弱い者は必ず命を落とす。それが世の中の理ですわよ。私は現場において何人も見てきた。なくなった本人は殉職は本望だとしても残された家族はどうなるのですの?」


「ぐっ……」


シリアさんはカリファさんの正論にグウの音も出ないのだろう。何も言い返せないのは確かだ。強い者が生き弱い者が死ぬという弱肉強食。それは警察官が殉職した時、本人はそれで良くても残された人達は深い悲しみに襲われる。


だからこそ自分が強くいなくてはいけないんだ。

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