第4話 初めてのお仕事
最近、市街で騒がす快楽殺人者について。
ここ数ヶ月で若い女性を狙った殺人が起きているという話を耳にした。
なんでも、その若い女性はいずれも売春婦で全員、目を瞑ってしまいそうな亡くなり方。
目撃者が少ない事から警察の方も手を煩わせているという。
また、その犯人と思われる者は新聞社にも犯行声明と言った挑発的な内容文を送っているとの話。
そして、そなたに命ずるは快楽殺人者の犯人を逮捕及び抹殺を遂行せよ。
皇帝バルガより。
次に僕は資料を目にする。資料には被害者の名前と被害状況。
1人目の被害者。アメリー・コルズ。鋭い刃物で喉を引き裂かれた後、失血死によって死亡。死亡後、執拗に胸や腹部を数十カ所も刺される。そして遺体の側にはメモ用紙が置かれて血塗られた文字にはジャッキー・ゾリッパーと書かれていた。
2人目の被害者。ニーア・チャップ。鋭い刃物で喉を引き裂かれた後、同じ凶器で下腹部を縦に一直線を裂いた後、被害者の膀胱と子宮を持ち去る。そして遺体の側にはメモ用紙が置かれて血塗られた文字にはジャッキー・ゾリッパーと書かれていた。
3人目の被害者。キャメロン・エドウズ。鋭利な刃物で喉を引き裂かれた後、同じ凶器で左横腹と下腹部を切り裂いた後、左腎臓と子宮を持ち去る。そして遺体の側にはメモ用紙が置かれて血塗られた文字にはジャッキー・ゾリッパーと書かれていた。
被害者3人に共通する事は市街で売春婦を生業としている事、ジャッキー・ゾリッパーが犯行を行うのは週末か月末である事。そして被害者全員が声を出す事もなく喉を引き裂かれた事。
喉を引き裂かれる事によって悲鳴が上げられない事。そして息が絶えても執拗に切り刻み刺し続ける事によってあからさまな殺意と狂気があるということ。
確かに皇帝バルガ様の言う通り目を覆いたくなるような殺害内容ばかり。これでは治安が悪くなるし外も出歩けなくなるのは確かだね。
おまけにジャッキー・ゾリッパーはメディアを使い新聞社と警察を嘲笑うかのような劇場型犯罪として民衆の的を集めている。
殺害という犯罪をエンターテイメントのショーとしているという考えもあるかもしれない。
僕は一通り資料を読み終わるとシリアさんに渡す。
「だいたい読み終わりました。」
「そうか。なら私と爺やと一緒に警察の方に向かうぞ。」
「はい。了解です。」
馬車でマーロ帝国の警察署に向かう事20分ほどしてからレンガ造りの建物に鉄格子の門に警備兵が2人。何か近代的な様子の建物。
「シリア・ローズ・アントだ。」
「執事のタイソン・マスキュラー でございます。」
「付き人の寺島泰虎です。よろしくお願いします。」
「皇帝バルガ様の命令により当捜査機関と連携を取るように言われた。」
シリアさんは皇帝バルガ様の依頼書を警備兵の1人に渡すと警備兵は依頼書を確認した後に大きく、そびえ立つ鉄格子の門を開けると僕達3人は警察署へ足を踏み入れて行く。
警察署の中に入ると制服をピッシリと着込んだ厳格ある凛々しい警察の人達がシリアさんと目が合うとペコリと頭を下げて『お疲れ様です。』と声を掛けられる。どうやら顔馴染みみたい。
するとシリアさんはドアの前に立ちノックをしてから入ると金髪で翠色したシリアさんと同じくらいの年齢だろうか。紅茶を飲みながらデスクの椅子に座っている。
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