第3話 パーティに加わる魔法使い(仮)
それから2日ほどしてから傷の回復薬草やら爺やさんの作った身体に優しい食事のお陰かはたまたシリアさんの看病のお陰なのか身体はすっかり良くなって普通に歩ける様になった。
ベッドから起き上がり寝室から出てみると広いお屋敷で天井も吹き抜けていて、窓から覗く庭園も綺麗で何よりも見渡す限り緑で覆われていて広い。
「おや、坊主。もう起きて大丈夫なのか?」
「あっ、爺やさん。おはようございます。もうすっかり良くなりました。ありがとうございます。」
僕はペコリと頭を下げると爺やさんは静かに笑う。なんだか笑うと目尻とか少しジィジに似ているな。
「そうだ。自己紹介が遅れたなワシはアント家の執事長を務めているタイソン・マスキュラーだ。呼び方は爺やでも構わんぞ。一応、お嬢と基本的に一緒にお供をしておる。」
老紳士からはとてもじゃないが剛腕で厳つくて強そうな名前の爺やさん。
「それってシリアさんの裏の仕事の時もですか?」
「もちろん、いざとなればワシも前戦に立って戦闘を行う時もある。」
「ちなみに爺やさんの能力は何ですか?」
「うむ。それはの……」
「それは?」
「そこは一緒に仕事をすれば分かるから今は秘密にしておこう。」
「あらら……」
きっと執事って言われるほどだから華麗にスマートな戦い方をするんだろうな。ナイフとかフォークを武器にして戦闘をやりながら縫い物をするっていう器用さがありそう。
「所でシリアさんは?」
「うむ。お嬢ならきっと礼拝堂で祈りをしているだろう。行ってみるか?」
「はい!是非お願いします!」
僕は爺やさんに案内されるがままにシリアさんの居る礼拝堂に向かう。手入れの行き届いた草木に一つの芸術とも思える外装の建物を見つけ出入り口には剣に巻きつく荊棘と薔薇の花が飾られている。
「ここがアント家の礼拝堂だ。」
「この紋章は何ですか?」
「これはアント家の紋章だ。剣士の家系であり、アント家代々の剣技は【華剣】と呼ばれるほど華やかさを持つと言われている。特にお嬢の剣技は歴代当主より華やかさがあると言われてるのだ。」
「凄いです。僕って本当に凄い人の所の家に来ちゃったんですね。」
「だが坊主も何か剣技をやっておるのだろう?」
「剣技って言うより家が代々古武術の道場をやっていたのです。だから僕が小さい頃から父や祖父に剣術や体術を叩き込まれたので。」
「こぶじゅつ?ほう、それは興味深いな。どんな術なのだ?」
「なんて言うんでしょうかね……簡単に言えば小さな力で最大の威力を発揮するという事です。」
「ほう……それはますます興味が出てきたな。」
どうやら爺やさんは自分の知らない事に対して物凄く興味を持つ人みたい。その手の人は知識欲が旺盛で突き詰めると極めるタイプの人だね。
「簡単に言えば爺やさんが僕の胸ぐらを思いっきり掴んでください。」
「ん?こうか?」
「今、不利な状態なのが僕なんですけど、ここで古武術の力を使うと……」
「おぉ!痛たたたっ!なるほど!これが坊主の言う古武術と言うやつか。」
「はい。僕みたいな身長の小さい人でも自分より大きく体格に恵まれている人に対抗できる先人の知恵を絞り出したのが古武術です。」
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