第3話 パーティに加わる魔法使い(仮)

シリアさんと爺やさんが言うには僕はどうやら転移者でこの世界では度々と別世界からこの世界に転移してやってくる者が居るらしい。その転移者は地元の人でも有り得ないほどの反則スキルつまりチートと呼ばれるスキルを持ち合わせて各国の軍事勢力または国家を暗躍しているらしい。


「つまり僕は転移者的な扱いで良いんですか?」


「まぁ、そう言う事になるな。そうだ!君の職業とスキルを教えてくれないか?!」


「え?」


すると今まで姿を消していたビートが現れて僕の手に収まりスキル画面を開く。


あなたの職業【魔法使い(仮)】。

あなたの武器【金剛の杖】。

あなたのお名前【テラシマ ヤストラ】。

私の名前【ビート】。

レベル15。

攻撃100。

防御78。

速さ90。

特攻30。

特防53。

スキル。

【シュリンゲジ–縮地–】。

【フィズクス・キャンセル-物理無効-】。

【ディストラクション-気配消し-】。


どうやら僕は世紀末の賊を倒した事によって転移時よりもレベルがアップして更にはスキルが追加されたみたいだ。ディストラクション-気配消し-というのはどういうのかはまだ分からない。


僕のスキルを見るシリアさんと爺やさんは何やら首を傾げている様子。僕は気になったので2人に恐る恐る質問を投げかけてみる事にする。


「ど、どうしたんですか?」


「いや、君のステータスを見てみてんだがな。」


「うむ。職業は魔法使い(仮)って言うのも珍しいが坊主の戦闘ステータスの値が不思議なのだよ。」


「何が不思議なのです?」


僕はキョトンとした様子で2人を見つめる様に質問を投げかける。


「うーん。本来なら君は魔法使いの職業に当たる訳なのだが、魔法使いが必要とする戦闘ステータス値って言うのは特攻や特防の数値が高くてはいけないのだ。」


「だが、坊主に関して言えば攻撃や防御の方が数値が高くなっている。本来なら攻撃や防御という数値が高いのは剣士や騎士、武道家といった物理攻撃が得意な職業なのだ。」


「つまり君は本来は魔法使いに向かない戦闘ステータス値になるって事になる。」


「さらに坊主のスキルもフィズクス・キャンセル-物理無効-やシュリンゲジ–縮地–と言った前衛で戦う職業にディストラクション-気配消し-など暗殺者や銃使いや弓使いが必要とするスキルになる。」


「それはつまり僕は落ちこぼれ魔法使いという事ですか?」


「「……」」


シリアさんと爺やさんは顔を見合わせて、どう返して良いのか分からないのだろう。簡単に言えば異世界からの転移者でありながらチート数値が無いし、特別強いスキルがないって事なんだろう。


「ま、まぁ、魔法使いとしては向いていないかもしれないが、君の戦闘力に関しては折り紙付きだ。そこは私も認めよう!」


「うむ。賊を相手にたった1人で立ち向かい賊の組織を壊滅させるとはアッパレだった。そこは胸を張れ坊主。」


何やら同情的な感じで褒められてるのが分かるけどシリアさんと爺やさんなりの慰めなんだろう。そこは言わぬが花って事で素直に受け止めよう。


「あっ!そうだ!あの女の子は?!」


「女の子?一緒に女の子も転移してきたのか?」


「いえ!村に居た小さい女の子で林の洞窟に1人で隠れているようにって……早く行かなくちゃ!」


「それなら我々が手厚く発見し、我がアント家が営む孤児院に送る事になっているから安心しろ坊主。」


「よ、よ、良かった……痛てて。」

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