第3話 パーティに加わる魔法使い(仮)

柔らかくて良い匂いがして暖かくて優しく包まれる様な感じがする……


確か僕はジィジの蔵の中を整理していて懐中時計を見つけて、ネジを回したら時計が逆方向に針が動いて全く知らない別世界に来てしまって、それから……


あの女の子は?!


「痛っ……」


僕は目を覚ますとベッドの上で眠っていたらしいが、起き上がろうと身体を動かしたその直後に痛みが身体の全身を襲ってくる。


「まだ動いちゃダメだぞ。」


聞いた事ある女性の声。その声は落ち着いていて優しく大人の女性を感じさせる声だ。


「え?だ、誰……ですか?」


「私か?私はシリア・ローズ・アント。私の事はシリアと呼んでくれ。一応、貴族で領主なのだが、君の服なんだが見た事ないのだが何処の国から来たんだ?」


すると僕の着ていた胴着の袴を取り出された。アレ?って事は僕の今の姿って?上から下まで見るとバスローブで包まれている。って事は……


女の人に上半身から下半身まで裸体を見られてしまったっていう事になるので僕は恥ずかしさで赤面してしまい、顔を布団の中に埋める。


「ん?どうしたんだ?君はどこの国からやって来たんだ?」


「え?に、日本です……」


「にほん?それはなんていう国なんだ?」


どうやら話が噛み合わない。てか、まずここが何処だか知りたいのが僕である。ここは何処でシリアさんがまず日本を知らない時点で僕は全く違う世界に来たのは確か。


「ちなみに、ここは何処の国なんです?」


「ここはマーロ帝国。武芸者貴族が束ねる封建制度の国。」


「マーロ……帝国……?」


僕はポカーンとした間抜けな表情をしながら開いた口が塞がらない状態。それを悟ったのかシリアさんは呆れた顔をして僕に話し掛ける。


「まさか君が居た場所はマーロ帝国内と知らずにあの村に居たのではないだろうな?」


「ほへ?」


もう本日、何回目か分からない訳が分からない。


するとドアからノックをしてドアを開ける老紳士が丁寧にお辞儀をしながら、左手にはティーポットとティーカップを乗せた御盆を乗せて現れる。


「お嬢。失礼します。お話の所、申し訳ありませんが、この坊主の会話を聞く限りは恐らく年に数回ほど現れる転移者と呼ばれる者ではないかと思われます。」


「おぉ。爺やか。」


「紅茶をお持ち致しました。」


「君も飲むか?」


「あっ!はい。ありがとうございます。」


僕は爺やさんから紅茶を頂き一口飲む。なんだろう。とても香りが上品で口当たりの良い紅茶だ。


「それと爺や。転移者とは世間を度々と騒がす転移者か?」


「はい。小僧の着ていた服と言い履物と良い。我々の居る世界の文化にも当てはまりませぬ。おまけにマーロ帝国の名前を聞いて首を傾げるなど、別の世界から来た転移者として間違いないと思われます。」


「なるほどね~。転移者か……まさか私の目の前に別世界の転移者が現れるとは思いもしなかったな。」

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