第2話 魔法使い(仮)

「へへーん!やっと顔を出しやがったな!」


僕は賊から奪った剣を八相の構えで持ちながら攻撃を仕掛ける僕は剣を振り下ろし賊の剣を叩き落とす。【雷落とし】。一瞬にして物凄い圧力が掛かったように剣が手元から離れてしまう技。


「な?!」


賊が驚いた瞬間に賊の顔に目掛けて剣を突き刺し突き刺した部分から血の噴水が湧き上がる。あと、何人居るか分からないけど、この場は皆殺しする他なさそうだね。


「レベルアップしました。レベル6。攻撃55。防御41。速さ45。特攻12。特防17。スキル【シュリンゲジ–縮地–】。スキルを使って戦闘をスムーズに使いましょう。」


ビートの機械的な声によって分かったが、どうやら僕は賊を倒した事によってレベルアップしたみたい。本当にゲームみたいな感じだ。だけどスキルを使うって言われても……


「スキルはマスター自身が口から発して唱えれば発動出来ます。」


どうやらビートは僕の考えている事を汲み取って説明してくれるみたいだ。


「シュリンゲジ–縮地–。」


僕はスキルを唱えると少し離れた賊の元へと一瞬で辿り着き僕は左側へ入り身をして賊の鎖骨から斬り込み、また賊は切り口から血飛沫を上げて僕は返り血を浴びて倒れこむ。


なるほど、これがスキルってやつか。これなら一々、間合いを詰めなくても一瞬で仕留められるから便利だ。


僕は次々に現れる賊を手当たり次第に殺していく。もう何人切ったか分からないし殺めた人数も覚えていないし、人を切った感覚も血生臭い鉄の匂いにも慣れた。


かつての僕のご先祖様もこういう血生臭い戦場に居たのだろうと思うと、ある意味尊敬する。人が平気で死んでいくのが分かるから気がおかしくなりそう……


「いまだ!」


「ぐっ……」


僕は賊を切り倒した血の池で一瞬だけ足を滑らせて体勢が悪くなり踏み止まったが、その一瞬の隙に弓矢を僕の左腕に打ち込まれてしまう。


痛い……だけど、倒れたら死んでしまう。死んじゃダメだ。死んだら女の子との約束を破る事になる。


僕は痛み耐えながら剣を下段に構えてスキルを唱える。


「シュリンゲジ–縮地–。」


スキルを使って賊との距離を詰めて無拍子突きを相手の下腹部に突き刺し腰の辺りまで貫通させ引き抜く。賊はいくらか減ったが、まだまだ居るのは確か。疲労を見え始めているが僕は自分を奮い立たせる。


さっきからビートがレベルアップの知らせをしているが気にならなくなるが、また賊を1人。また1人と確実に息の根を止める。確実に殺さなければ、こっちが殺される。


「レベルアップしました。レベル10。攻撃75。防御53。速さ65。特攻20。特防33。スキル【シュリンゲジ–縮地–】。【フィズクス・キャンセル-物理無効-】。」


どうやら新しいスキルを覚えたようだ。物理無効?つまり物理の法則を無視して物を壊せるって奴?試しに使ってみよう。


賊が僕に斬りかかろうとしているのが分かるので僕はそれを受ける。硬直して鍔迫り合いの状態となるが、僕はスキルを唱える。


「フィズクス・キャンセル-物理無効-。」


「なに?!!」


僕がスキルを発動した途端に賊の剣はバタのようにグネリとひん曲がり、賊の剣は使い物にならなくなって、その瞬間を見逃さず僕は斬り込み賊は絶命する。


それから僕はシュリンゲジ–縮地–とフィズクス・キャンセル-物理無効-のスキルを使いながら賊の壊滅へ事を運ばせるが、途中で弓矢やナイフの奇襲や伏兵にも襲われて僕もダメージが着実に蓄積されていく。


「はぁ……はぁ……」


僕は剣を地面に突き刺し座り込む。少し休憩。目の前の賊は見ての通りぼぼ全滅させた。周りは賊の死体の山だし血の池って言うより血の海だねこれは。


「はははは……」


自分でも笑えてくるよ。かつて、ご先祖様の知恵を捻り出して作られた対殺人用の武術を継承された僕が使う事になるなんてさ。僕の居る日本なんて正統の理由なしに相手に傷一つ付けたら犯罪だからね。

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