第1話 僕のプロフィール

更に古武術と西洋式格闘技の違いはノーモーションで技を出す事。モーションがあると人は反射的にガードするけどノーモーションなら気付かれず技を出せる。


そして基本は内部衝撃という内臓破壊を繰り出す為、確実に仕留められる。


言ってしまえばグーでやる突きよりかパーにした掌底の方が効き目抜群。グーだと拳が痛いし拳立てで鍛えなくちゃだけどパーの掌底は間合いが狭くなるけど全体重を乗せやすい。


蹴りは基本はローキックかミドルキック。だけど西洋式格闘技だと腕を下げてしまうが、古武術だとガードは上げたまんま。ガードを下げると顔面がガラ空きになるから。


相手との距離が近いなら膝蹴りや肘打ちがおススメ。肘や膝は硬いから鳩尾や肋骨に入れるのにはオススメ。


あとは投げもあるし、関節技もあるけど、そこは追々説明していく形でよろしく。


そうこうしているうちに体術の稽古は終わり、突き、蹴り、受けの基本をやってから約束稽古をしてからミット打ち。最後はクールダウンでお相撲さんのやる四股と拳立てと2人1組でやる腕絡み腹筋やって終わり。


神前に対して例をしてから解散。ざっと1時間ちょっとだけど結構良い運動にはなる。


僕は着替えてから渡り廊下を歩くと自宅の玄関に着いて昔ながらの平屋住宅の引き戸を開けて靴を脱いで居間へと向かう。そこには僕の父であると同時に道場の師範である寺島 平八(てらしま へいはち)が上座でどっかり座っている。


とある格闘技ゲームに出てくる喧嘩空手の使い手でも無ければ財閥の総帥ではない。和服からでも分かる筋肉質で髭を蓄え白髪混じりの髪でテッペンだけツルツルだが、決して奴ではない。


「稽古お疲れだったな泰虎。仕事も忙しいのに。本当は道場に関しては俺がやらなくちゃいけないのにな。」


「別に俺は好きでやってるから良いよ。父さん。父さんも柔整の理事会やら古武術協会の役員やらで忙しいんでしょ?出れる時は出るよ。」


「うむ。済まぬな。」


「泰虎。ご飯出来たわよ。今日はアンタの好きな焼き魚と揚げだし豆腐と豚汁と漬け物よ。」


そう言って台所から出てきたのは割烹着を着た童顔で小柄な若々しく見える女性は母さんである寺島 繭子(てらしま まゆこ)。因みに僕は母さんに似て童顔で背も小さい。小さい頃は本当に女の子に間違われたよ……


そこは、ちょっとトラウマなんだよね……


「そうだ泰虎。」


「ん?なに父さん。」


「明日の剣術の稽古なんだが……」


「あぁ、古武術演舞だったんだっけ?良いよ僕が教えとくから。」


「すまんな。本当は遊びたいんだろうが。」


「別に良いよ。それが半分息抜きみたいなもんだし。」


「はぁ。アンタって子は女の(お)の字もないのね。」


「煩いなぁ……」


僕の家は一人っ子だから当然、道場の後継者は僕だけど、その僕が女っ気がない事に母さんは憂いている。そんな事を言っても僕は男として見られないんだよね。どっちかって言うとマスコットキャラみたいな感じだし。


本当は僕だってデデンデデッデーンみたいな身長高くて筋肉マッチョでライダースを着てハーレーの似合う人になりたかったよ。どうやら僕は筋肉が付きにくいみたいだし。

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