祭りの夜、影たちの舞踏

南沼

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 炎に神は、宿るとされる。

 神とはまた精霊たちであり、それらは分かちがたきものとされる。幽玄なるままに揺れる炎、闇を切り取る嚇々たる火炎の中にあるそれを、天地あめつちの間にあるもののうち最上から三つめ、すなわち太陽と月の次にある神聖なるものとして、そのように呼ばう。

 恵みでありながら時に災いをもたらす、人の力を大きく逸脱するもの。それは始まりであり、終わりでもある。何故ならば、世界の始まりは炎と共にあり、終わりもまたそうであるからだ。人は影に過ぎない。闇を炎が照らして初めて影が出来る様に、神があって初めて人がある。

 疑うのであれば見よ。何昼夜も空を舐め赤く染め続ける山火事の業火を、暗い竈の灰の中で燻ぶり鈍く光る熾火を、爆ぜる火の粉と共に舞い踊る祭りの篝火を。それらの中に、確かに神々はある。

 少なくとも少年は見た事がある。

 神を。精霊を。揺らめく炎の中に宿るそれらを。

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