(3)不穏な動き

「ねぇ、ショーエン。もしかして地球人って、おろものの比率が高いのですか?」


 とシーナが訊いてきた。


 1993年1月27日、水曜日の夕方。


 今日の仕事は午前で終えて俺は先に帰宅していたのだが、妊娠6か月のシーナは部下に仕事を任せて自宅で色々作業をしていた。


 明日28日は内閣総理大臣である鮫沢さめざわとの定期会食の日だ。


 俺達が地球に降り立った1981年3月からほぼ12年が経過し、ちょうど干支えとが一周した。


 鮫沢と初めて出会ったのは1981年の3月28日だった。


 地球に降り立ったばかりで、戸籍の無い俺達の身分証明書を偽造する為に接触した印刷屋の店主が紹介してきたのが鮫沢だった。


 当時は与党に属する議員の一人だった鮫沢だったが、その後色々あって定期的に鮫沢と会食をする事になり、俺達が初めて出会ったのがたまたま28日だったという事もあって、毎月28日を会食の日にした訳だ。


 当時の日本の政治家は、それなりに気骨のある政治家が揃っていた。

 しかし、一部の「売国奴」とでも呼ぶべき議員達が与党の中にも居た。


 そんな彼等の背後に居るのが海外の資本家達だと知り、前世の俺の記憶では1985年にあったはずの「プラザ合意」という日本にとっては不利な為替条件を飲まされる合意を、俺達は阻止しようとした訳だ。


 それを不快に思ったアメリカが、その報復としてCIAを使って仕組んだのが1985年のジャンボ機墜落事故だったのだが、俺達が被害者を出さない作戦を立てて、死傷者の居ない「謎の墜落事故」を演出し、見事アメリカの思惑を回避して見せたのだった。


 その活躍を鮫沢の功績に仕立てた事をきっかけに、俺達は鮫沢を内閣総理大臣へと押し上げる事に成功した。


 その後も鮫沢とは懇意こんいにしており、俺達が日本で暮らす為の様々なサポートもしてもらえた。

 俺達も鮫沢の政治に協力してきたが、俺が経営するコンサルティング会社の最大顧客として日本政府があるのは、鮫沢の協力無くして成し得る事は無かっただろう。


 そうして高度経済成長を続けた日本は、今や世界で最も栄えた国として君臨する事になった。


 日本を豊かにした鮫沢内閣は国民からも信頼され、鮫沢は精力的に総理大臣の仕事をこなしていた。


 総理大臣に就任してから8年目の今年、2期目の任期満了を期に鮫沢は総理大臣を辞める予定で、その後は政界から退き、俺達の会社の相談役のポストに迎える段取りを進めている。


 明日の会食ではその具体的な話をする予定だが、実は昨日の夜に鮫沢から電話があり「世界の動きについて話しておきたい事がある」との事で、明日にその詳細を聞く事になっているのだ。


 どうにもポジティブな話では無さそうだったので、ティアとシーナにその事を話すと、


「じゃあ、鮫沢が何を言って来てもショーエンをサポート出来る様に、私達もこの星の事を調べておくね」


 というティアの進言により、昨日の夜からティアとシーナの2人で様々な情報を集めてくれていたのだ。


 妊婦であるシーナにそんな大変な作業をさせたのかと言いたい者も居るだろうが、そこは心配しないで欲しい。


 俺達が装備しているプレデス星仕込みのデバイスは、装着者の能力に合わせて複数のアバターを脳内に作る事が出来、それぞれに仕事を命令すれば、当人が眠っていてもアバター達が24時間休まずに仕事をしてくれるという優れものなのだ。


 で、その作業を先に終えたシーナが何を言い出すかと思えば、


「ねぇ、ショーエン。もしかして地球人って、愚か者の比率が高いのですか?」


 な訳だ。


 俺はシーナが至って真面目な表情なのを見て、


「シーナの考える『愚か者』の定義が何かによるな」


 と曖昧あいまいに答えた。


 シーナは頷いてから少し考える様に顎に手を当て、


「地球人は、利己的で傲慢ごうまん、そして狡猾こうかつ野蛮やばん。更には怠惰たいだな人間の比率が高い様に見えるのです。これは、プレデス星の法でもクレア星の法でも許されないし、ショーエンが統治したテキル星でも許されない事なのです」


 と言った。


 なんとまあ、随分ずいぶんわれようだな。


 たましい的には地球人である俺にとって、シーナの言葉は耳が痛い。


 が、他でもないシーナがそう思うのなら、決して無視は出来ない話だ。


「どうして地球人が利己的で傲慢、狡猾こうかつ野蛮やばん、さらには怠惰たいだだと思ったんだ?」


 と俺が訊くと、シーナはデバイスで要点をまとめた文章を送信してきた。


 それによると、どうやらシーナは先日会社で発表したものよりも更に古い世界史の記録を調査したらしいデータを列記しており、シュメール文明から近代史に至る人類の歴史の中で、特に戦争が絶えない原因を探っていた痕跡こんせきが見て取れる。


 更には植民地支配の歴史や奴隷制度についても調査していた様で、要は、


「下らない理由で同じ人間同士が殺し合う歴史が、ずっと続いている」


 という事だ。


 シーナが下らない理由だと断じるのは、戦争のきっかけが「私利私欲を満たしたい連中」によるものばかりだからだそうだ。


 結局、強欲で傲慢で利己的である結果が戦争であり、それを正当化する為に理屈をこねたものを「正義」と呼んできたと。


 その「正義」の名の元に人々が集い、感情に流されて理性的判断を失う者達の事を「怠惰たいだ」だとシーナは言う。


「正義の名の元に隆起りゅうきして戦った人々の事を怠惰たいだというのは、どういう事だ?」


 と俺はシーナに訊いた。


 シーナは俺がどうしてそんな質問をしたのかと不思議そうな顔をしたが、


「だって、傲慢な者の私欲を『正義』だと呼んでいるだけなのに、それを私欲だと知ろうともせず、自分の財産や命さえ差し出すなんて、愚かな行為でしか無いのですよ」


 なるほど。


 つまりシーナは、人々が支配者の言う事に疑問も感じず、思考停止状態で言いなりになっていた事を『愚か』だと断じている訳だな。


「そういう事なら、人々はシーナの言う通り『愚か者の集団』という事になるな」

 と俺は言いながら、「だけどなシーナ、その理論だと、俺達が地球に降りた日に食事を振舞ってくれた蕎麦屋の夫婦も、その『愚か者』って事になるぞ?」


 と俺が言うと、シーナは、

「それは・・・」

 と言葉を詰まらせた。


「シーナ、この星の人類の歴史は確かに愚か者がつむいできたのかも知れない」

 と俺はシーナに笑みを見せながら言い、「だけど、歴史に名を残す事の無い、あの蕎麦屋の夫婦の様な親切な人が大半なのも事実なんだ」

 と続けて、シーナの大きくなってきたお腹をさすり、

「この子が過ごすこの星が、そんな絶望的な星だなんて嫌だろ?」


 俺がそう言うと、シーナは一度頷いてから表情を和らげ、


「そうでした。ショーエンが目指した星が、そんな愚か者しか居ない星な訳が無かったのです」

 と言ってシーナは、自分のお腹をさする俺の手を優しく握り、「この星は、ショーエンが言ってた通り、食べ物は美味しいし、スポーツは面白いし、音楽は楽しいのです」

 と言って、愛おしそうに俺の手に頬ずりをしたのだった。


 蕎麦屋の夫婦とは、俺達が初めて地球に降り立ったその日、まだ俺がこの地球が『いつの時代の日本か』さえ分からなかった時に通りがかった静岡県にある蕎麦屋の夫婦の事で、金も無く、どこに向かうべきかも見い出せていなかった俺達に、温かい食事を振舞ってくれた親切な人達だった。


 昭和の日本人をテーマに絵に描いたら、きっとあの蕎麦屋の夫婦の様になるだろう。


 その時、「ただいま〜」という声と共に、ティアがリビングに入ってきた。


「おう、おかえり」

 と俺はティアの方を見て言うと、ティアは足早に俺の前まで歩み寄り、


「ねぇショーエン。色々この世界の歴史を調べてみたんだけど、もしかしたらこの星の人類って、愚か者ばかりなのかも知れないわ」


 真面目な顔でそう言うティアに、俺とシーナは目を丸くして顔を見合わせ、そして腹を抱えて笑い出したのだった。


「え、何?」


 とティアがキョトンとしていたが、俺はティアの手を引いて胸に抱き、


「いや、お前もシーナと全く同じ事を言うもんだから、何だか可笑しくてな」


 と言いながら、訳が分からないといった顔をしているティアの額に、チュっとキスをしてやったのだった。


 ・・・・・・・・・・・・・・


 23時00分、風呂から上がって夕食を摂った俺は、ティアとシーナと共にベッドに入った。


 いつも通りに俺の両腕は二人の枕代わりだ。


 右にティア、左にシーナ。


 クレア星の学園の寮で、初めて3人で昼寝をしようと腕枕をしてやった時から、まるでこれが暗黙のルールでもあるかの様に、2人はいつも同じ配置で俺の側に居る。


 いつだったか、2人が「これが一番安心出来る位置なの」と言ってた気もするが、俺もいつしかこの配置が一番心地良く感じる様になっているから不思議だ。


 目を瞑って静かな寝息を立てる2人の呼吸を両手で感じながら、俺はこの世界の事を色々と考えていた。


 ティアもシーナもプレデス星で生まれた生粋のプレデス星人だ。

 俺とは違い、前世の記憶など持ってはいない。


 しかし、2人は俺なんかよりも断然優秀だ。


 2人が生まれた星、いや、俺のこの身体が生まれた星でもあるプレデス星の制度が、こんな2人を育てたとも言えるだろう。


 クレア星で生まれたライドも優秀だが、ライドはいわば「とてつもない努力家」というべき男だ。


 プレデス星人であるメルスやイクスとミリカも、いわば一種の「天才」みたいなもので、ライドの「努力で積み上げた能力」とは少し違う気がするもんな。


 地球とは比べ物にならないレベルの発展を遂げたプレデス星では、少なくとも俺が知る限り戦争の歴史など無い。


 高い技術力があり「善行」が価値の基準であり「いかに善行を行ったか」が政府報酬の基準にもなっていた。


 退屈ではあったが、争いなど無く、平和で穏やか。


 それがプレデス星での生活だった。


 そんな世界の価値観を持つティアやシーナの視点で地球の歴史を見ると、耐え間無く戦争をしていた地球人の歴史は、確かに「愚か者」の歴史にしか見えないのかも知れない。


 しかし、俺の考えは違う。


 地球人が愚か者の集団なのではない。

 むしろ、純粋で無限の可能性があるのが地球の人類だとさえ思っている。


 愚かなのは、そんな人類を操って地球を支配している者の方だ。


 複数の宗教によって価値観を分断して人間同士の対立を作り、片方には富を、もう片方には劣等感を植え付けて対立を深めてゆく。


 プレデス星人と同じく地球人も「自尊心」が無ければ生きていけない。


 にも関わらず、支配者によって分断され、劣等感を植え付けられた人々は、なけなしの「自尊心」を得る為に、更に劣った者を探して見下す様になる。


 そこには序列が生まれ、やがて序列の最下層に落ちた人類は、上位の者を羨み、妬む様になる。


 プレデス星でも簡単な序列は存在したが、あくまで「善行が価値基準」だったので、人々はいつも善行を積み重ねようとして生きていた。


 しかし地球は違う。


 価値の基準を「金」に頼ってしまった。


 そこには人格や善行などの基準は無く、あるのは「どれだけの金を持っているか」という基準だ。


 これこそが支配者達の罠なのだとしたら、奴らは相当に狡猾な連中だ。


 決して転覆出来ない仕組みを作り出したと言っても過言では無いだろう。


 何せ、支配者達は自ら通貨を発行する事が出来る位置に居るのだから。


 結局、この仕組みにより「支配者に都合の良い者だけが救われ、それ以外の者は奴隷にされる」という仕組みが出来上がってしまった訳だ。


 これまでの人類の歴史は、そうして奴隷の様に抑圧されてきた者達が、やがて耐え切れずに反乱する事を繰り返している。


 しかし、支配者達もバカでは無い。


 人類を奴隷の様に操る為には、奴隷達が自分を奴隷だと知る事が出来ない様に、適度な自由と満足を与えるべきだと学んだのだ。


 結果、支配者達は人々に、音楽、スポーツ、エンタメ、セックス等、奴隷達に娯楽を与える事で不満を紛らわせる事に成功した。


 更には民主主義政治の導入により、国民が選挙によって政治家を選ぶ事で、生活が苦しくなっても「こんな政治家を選んだ自分達が悪いんだ」と思い込む様に仕向けた。


 ここまで完成すれば、世界は支配者の思うツボだ。


 この仕組みは、俺達が地球に来る前には出来上がっていたし、現在の地球もそれは変わっていない。


 俺達が地球に来たのが1981年。


 そこから俺達は日本人としての地位を確立し、色々調べる内に「300人委員会」と呼ばれる資本家達に操られるアメリカ大統領と会う機会を得た。


 結局、地球を陰で支配していたのが「300人委員会」だと言う事が分かった訳だ。


 人を人とも思わない非道な彼らだが、実は意外にも信心深い連中だった。


 彼らが信仰していたのが「ルシファー」と呼ばれる神。


 地球の宗教的価値観で言えば、ルシファーとは「悪魔」だ。


 強欲、傲慢、狡猾、それでいて理知的である事を正義とするルシファーの教えを信仰していたのが「300人委員会」だった訳だ。


 更に、ルシファーの正体は、アメリカのエリア51の地下施設に住む、ドラゴンの遺伝子を持つ人間、レプト星人だった。


 俺達プレデス星人の価値観では、レプト星人とは「罪人」だ。


 しかし、俺達が人類の発祥について月の基地で得た情報によれば、レプト星人こそが地球の原住民であり、俺達プレデス星人は、火星こそが母星だという。


 惑星の衝突によって人間が住めなくなった火星を脱出したプレデス星人の祖先は、最も近くにあった惑星である地球に移住しようとし、そこで知的生命体であった恐竜達と交渉をした訳だ。


 プレデス星人の技術を提供する代わりに、地球の資源を月を経由して火星に送り、火星の復興活動を行うという交渉だ。


 地球の神話や伝記にもそうしたものがある。


 特に興味深いのは、地球の呼び名だ。


 俺達プレデス星人は、地球の事を「ガイア星」と呼んでいた。そして、月の事を「テラ」と。


 しかし、地球の伝記では「ガイア」も「テラ」も、両方が「地球」を指していた。


 ギリシャ神話では地球をガイアと呼び、ローマ神話では地球をテラと呼ぶ。


 しかしこれは地球人の解釈の違いがある事が分かっている。


 過去に地球に降り立ったプレデス星人が、地球の人類に伝えた技術によって栄えたローマ帝国時代に「天から降り立った神の御使いがテラに住まう者だった」事から、時代の流れと共に「テラこそが地球の事」だと解釈された様だ。


 逆に、ギリシャ神話で有名なゼウス神も、俺達から見ればただのプレデス星から来た惑星開拓団の一員な訳だが、そいつはどうやら自らを「ガイアの子孫」などと称したらしく、おかげで神話の中では「ゼウスを産み落とした星」である地球をガイアと呼んでいる訳だ。


「でもまあ、シーナの言っている事も間違ってはいないな」

 と俺はシーナを抱き寄せながら、シーナを起こさない様に小声でそう言い、「同じ仲間である筈の人類が殺し合うなんて、本当に滑稽こっけいな話だぜ」

 と続け、シーナの頭に自分の頬を充ててゆっくりと頬ずりをした。


 シーナは眠りながら、俺の頬ずりに満足した様に微笑んでいた。


 プレデス星は、宇宙で一番技術が発展した星だ。


 そんなプレデス星に住む人間の中でも比較的優秀な者達は、クレア星に移住して「惑星開拓団」に入団する。


 その中でも特に優秀な者は惑星開拓のチームに所属し、様々な惑星開拓を行う事になる。


 俺達はクレア星の学園史上最高に優秀な成績を納めていた為、学生の身でありながら特別に惑星開拓の実地研修を行う事が出来た。


 それがテキル星という惑星での事だった。


 テキル星は地球とよく似た惑星で、文化レベルは中世ヨーロッパ程度だった。


 テキル星を監理していた惑星開拓団のクラオ団長は、遺伝子研究を得意としており、様々な生物を創造する事が出来た。


 その能力を使ってテキル星に龍を創造し、人間同士の争いを収めた事もある。


 この地球にも沢山のドラゴンや龍の伝説はあるが、現在生きている龍は居ない筈だ。


 ルシファーとして崇拝されていたドラゴンの様な皮膚を持つレプト星人は俺達が倒したしな。


 そして俺達がルシファーの代わりに神の化身として「300人委員会」の信仰の対象になる事で、日本は再び「神の国」として存続する事が出来ているのが今だ。


 こうして日本は、アメリカに経済的な侵食を受ける事が無くなる。


 と、これまではそう思っていた。


 しかし、先日シーナが見ていたテレビ報道で、気になるニュースを見つけたのも確かだ。


 些細な事だったので、その時はあまり気にしていなかったのだが、今日のシーナがくれた情報を読み解くと、「もしかしたら」と考えてしまう。


 何のニュースかって?


 それは『日本の土地価格の上昇による不動産が好景気』というものだ。


 好景気なんだから何も悪い事は無いと思う人は多いだろうが、この傾向を俺は前世の記憶で知っている。


 日本は今、いわゆる「バブル経済」に向かっているのだ。


 前世の記憶では、1970年代から始まった高度経済成長で日本の産業が発展し、1980年頃から日本のカメラやポータブル音楽プレイヤーがアメリカで人気になりつつあった。


 1990年頃には日本車が世界で売れ始め、故障が少なく性能の良い「メイドインジャパン」は世界のブランドとなりつつあったのだ。


 為替的には円安だった事もあり、日本の輸出産業は急速な成長を遂げ、それが日本国内の需要を加熱して、銀行がどんどん融資をする仕組みが出来上がり、人々は「夢のマイホーム」というメディアの扇動に踊らされて、土地や建物を買い漁る様になった。


 しかし、この世界線では俺達の介入によって、日本でバブル経済は起こらず、緩やかな成長を続ける方針にしていた筈だ。


 なのに、人々が不動産に手を出し始め、まるでバブル経済を彷彿ほうふつさせる様な動きを見せ始めているのだ。


 これはおかしい。


 アメリカの策略によるバブル経済は阻止した筈なのに、「300人委員会」の誰かが暗躍しているのか、はたまた別の組織があるのか。


 もしかしたら、俺達がどのように介入しても、そもそも止める事の出来ない類の動きだという事なのかも知れない。


 だとすれば、これは日本人が私利私欲の化身で傲慢な者達だというシーナの指摘も的を得ていると言わざるを得ない。


「なるほどな。どうやら、地球人に愚か者が多いというのは本当なのかも知れないぜ」


 俺はそう呟きながら、明日の鮫沢との会食でどんな話を聞かされるのか、概ねの見当をつけ、デバイスに整理した情報を登録してから眠りについたのだった・・・。

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