雨宿り

バブみ道日丿宮組

お題:小説の傘 制限時間:15分

 雨が降ってた。そして傘を忘れた。

 なんとかバス停まで走ってこれたけれど、肝心のバスは1時間後らしい。

「……」

 いつもなら時間つぶしで散歩するのだけど、傘がない時点で巡ることはできない。

 暇ならスマホでもいじってようかなって思うのだけど……。

 視線が気になる。

 バス停の待合室にはメガネをかけたおじさんが一人。

 その人からずっと視線を感じてる。

 顔を向けてみても、曇ってるメガネからは視線がわからなかった。

 どうして私を見てるのかはわかってる。

 雨でびしょびしょに濡れた制服がぴったりとくっついて、下着が透けてるためだろう。それを見ておそらく楽しんでるんだろう。クラスの男子と同じだ。

 もっとも私は見られるということはあまり体験してない。

 地味で目立たないということもあるが、体操服に着替えるときは別でガン見される。更衣室なんて高級なものは私の学校にない。水着に着替えるのも男子と一緒。女子トイレで着替える娘もいるが、面倒くさいとクラスで着替える娘も多い。男子はチラリと見えるのが楽しいのか着替えが発生するとやかましくなったものだ。

「……はぁ」

 まぁ……嫌だな。男子に見られるのも嫌なのだがこの空間で1時間も待ったら、空気で妊娠しそう。精子と卵子が空気中に受精することはないのだろうけど、何かが身体を犯すような気がしてならない。

 ただでさえぴっちりとしたパンツが気持ち悪くて位置を直したいというのに、視線に隠れて直すこともできていない。

 これがえっちなやつだと、このおじさんに襲われて処女を喪失するだろう。

 雨音は叫び声をかき消す。

 私が叫んだとしても無効化される。

 えっちなやつだと、そのあとなんかおじさんとのを気に入って自らえっちを誘導するのだけど、私には到底理解できない話だ。

 はじめてが知らないおじさんなんて……不幸でしかない。

 白馬の王子様なんて言葉は言わないが、せめて恋愛した相手とそういうことはしたい。

 思考に入っても視線は変わらない。

 こうなれば、スクールバッグを傘代わりにして隣のバス停にいくとしよう。

 そうして雨のもとに出て、パンツを直し次のバス停へと走った。

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雨宿り バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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