第96話 ダンジョン爆破解体クエスト


「何かないかー?」

「ううん、こっちはなにもないー」

「あ、ミーミスの薬草があったー」

「あれ?これは何かの仕掛けかな・・・・・・でも何も反応がないや」


 部屋のあちこちに散らばったパーティメンバーと、色々と探索しながらコミュニケーションをとっていく。


 【千里眼】で一挙に調べればいいかもしれないが、やはり実地で人の目を使った方が見落としは少なかろう。というか、ダンジョン爆破解体だけを行うだけだと、本当にメンバーのすることがなくなってしまうしな。


「ここの部屋はもう大丈夫そうね」

 皆が俺の元に集まり、銘々自分の成果を見せてくる。薬草に、モンスターのとんがった角等々・・・・・。


「それじゃ、ここはもういいな?」

「ええ。それじゃ、やっちゃお」

 俺たちは、部屋の外に出る。俺はその出口に向けて手をかざす。


「超上級魔法【焔神竜の慟哭】――」


 壁、床、天井が一斉に火を噴き上げる。さながら火山の噴火のように。大地を揺らすほどの轟音が、俺たちの聴覚を満たす。


 あっという間に、部屋は跡形もなくなり、破壊の際に流れ込んできた土砂で埋め尽くされる。


 その光景を確認すると、俺は皆に告げる。


「よーし、これで爆破解体終了だ」

 初めてのダンジョン爆破解体に、一同ちょっとだけ見とれていた。


「すごい威力ね・・・・・・」

 ミオが感心したように言葉を漏らす。


「てか、ここまでする必要はあったのかな?わざわざ超上級魔法使わなくても・・・・・・」

 ソフィアの疑問に、横からセレスティーヌがフォローを入れる。


「いや、でもダンジョン爆破解体クエストって、これくらいの威力のある魔法使わないと出来ないんじゃないかな?」

「ということはさ、魔力使い放題のレイくんが、一番有利なんじゃないかな」

 アリスが言う。


「そうよね・・・・・・これから各国でダンジョン攻略が進むごとに、レイがどんどん必要とされるかもしれないわね」


 セレスティーヌの言葉に、ミオが付け加える。

「だったらさ、もうそのときは、ダンジョン爆破解体専門にしない?結構、実入りもいいっていうしさ」

「なるほど・・・・・・てか、それだったら俺だけ働くことにならない?」

「いいじゃん、別にさ。私たち楽にできるし」

 当然の如く胸を張るミオ。


「だったら、報酬も俺が全部いただくぞ」

「えー、ケチ~」

「ケチとはなんだ。俺が爆破解体クエストするなら、当然だろ」

「報酬といえばさ・・・・・・今回の報酬って、いくらなんだろうね」

 ソフィアが話に割り込んでくる。


「さあな。アリエスさんの口車に乗せられた感じがするが」


 なぜだかアリエスさんは今回の報酬について、はぐらかしたのだ。なんでも、本格的なダンジョン爆破解体クエストは初なので、報酬は俺たちが帰って来るまでに調整しておくとかなんとか。


「ま、適当にやっとけばいいんじゃない?」

 とミオはお気楽に言う。


「そうだな。じゃ、次の区画に行きますか」


 俺たちはパグラスダンジョンを進む。

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