第43話 ギルド食堂での初対面
ということで、俺たちはギルド食堂へと行く。
相変わらず賑やかな食堂の、その片隅に陣取る俺たち。
いつもと代わり映えしない格安定食で胃袋を満たす。
「今日はいつになく混んでいるわね」
食事をしながら、セレスティーヌは辺りを見回す。
「そうかな。昼食時はいつもこんな感じじゃないか?」
「いや、いつもより多いよ」
そんな会話を交わしていたとき、声をかけられた。
「あの、すみません。そこ空いていますか?」
セレスティーヌの隣を指さしてそう尋ねてきた人がいた。声からして、女性のようだ
「あ、どうぞどうぞ。今日はいつになく混雑していますからね。相席は全然おっけーです」
セレスティーヌが愛想良く応じる。「ありがとう」とお礼を述べて、その人物はセレスティーヌの隣に座る。
「あっ・・・・・・」
俺はセレスティーヌの隣に座った人物の、その顔を目にして驚く。
「あれ、どうかされましたか。そんなに私の顔を見て・・・・・・、何かヘンですか?」
不思議そうに首をかしげる彼女は――つい先ほど、アリエスさんと口論していたあの少女だった。
俺はセレスティーヌに言う。
「セレスティーヌ、あれだよ。この人が、さっきアリエスさんからアルカディア荘のことを紹介してくれって頼まれたあの女の子」
「へー!すごい偶然ね」
セレスティーヌは嬉しそうに少女のことを見る。一方、彼女は何が何やらと、不審げな視線を俺達に送る。
「ん・・・・・・?私、お二人とは初対面ですよね・・・・・・?」
若干の恐怖をにじませながら、彼女は言う。
「おっとごめんなさい。俺はレイ。君、さっきアリエスさんとギルド寮に入れないとかで、口論していた子だよね?」
「あ、はい・・・・・・でもどうしてそのことを知ってるのですか?」
「実は、アリエスさんからちょっと頼まれてな。そういえば一つだけ紹介できそうな物件があったって話でさ」
「えーっ!」
少女は驚きの声をあげて、思わず立ち上がる。
「あ、ごめんなさい・・・・・・私、ちょっとはしゃぎ過ぎたみたいで・・・・・・」
少女は座り直す。
「それで、どこにあるんですか?その私が住めそうな物件っていうのは」
「ああ、アルカディア荘っていう名前なんだけれどな・・・・・・」
「そこからは私に説明させて」
セレスティーヌが話に割り込んでくる。
「アルカディア荘はね、ギルド直営のアパートなんだけれど、色々と事情があって今は3人しか住人しかいないのよ。それで、その3人の住人のうち、ひとりが私、もうひとりがこのレイなのよ」
「へえ・・・・・・アリエスさんは、そこだったら住んでもいいって言ったんですか?」
「うん、まあそういうことかな」
俺は言う。
「でも、これだけギルド寮が一杯で、人が入れないっていうのに、よくそんな場所がありましたね」
「ええ、まあね。ちょっとわけありだけれど。それで、どうかしら?良かったら、これから見学に来る?アルカディア荘の中を案内するわよ。といっても、案内できるほど広くはないけれど」
「あ、はい。ぜひ」
「おーし、それなら話は早い。私はセレスティーヌ。よろしくね」
「よろしくお願いします。私はミオ・グランスタッドっていいます」
「ミオちゃん、ね。それじゃ、早速アルカディア荘に行きますか。レイ、【瞬間移動】お願いしていいかしら」
「もちろんさ」
俺たちは【瞬間移動】で、アルカディア荘へと向かう。
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