第11話 今後のこと
「それで、今後のことなんだけれど・・・・・・」
「目下のところ、お前を追いかけている連中をなんとかしないといけないよな」
「うん、そうね・・・・・・」
色々と嫌なことを思い出したのだろう、セレスティーヌの表情に少し陰が差す。
俺はそんなセレスティーヌを励ますように言う。
「だからさ、大丈夫だって。俺が絶対に守ってみせるから。てか、お前を追いかけているルディとその一味の根城を今から叩き潰しにやったっていいんだぜ」
「うん、ありがとう」
若干のぼせてきた俺に、セレスティーヌは苦笑する。
「でも、当面はあいつらのことは放っておいていいと思うの。奴らもそう簡単には、私の居場所は分からないだろうし」
だから、まずは生活のことを考えましょう、とセレスティーヌは続ける。
「お金を稼ぐ方法についてだけれど。今日やって分かった通り、配送クエストは【瞬間移動】があればすぐに終わるわね。だからすごく良い小遣い稼ぎにはなる。ただ、問題はそんなに毎日配送クエストがギルドに来るか、ていうとそうでもないでしょうね。となると、稼ぐためには、他の種類のクエストもしないといけないでしょうね」
「他の、ていうとどんなのがあるんだ?」
「そうね。はい」
セレスティーヌは懐から紙を出し、机の上に広げる。
「ギルドが無料で配布しているもの。ここに、基本的なクエストの種類が書いてあるわ」
俺たちは、その内容を確認する。
配送の他に、採集、狩猟、モンスター討伐、などなど。ただ、「その他」という項目もあり、赤ん坊のお守りとか、絵のモデルになって欲しいとか、とかく内容は多岐に渡るらしい。
「さすが、何でも屋のギルドってとこね」
「セレスティーヌはどれがいいと思う?」
「うーん」
しばし思案したのち、セレスティーヌはピッと紙の在る部分を指さす。
「やっぱりモンスター討伐かな」
「ふうん。どうしてそう思うんだ」
「採集とかは、基本初心者向けで、あまりお金にならないみたいだしさ。それに比べて、モンスター討伐は報酬も結構お高めに設定されているし、討伐したモンスターの素材次第では薬とか武器とか作れるっていうし」
レイがいるから、あんましモンスターの強さとか気にしなくていいしね、と付け加える。
「おーし、それなら早速今から受注して・・・・・・」
立ち上がる俺を、セレスティーヌは止める。
「待って待って。今日はもうやめようよ」
「ん?どうかしたか」
「だって私疲れちゃったもん・・・・・・」
唇を尖らせるセレスティーヌ。
俺はふと気付く。そうだ、まだこの世界に来て一日しか経っていないんだよな。
セレスティーヌにしても、とんでもない一日だっただろう。朝、目が覚めたときには、こんなこと考えもしなかったに違いない。いきなり自分の部屋に刺客がやってきて、殺されかけて、命からがら逃亡。それもその刺客というのがめっぽう強い連中で、絶体絶命のところを突然見知らぬ俺に助けられた。それからギルドに入ることになり、俺とパーティを組み、二件ものクエストをこなしてお金を稼いだ。うん、まったくもって長過ぎる一日だな。
「分かった。それじゃ、今日はこの辺にして、どこか休める場所を探すか」
「うん、そうね」
そういうわけで、俺たちはギルドを後にする。
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