第10話 二回目のクエスト・打ち合わせ
俺たちはアリエス嬢の所へと行く。
「アリエス嬢、依頼をこなしてきました。ほら、これが完了表です。報酬くださーい」
完了表を確認して、アリエス嬢は布袋を渡す。
「はい、こちらが報酬の二千リルドです」
袋の中身を俺とセレスティーヌは確認する。しっかり百リルドの貨幣が二十枚。確かにあった。
「ありがとうごさいます。これでクエスト達成ですね」
「はい、お疲れさまでした」
アリエス嬢は眉ひとつ動かさずに言う。
「中々早かったですね。では、今後クエストを探す際は、横の掲示板からお願いします」
アリエス嬢は、受付の横にある広大な掲示板を指し示す。
「了解しました。レイ、早速次のクエスト探さない?」
「え、もう?」
「そうよ。だって、二千リルドじゃたりないでしょ。もっともっと稼がなきゃね」
そういうわけで、俺たちは掲示板の前で仕事を探す。
「うーん、さっきみたいな運送クエストは、パッと見なさそうね」
「セレスティーヌ、別に低レベルな運送だけじゃなくてもいいんだぞ。一応、俺は全属性魔法解除、魔力値無限のチートスキルを持っているんだからな」
実際、このスキルがどこまでの威力を持つものなのかは、今ひとつ実感できてないがな。
「あ、高レベル運送クエストだって。あんた最上級の【瞬間移動】も使えるでしょ。これなら、手っ取り早くお金稼げそう」
「オッケー。どれどれ依頼内容は・・・・・・」
俺は掲示板を確認する。
「注意!壊れ物です。だって」
「いいじゃん、やろやろ」
「ちょっと待って。配達途中で物品が破損した場合、弁償してもらいます、だって」
「ん?それがどうかしたの」
「俺、嫌だなあ・・・・・・手持ちの金もほとんどない状態で、こんな依頼うけるのはさ」
「なーに弱気になっているのよ。あんたの魔法を駆使すれば、ちょちょいのちょいよ」
ということで、セレスティーヌに促されるまま俺はクエストを受注する。
今回も【瞬間移動】を使い、パパッと終わらせる。
ま、結果的には良かったんだけれどさ。
「やったー!五千リルドゲットよ」
セレスティーヌは随分と嬉しそうだ。
「とりあえず、今日はこれくらいにしときましょうか」
「そうだな」
「ねえ・・・・・・あなたがものすごく使える、ていうのはよく分かったからさ。ちょっと、今後の打ち合わせを行わない?」
「え、うん。いいけれど・・・・・・」
ということで、俺たちはギルドカフェとやらに行く。
同じギルド内に設置されているとはいえ、昼間に使った食堂とは違う、もっと落ち着いた雰囲気だった。
俺たちは、向かい合いソファに腰掛ける。
「それで。あらためて、パーティメンバーとしてよろしくお願いね。レイ」
「ああ。こちらこそよろしく。セレスティーヌ」
ウェイターが来て、注文をとる。俺もセレスティーヌもミルクを頼む。
「で、色々と聞きたいのだけれど・・・・・・あなた、何才?」
「前世では十四才だったよ。あと一ヶ月くらいで十五才になるところだった」
記憶に間違いなければな。
「へえ・・・・・・」
「セレスティーヌはいくつなんだ?」
「私?私は十五才と半年、てところね。だから私の方が七ヶ月ばかりお姉さんね」
セレスティーヌは胸を張る。
「で、あなた本当に魔法なんでも使えるのよね」
「た、多分な」
なんだろうな。自分が少しばかり年上だと分かり、セレスティーヌの態度が微妙に変わった気がする。なんというか、少し尊大というか。
「羨ましいけれど、まあそれはいいや。あなただって、前世で不幸な目に遭って死んでるんだもんね。それでさ、魔法使い放題以外に、何か能力をもらっていたりするの?」
「あ、そういえば・・・・・・」
俺は女神テレスから聞いた話を思い出す。
【武器全種の達人】【天界との通信及び召喚】【創造術】の三つの能力について話す。
セレスティーヌは目を丸くしている。
「ほえ~そんなに色々ともらっているんだね。じゃ、もう恐い物なしね」
「いや、どれほどの効果があるのかは分からないけれど」
「うーん、多分すごいんじゃないの?例えばさ、【武器全種の達人】なら、そこらへんに落ちている棒きれとかでも最大限武器として活用できる、てことでしょ。【天界との通信及び召喚】は、いざというときに役立ちそう。そういえば、私のご先祖様に、とっても有名な将軍がいる、て話聞いたことあるから、何か戦いになったときはその人に協力仰げそうだし。【創造術】は・・・・・・うん、まあなんかの役には立つでしょ」
セレスティーヌは随分と嬉しそうだ。
「うん。あなたとパーティを組もうと判断した私の目に狂いはなかったみたいね」
満足げに頷くセレスティーヌ。
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