セレスティーヌ編

第2話 魔法の世界

 目覚めると、木々が視界に入ってきた。


 意識が徐々に覚醒していく。


 そっか。俺は死んだんだっけ。それで、さっき女神さまから能力を授かってこの世界に転生した。


 俺はゆっくりと起き上がる。


 木々と茂みが目につく。ここは森かな。あれ?さっき女神さまが言ったところによると、俺はとある王都に転生したはずだったのだけれど・・・・・・。


 まあ、そのことは良い。さて、今大切なのは魔法だ。無限の魔力が湧き出てくる体質になっているということだが、さて。


 腕に装着された、先ほど貰った〈アストラ〉を見る。これを起動させれば、魔法のステータスとか、色々と分かるらしい。


 〈アストラ〉は念じれば起動するとか言っていたな。それじゃ、起動。


 その瞬間、眼前に映像が浮かび上がる。様々な魔法のステータスが、数値化されて

出てくる。


 火、水、風、土、光、闇の六属性が基本らしい。他、毒属性やら回復魔法やらとそれこそ無限に出てくる。


 うーん、とりあえず、火属性の初級魔法からやっちゃいますか。あらよっと。


 ぼおん、という鈍くでかい音と共に、俺の指先から火の玉が発射された。勢いよく射出された火の玉は、茂みに当たり、燃やす。


「やっべ。開始早々、火事を起こしたくはないぜ」


 俺は慌てて水属性の魔法を撃つ。今度は溢れんばかりの水が放たれて、燃え盛る炎を消し止めた。


 中々扱いが難しいな・・・・・・。ま、でも女神さま曰く魔力が無限に出てくる上、全属性の魔法が解除されているらしいので、使いこなせれば最強、てことだろうか。


 ぐ~とお腹がなった。ああ、気付かないうちに腹が減ってきたんだな。転生とか何とか、ちょっと状況がめまぐるしく動き過ぎで頭が追いつかないもんな。


 では、何かレストランみたいなところで食事でも・・・・・・と思ったときにはたと気付く。


 そうだ、俺無一文だったんだ。どうしよう。


 とりあえず、茂みの中から出る俺。


 そこは広場だった。多種多様な人々(人じゃない種族も多数混じっている)の往来があった。


 なるほど・・・・・・。こんな世界観なんだな。魔法があって、獣人族やらがひしめくそんな世界。


 まあそれは構わない。とにかく今は食べ物だ、食べ物。


 ふらふらと俺は広場をうろつく。みすぼらしい出で立ちの俺を、誰も気にとめる風でもない。まあ、こんだけ色々な人たちが混在する世界だ、今の俺みたいにボロ切れまとったみたいなのも珍しくもなんともないのだろう。お金なんてすぐに稼げるわよ、という女神テレスさまの言葉を思い出す。だが、そう簡単に行くものなのか?


 広場をあちこちほっつき歩いていると、その一角に大きな掲示板があるのが目にとまった。近づいてみて、掲示を確認してみる。たくさんの張り紙が、ところ狭しと貼り付けられていた。


「急募・仙火竜討伐のパーティメンバーを一名」

「冒険者ギルドは下記の住所まで」

「依頼・秘密のブツ運び。連絡は下記まで」

 などなど、色々なお知らせが張られている。


 うーん、今の俺にはどれがいいのかねえ。いや、というかとりあえずはメシだ。食事にありつければ何でもいい。


 この冒険者ギルドってとこは、ひょっとしたら食堂があるかもしれない。俺の直感はなんとなくそう告げていた。とりあえず、行ってみますか。


 ギルドの住所を確認してみる。うん、ちょっと遠いが、歩けない距離ではないだろう。


「あ、そうだ・・・・・・」


 今の俺はどんな魔法でも使える。つまり、瞬間移動の魔法だって使えるはずだ。


 俺は早速、【瞬間移動】を発動させる。住所を思い描き、心の中で素早く呪文を詠唱して・・・・・・。


 一瞬、身体が軽くなり、次の瞬間には俺は目的の場所に移動している。

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