第33話決戦!闇の魔道師カナエル

魔の道を抜けたひろし達はカナエルの館に着く。

「アイリ!今行くからな!」

ひろしは館の扉を開けた。

不気味な空気の流れる館の中。

ひろし達は聖女アイリをくまなく探す。

「どこにもいない…そんな…。」

アイリの姿もなく、カナエルもいない…ひろしは愕然としてしまう。

クンクン!

「ここ匂う…うほぉ!」

ゴリラが何かを見つけた。

アリオカが確認すると隠し扉があった。

「お手柄だぞ!ゴリラ!」

ひろし達は隠し扉の先へ入っていく。

「あ!アイリぃ!」

広い部屋の太い柱に鎖で巻き付けられているアイリを見つけたひろし。

アイリに駆けよろうとした。

ぐったりしていた聖女アイリはひろしの声に気づいた。

「来ちゃだめー!」

ひろしの頭の上から数本のナイフが落ちてくる。

「ん?うわぁ!あぶねぇ…。」

気づいたひろしはナイフをかわした。

部屋の天井から降りてくる男。

タン!

キラーン!

「ここまで来たのは褒めてやろう…俺は闇の手品師ユウマ…ナイフの餌食にしてやる。」

ゲスな顔の男は手に数本のナイフを持っている。

「お前がアイリにこんなひどい事をしたのか?」

ひろしの怒りに呼応するかのように身体から紅蓮の炎が燃えあがる。

「くっくっくっ…鎖を外したければ俺を倒すんだな…カギはここだ。」

自分の着ている上着のポケットを指差す闇の手品師ユウマ。

構えるひろし達。

「穴だらけにしてやる!」

闇の手品師ユウマは飛びあがる。

ハア!

「身体を貫け!魔道ナイフ千本投げ!」

10ぽんのナイフがひろし達を襲う。

「おぉ~と…。」

「手刀防御!」

「鋼鉄うほ!」

パラパラパラ…。

ノーダメージのひろし達。

「今度はこっちの番だ!紅蓮!」

「手刀…喉仏ツキ!」

「鋼げんこつうほ!」

ボゥ!

おぇ

ご~ん!

ドカバキッドカバキッドカぁ~!

「た、多勢に無勢…ガク。」

闇の手品師ユウマは息絶えた。

ユウマの上着からカギを取るひろし。

アイリに繋がれている鎖を外す。

「ひろし様ー!」

聖女アイリはひろしに抱きついた。

(あは~ん。)

至福の一時のひろし。

「必ず来てくれると信じておりました。」

聖女アイリはひろしを抱きしめたまま。

「ひゅ~ひゅ~、見てらんないよ~。」

ひろしとアイリをちゃかすアリオカ。

「うほぉ!うほぉ!」

踊るゴリラ。

「喜ぶとは愚か…我のもとへ来るが良い。」

突然聞こえたカナエルの声。

「言われなくたっていってやるさ!」

ひろしは紅蓮の拳を握りしめる。

「ひろし様…術に目覚められたのですね。」

アイリはたくましくなったひろしに喜びの声色。

「あぁ!魔道三人衆も簡単に倒した…この力があればカナエルに勝てる!いくぞ!」

ひろし達はカナエルの待つ最後の部屋へ向かった。

不気味な館の階段を上がっていくひろし達。

おぞましい扉を見つけた。

「よし!いくぞ!」

「手刀よ頼む!」

「うほぉあ!」

「カナエル…借りは返します!」

扉を開けたひろし。

「カナエル!」

闇のオーラが漂う広い部屋。

壇上の玉座に座る闇の魔道師カナエル。

「聖女アイリよ…その者達よ…我の恐ろしさ…忘れたか…?」

魔道師カナエル率いる死者達に滅ぼされてしまった、アイダー王国。

聖女アイリは王女で、ダイドウ老師、アリオカ、ゴリラは国民だった。

カナエルの圧倒的な力の前になすすべもなく、それぞれは逃げて生き延びた。

「忘れてなどいません…忘れるわけがない…王国を滅ぼしたおまえを!」

聖女アイリは怒りに震えていた。

「苦しむが良い。」

カナエルは手のひらをひろし達に向け魔道衝撃波を放つ。

目には見えない強力な衝撃がひろし達を襲った。

ふき飛ぶひろし達。

一撃のダメージは大きく、アリオカ、ゴリラは倒れて動かなくなってしまった。

聖女アイリはうつぶせのまま意識はあった。

「ひ…ひろし様…。」

ひろしはアイリの声で立ち上がる。

「くっ!こ、これでもくらえ…紅蓮!」

紅蓮の炎がカナエルに向かって飛んでいく。

「なんだこれは?」

カナエルは紅蓮の炎受け止め握り消した。

絶望するひろし。

「この程度で我に挑む愚か者よ…消えるが良い。」

カナエルは手のひらからひろしに向けて魔道砲を打つ。

避けられないひろし。

「う、うわぁ!」

「ひろしさまぁー!」

叫ぶアイリ。

ドカーン!

立ったまま動かなくなったひろし。

「…な、なに?」

カナエルが焦りの表情を見せた。

光り輝く炎がひろしの身体を包みこむ。

カナエルは怒りの表情を見せた。

「き、きさまは…炎光聖の愛!…30年前に倒したはず!」

ひろしの身体が変わり、制服姿で炎光聖の愛になった。

「確かに30年前、あなたに敗れ…私は薬ビンの中でずっと眠っていました…ひろしさんが飲んでくれたおかげで私はここにいる…そしてカナエル!お前を倒す!」

「こしゃくな!…きさまの顔面バラバラにしてやる!」

カナエルは玉座から立ち上がり、炎光聖の愛を目掛けて飛んでいく。

ブォーン!

「くらえ!愛ぃ!」

カナエル必殺魔道パンチ。

ぱし!

「ば、ばかな…我の魔道パンチが…」

片手でカナエルの魔道パンチを受け止めた愛。

ごぉ~!

光り輝く炎が愛の拳に集まる。

「興奮しろぉ!炎光聖ぱんちぃ~!」

どかぁ~ん!

ぶっ飛ばされ壁に激突したカナエル。

「ぐはぁ…お、おのれ…許さん!この変態がぁ!」

カナエルは手のひらを愛に向ける。

究極奥義…魔道破滅破を打つ為、闇の全エネルギーを溜めるカナエル。

「これで終わりだ…愛!」

「光り輝く炎達よ…はぁぁ!」

炎光聖の愛は全ての力を手のひらに溜めカナエルに向ける。

「くらえ!」

ドゴォーン!

バチバチバチ!

大きな力がぶつかり合う。

光り輝く炎は、破滅破を押していく。

「わ、我の破滅…ぐわぁー!」

光り輝く炎はカナエルの身体全てを焼き尽くした。

炎光聖の愛から元の姿に戻るひろし。

「や、やったぁ…カナエルを倒したぞー!」

聖女アイリは飛び起きひろしに抱きつく。

「あなたなら…やってくれると信じてました。」

アリオカ、ゴリラも起き上がった。

「やったー!カナエルを倒しやがったぁー!」

「うほぉ!うほぉ!うほぉ!」

ひろしはアイリを抱きしめ遠くをみつめる。

「これで世界は平和になった…みんなぁ!カナエルに怯えることはもう…」

「長すぎるわー!」

ばっしぃ~ん!

「痛ぁ~!いなぁもう!…あれ?」

愛は深い眠りから目覚めた。

ハリセンをお持ちのカナ様。

(あれじゃないわ!まったく!我を悪役にしおって…こんがり焼くな!この!)

夢の中でカナ様をぶっ飛ばした愛は、新しく始まる番組の打ち合わせに相田プロ本社へ向かう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る