第30話カナ様のお楽しみ

ある日の休日…。

愛はハマって読んでいた小説を読み終わる。

「ふぅ…面白かったぁ…。」

頭の中で妄想しながら余韻に浸る愛。

「ゆくぞ。」

ピっ!

最近覚えたきれいめカジュアルを愛に着せるカナ様。

「痛いって!ひっぱるなぁー!」

カナ様は愛をタクシーに無理やり乗せうんもすんも言わせず電車に乗せてとなり街の駅前に着いた…。

「となり街の駅前…まさか?って…ここで食べる気か?それ…。」

いつの間にかスタッフと書かれた帽子パーカージーンズで風呂敷を持っているカナ様。

「我はアイステェー無糖だ。」

入る前提で言うカナ様。

(テェーじゃねぇわこの。)

嫌いなハッピーバーガーへ入る愛。

世間も休日だったハッピーバーガーはファミリーで賑わっていた。

「あっ!見て見てママ、ガラス割ってたお姉ちゃんいるよ!」

「しぃー!あのお姉ちゃん怒りっぽいから話しかけちゃだめ。」

「あ!愛だ…まじかよ!イス振り回されるやべ。」

ファミリーウケはしていない愛。

普通の格好をしたカナ様はスルーされた。

ハッピースマイルの店員が待つカウンターへ向かう…。

「あれ?愛さん!またお会いしましたね。」

「ほんとだ。」

「スタッフさんこんにちは。」

はるか、えみこ、ひなたの三人もハッピーバーガーへ来ていた。

「もし良かったら一緒に食べませんか?」

はるかが愛とカナ様を誘う。

「良いぞ。」

勝手に決めるカナ様。

(なんでこいつらと…はぁ。)

愛は嫌々ながらも一緒に食べる事にした。

愛はカナ様の隣に座る。

「はいどうぞ、アイス…ティー!です。」

(やっぱり俺はこれだな…うめぇ)

「ちょっと狭くない?」

「大丈夫、私スリムだもんわは。」

「うわぁ凄い夢みた~いキャー。」

はるか、えみこ、ひなたは向かいの席に座った。

「愛さんはかずくんと共演した事ありますよね…どうでした?かずくん。」

はるかお馴染みの質問が飛んでくる。

愛は答えた。

「あぁかずくんね、ゲイだよ。」

バン!

「ちょっと愛さん!それはひどいよ!格好良いかずくんがゲイな訳ないじゃない!」

はるかはテーブルを叩き激怒した。

「見るが良い。」

カナ様は魔道カメラで隠し撮りした写真をはるかに渡す。

「な、なによ?」

写真を見るはるか…。

(これってかずくん?ウソぉ!結婚したかったのに…手をつないで男の人とホテルだなんて…あぁ…ガク。)

はるかは灰になった。

開いた口がふさがらない三人…。

えみこが話題を変える。

「愛さんは普段なに食べてるんですか?」

ドン!

カナ様は風呂敷をテーブルの上に置きひらいた…。

キラ~ン!

重箱のふたに書かれた文字が光る。

愛は思った。

(日にちたってるだろそれ…。)

魔道冷蔵庫は新鮮長持ち。

ふたを開けるカナ様。

(お寿司?変わってるこのスタッフ。)

ひなたはさほど気にしない。

えみこは違った…。

(そそそそれはううう魚三のお寿司ぃ!あの超高級一見さんお断りの一般人には決して食べる事のできないお寿司をなぜスタッフさんが?…わかった!皆さんで良ければどうぞだ!やったぁ、スタッフさん早く。)

カナ様は無言で一貫食べる。

(あぁ!いきなりそれから…まぁ良いわ…わかる、わかるよ、まず自分が好きなの食べてからね…うんうん、さぁスタッフさん皆さんでと…。)

どんどん食べるカナ様…。

(まだですか?スタッフさん…魚三のお寿司を目の前にして食べれないのは、あまりにも…あまりにもぉ…。)

カナ様はご馳走様。

(ぜ、ぜんぶ食べてしまったなんて…あまあまあわわわぁ…ガク。)

えみこは灰になった。

引いてる愛とひなた。

「ね、ねぇ…愛さんは彼氏いないの?」

愛に質問するひなた。

「お、男に興味ないんだよね…はは…。」

答える愛。

ぴっ!

カナ様は魔道ハンディカムをひなたに渡す。

「な、なに…。」

再生画面を見るひなた…。

(よしつきぃ!…あんたなにやってんのよ。)

ハンディカムは音声もでる…。

「あぁ~ん…あぁ~ん…あぁ~ん…。」

「え?ちょちょやめてぇー!」

(そんなに言ってないだろ!編集すんなこの!)

焦る愛。

(よしつきがそんな男だったなんて…ガク。)

ひなたは灰になった。

「あ!もうこんな時間…仕事に行かなきゃ…。」

そそくさ逃げる愛…。

ハッピーバーガーから少し離れた所まで逃げてきた。

「あー恥ずかしかった…ふぅ。」

全て回収してきたカナ様が現れる。

「良い見せ物だったわ…我は満足。」

ワナワナ震える愛…。

「こんな事するためにもぉ!この陰湿魔道師ぃ!」

だからどうしたの~のカナ様。

「まだ間に合う…ゆくぞ愛。」

カナ様は愛の手をひっぱる。

ぎゃーぎゃーうるさい愛をカナ様は無理やりタクシーに乗せて遊園地へ向かった。

「我は楽しむのだ。」

遊園地で遊んでみたかったカナ様。

(はぁ…なんで遊園地なんだか…でも懐かしいなぁ…今は女だし、はしゃいでも恥ずかしくないかな?)

久しぶりの遊園地にワクワクしてきた愛。

フリーパスを二枚買うカナ様。

ジェットコースターやウォータースライダー、観覧車に乗る二人…。

「うわぁー!キャー!速ぃ!」

「…。」

「あっ!キャー!」

「…。」

「良い景色だなぁ…。」

「…。」

「あはは!」

「…。」

「…。」

「…。」

「楽しんでるか?おまえ…。」

「うむ。」

そしてどこかへスタスタ歩いて行くカナ様。

「あっ!ちょっと…どこに行くんだよ?」

愛は後を追う。

カナ様はお化け屋敷の前に立っていた。

(お前がお化けだろ…うわぁ嫌だなぁ。)

怖いものが苦手な愛。

カナ様はお化け屋敷の中へ入って行く。

「あっ!ちょっと待ってよ…もう。」

カナ様を追いお化け屋敷に入る愛。

薄暗いお化け屋敷の中…。

愛は、カナ様の後ろでへっぴり腰になりながら歩く…。

ガタン!

キャー!

ウフフ…バァ!

機械仕掛けのお化け達。

「もういい…もういいって…キャー!」

カナ様の後ろで騒ぐ愛…。

無言で歩くカナ様。

次の通路では人が驚かす…。

「ばぁ!」

お化けの被り物をした男性。

「ぎゃあー!」

腰を抜かす愛。

カナ様は無言で被り物を見ていた。

(この人全然驚かないなぁ…後ろの女の娘は良いリアクションなのに…。)

戸惑う被り物をした男性。

カナ様は被り物をした男性に質問をする…。

「これが死者か?」

素直に答える被り物をした男性…。

「はい…そうです。」

ニヤけるカナ様…。

「見るが良い。」

腰を抜かしていた愛が気づいた…。

「う…後ろ…。」

被り物男性は後ろを見た…。

(…。)

「ケケケ。」

恐ろしい顔をした死者がいる。

「うぎぁあーーー!」

被り物をした男性は一目散に逃げた。

死者はカナ様に近づいて行く。

「ケケケ。」

カナ様はでこぴんで死者を消した。

愛は腰を抜かしたまま質問をする…。

「お…お前が呼んだの?」

カナ様は恐ろしいオーラを放った。

「我は大魔道師…簡単なこと…。」

「や…やっぱりお前は…悪い魔道師…ぎゃあー!」

お化け屋敷の来た道を戻り逃げる愛。

逃げる愛の背中を見ているカナ様…。

「逃げることなどできぬ。」

お化け屋敷を出た愛の目には、驚きの光景があった…。

「な、なんだよ?これ…。」

死者達がうろつき、遊園地で遊んでいた人々が逃げ惑う…。

死者達は愛を見つけた。

「ケケケ。」

近づいて来る死者達…。

「く、来るな…こっちくんなぁー!」

愛は走って遊園地の出口へ向かう。

懸命に走る愛…。

出口の前には、後ろに死者達を従えた黒いマント姿のカナ様がいる…。

「どこへ行くのだ…愛。」

ニヤけるカナ様。

「くっ!ちきしょー。」

愛は来た道を戻り、園内を逃げまわる。

追いかけて来る死者達…。

愛はボート乗り場に追い詰められてしまった。

目の前には道がない。

迫り来る死者達…。

「ケケケ。」

愛は後ずさりしながら叫ぶ。

「も、もうだめだー!」

どっぽぉ~ん!

水の中に落ちた愛…。

「あっ!なにやってんだこの娘…。」

「大変!お客様、大丈夫ですか?」

園内スタッフ達に引き上げられる、びっしょびしょの愛。

「あれ?」

「あら?愛さんですよね…。」

スタッフにばれる有名人の愛。

恥ずかしい愛は、スタッフ達に謝り遊園地を出る事にした。

周りの客達は楽しそうに遊んでいる。

(あれぇ?おかしいなぁ…。)

不思議に思いながら出口に向かう愛。

カナ様が出口の前で待っていた。

愛の身体は怖くて震える…。

「すべてはまぼろし…幻覚を見せていたのだ。」

ニヤっとするカナ様…。

愛はカナ様の力で幻覚を見せられ、一人で勝手に騒いでいるちょっとあぶない女の娘になっていた。

気がついた愛…。

「ほんとにおまえは性格の悪いくそ魔道師だな!」

あら?そんなこと言っちゃうの?の表情を浮かべるカナ様…。

「本物呼んでやろうか?」

愛はご丁寧に謝った…。

散々カナ様に振り回された1日を過ごした愛…。

夜はぐっすり深く眠った…。

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