第29話カナ様のお遊び

愛は借金返済の為に仕事に向かう。

出掛ける前のご挨拶をカナ様にする愛…。

「それじゃいってきますよ、ケチくさ魔道師さん。」

(あの財布貸してくれても良いのに…はぁ。)

楽して返済しようとしている愛。

聞き飽きてるウザイ言葉は無視して、おすまし顔でお茶を飲むカナ様…。

「愛…かずくんを尾行せよ。」

愛は眉間にシワを寄せカナ様にガンくれる…。

「はぁ?なんでそんなこと…嫌だね!」

ヒュイン!

パッ!

瞬間移動をして愛の目の前に現れるカナ様。

顔を愛に近づけニヤける…。

「お母さん元気かなぁ?」

後ろにのけぞりながら愛は奥歯を噛みしめた…。

(人の弱みにつけこみやがってこのぉ…。)

「わ、わかりました!ったく。」

愛はかずくんを尾行することにした。

愛はまず相田プロ本社へ向かう。

本社で公式動画の撮影やゴスロリファッション雑誌の取材を受けた。

夕方からのロケ撮影の為に大道マネージャーとロケ現場に向かう。

少しオシャレなイタリアンカフェだった。

「かずくんの星空キッチンスペシャル!」

三枚目タレントかずくんのタイトルコールで始まった番組。

キッチンを借り、お料理しているふりをする、本当はどうでも良い番組…。

適当にメキシカン料理を作っているふりをする愛…。

シェフの悲しい目線が少し気になった。

♪「リストラみ~と」

かずくんが用意してあった料理を食べて終わった。

家まで送ろうとする大道を涙目で見つめる愛…。

「私…今日…帰りたくないの…。」

中年男性最近奥さんかまってくれない大道は…もうドッキドキ。

「おっ、おい?…わかった…それじゃ…」

「映画観てから帰るから…さよならぁ!」

テンプレネタで逃げる愛。

(愛…せつなくなるからそれはやめて。)

今日は日本酒にする大道…。

大道から逃げた愛はかずくんを探す…。

(なんでこんな事しなきゃいけないんだよ…はぁ…かずくんはどこだ?…あっ!いた。)

番組スタッフ達に頭を下げて、かずくんは一人で歩いていく。

(お?かずくんも一人か…。)

少し離れて尾行する愛…。

街の表通りを避けて、裏通りを歩いていたかずくんは一軒のバーに入っていった。

(どうしたら良いんだ?入る訳にもいかないし…変態が言うからこれで終わりな訳ないしなぁ…)

愛は外で待つことにした。

ふと見ると近いてくる太ったおじさん。

(あ?ヤバい…。)

顔を逸らす愛。

おじさんはバーに入っていった。

(はぁ…びっくりした…早く出てきてくれないかなぁ…。)

愛は、かずくんが出て来るのを待ち続ける。

(あっ!やっと出てきた…え?)

かずくんと太ったおじさんが手をつないでいるのを見てしまった愛。

手をつないだまま二人は歩いて行く。

(かずくんはそっちの人…。)

隠れて見送る愛…。

二人はラブホテルに消えて行った…。

「終了。」

突然現れるカナ様…。

「うわぁ!びっくりしたぁ…まさかおまえ、こんなの見せる為に尾行させた訳じゃないよな?」

「帰るぞ愛。」

カナ様は答えずタクシーを拾う。

愛はカナ様に質問する。

「ねぇ?テレポートしたら早いんじゃないの?」

それは答えるカナ様…。

「この手間が良いのだ。」

くびを傾げる愛とカナ様はボロいアパートへ帰った。

ある日の事…

だらだらして小説を読んでいる愛。

(お?ラストまであとちょっだなぁ…あはは。)

中二病の愛はファンタジーが好きだった。

「ゆくぞ。」

ピっ!

いつもの服を愛に着せるカナ様。

「え?ちょちょっとどこにいくの?あっ!」

カナ様は、愛を無理やりひっぱりタクシーに乗せ魔道こぶしを握りしめながら電車に乗せてある駅へ着いた。

「学校近くの駅…どうし…なにその格好?」

呆れ顔の愛。

いつの間にか黒マント姿から、監督と書かれている帽子とパーカージーンズのカナ様…。

その時あの三人がハッピーバーガーへ向かう為、駅に来た。

「あれ?愛さんですよね?すごーい本物だぁ。」

はるかが愛を見つけた。

さほど興味ないえみこ。

「ほんとだすごーい。」

「うわぁ…愛さん…憧れてます握手してください…キャー嬉しいぃ。」

ひなたは大興奮…。

「あ、ありがと…。」

(…。)

ひなたと握手する愛。

三人に掴まった愛はキャーキャー騒がれる。

さらに駅に近いてくる一人の男。

(お?ひなただ…あれ?まじか!愛ちゃんだ!)

男は愛に駆けよる…。

「あ、愛さんですよね?」

「あ!よしつき、本物の愛さんだよ!キャー。」

近いてきた男はひなたの彼氏だった。

「野外です。」

突然愛に近づきおっしゃるカナ様…。

驚く全員…。

「あ、この人スタッフなの…わかりました。」

愛は思いつきでごまかした。

カナ様はスタスタどこかへ歩いて行く。

愛はカナ様についていった。

ひとけの無い建物と建物の隙間に入るカナ様。

「ここで待て。」

ついてきた愛に言ってカナ様はどこかへ消えた。

(なんでこんなところで待たせるんだよ?なに考えてるんだ?あいつ…。)

待ちぼうけの愛…。

「あ…あの?愛さん…。」

愛は突然後ろから声をかけられた。

驚いて振り返る愛…。

「は、はい?…。」

(こいつ…さっきの男…。)

ひなたの彼氏よしつきだった。

よしつきはひなたにハッピーバーガーへ誘われたが、嘘をついて断り、ひそかに愛をつけていた…。

「愛さん俺…マイクスタンド振り回していた時からずっと好きでした…付き合って下さい。」

そう言いながら愛に近づくよしつき…。

「い、いゃあ…それは無理ぃ…え?」

冷や汗をかきながら後ずさりする愛。

ガバぁ!

「痛ぁ!ち、ちょっとなにすんだこの!…あぁん…」

愛はよしつきに押し倒され胸のぽっちをポチポチされてしまう。

「愛さん俺…愛さんの事がぁ!」

よしつきはお猿さんに変身した。

(だ…だめだ…うっ…。)

「あぁ~ん…。」

ポチポチされて身体に力が入らない愛…。

「はい!オッケぃ。」

ゴン!

ガク…。

気を失うよしつき。

突然現れたカナ様が愛の手を掴み起こす。

服に着いた汚れをほろいワナワナする愛…。

「くぅぅ…おまえずっと見てたんだろ?こんな趣味まであんのか!ったく。」

しら~ん顔のカナ様…。

「ゆくぞ愛。」

「はぁ?ちょ…いい加減に…」

無視してカナ様は表通りまで愛の手を掴みひっぱって行く。

「へいタクシー。」

愛を無理やり乗せるカナ様…。

「魚三まで行くが良い。」

タクシーは都内の高級寿司屋まで行く…。

「待機せよ…愛、お土産寿司を買ってこい。」

愛にお金を渡すカナ様…。

「はぁ?お祝いでもしよ~てか?嫌だね!」

そっぽをむく愛。

お外の景色を眺めるカナ様…。

「お母さん…消えてないかなぁ…。」

「わぁかったよっ!ったく…。」

タクシーを降りて愛は魚三の、のれんをくぐる…。

「あの~すいません…。」

「へい!らっしゃい?あぁ!愛ちゃん!ささっお座りおくんなせぇ~。」

大将は愛の大ファンだった。

「あ、食べていくわけじゃなくて…お土産で欲しいのですが?」

大将は気前良くお土産寿司を用意してくれた。

「ありやした。」

風呂敷を持ってタクシーに戻る愛。

「はい、買ってきましたよ。」

カナ様にお土産寿司を渡す。

愛とカナ様はボロいアパートへ帰って来た。

魔道冷蔵庫にお土産寿司を入れるカナ様。

「食べないのかよ?」

(なにしに買わせたんだ?ったく。)

呆れる愛。

カナ様のお楽しみネタは揃った…。

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