第25話めんどくさいからぱぱっと…

いきなり次の日はレッスンの日…。

バリバリ!

ズズズ~!

ん、あぁ~。

(んん?なんだ?)

愛はその音で目が覚めた…。

(うわ。朝っぱらからせんべい食べてる…また同じ格好…女王様のバイトにでもいってんのかおまえ…かたひざ立てて食うな!下品魔道師ぃ。)

「ふぁ~あ!おはようございますカナ様…女王様のくせに早起きですこと。」

せんべいを持つ手が止まるカナ様…。

「うむ…おはよう。」

(やかましいわこの!誰が女王様だ!我は魔道師様だわ!まったく…。)

愛は魔道冷蔵庫からオレンジジュース缶を取り出し座って飲みながらカナ様を眺める…。

(汚い食べ方だなこいつ…はぁ、レッスンか…ほんとにこのせんべいお化けは今日からにしやがって!…あ?そういえば心の声が聞こえるとかなんとか言ってたな…ヤバい!ポットでも投げつけられたらシャレにならん…。)

愛は可愛いお目めを見開き、そぉ~とカナ様の顔を覗く…。

カナ様は聞こえないふりをしていた。

そぉ~と戻る愛…。

(良かったぁ…ほんとは聞こえて無いんじゃないか?もし聞こえてたら物投げたりパンチしたりしてくるよな…あ?今は俺、愛だな…ひょっとして女が好きで手をださないとか?そういえばパンチ食らってたのは、みんな男だったな…怖い顔して女なんか寄り付く訳ないだろ!男だって近寄りたくないのに…かわいそ…まぁ性格悪い魔道師女だから別に良いか…変態だし。)

プルプル震えるせんべいを持つカナ様のお手て…。

飲み終わったオレンジジュースの缶をカナ様のとなりにあるゴミ箱に投げて入れようとする愛…。

ポイッ!

缶!

お約束通りカナ様の頭に当たる…。

愛は拾ってゴミ箱に捨てた。

「あら?ごめんあそばせぇ~。」

歯を食い縛り耐えるカナ様…。

「良い。」

(てめぇ!絶対覚えてろよ!このやろー!…最高傑作の愛が可愛いくて我…手ぇだせない…。)

レッスンが始まるのは夜からなので暇を持て余す愛。

カナ様が召還していた闇ファッション雑誌を眺めたりしながらごろごろして時間を潰す…。

(闇のファッション?闇の使者達の流行りはこれ…変態魔道師は闇の使者だったのか…今さら驚かないけど…なにこれ?黒いマントばっかり…つまんねぇ…散歩にでも行こうかな。)

「カナ様、服お願いしまーす。」

カナ様は違うゴスロリてぃっくな服を召還する。

「これを着るが良い。」

(我はおまえのスタイリストかこの!)

もう慣れたゴスロリ服に着替えた愛は散歩に出かける。

「暇だから散歩してくるわ…。」

(パソコン無くてつまらん。)

初めて来た場所をうろうろ散歩をする愛…。

(へぇ~コンビニあるんだ…公園…交番もあるし…ん?あそこに見えるのは本社か…少し歩けば行けそうだな…あとはあれとこれと…立地は良いな。)

長い時間散歩をした愛は公園のベンチに座る。

木枯らし吹く中…夕日を眺め…アイリに想いを寄せる…愛…。

(寒っ!…アイリ…俺…信じてるから…もう絶対アイリを裏切ったりしないから…きっと今頃頑張ってるよね…アイリ…大好きだよ…いつかまた逢えたら仲良くしようね…アイリ…愛してるよ…アイリ…傍に居たいよ…アイリ…約束したよね…アイリ…ほんとにごめんね…アイリ…アイリ…。)

冷たい言葉をアイリに浴びせてしまった事を後悔している愛…。

溢れる涙を拭きながら…ボロいアパートへ帰っていった…。

「ただいま…寒かったぁ。」

お出迎えしてあげるカナ様…。

「愛梨、あいり、アイリと聞き飽きたわ!」

一気に青ざめる愛…。

(き…こえてたの…ね…。)

カナ様の恐怖に縮こまりながらレッスンの時間を待つ愛。

「わ…私…お時間なので…いってまいります。」

カナ様はスポーツバッグを召還して愛の足下に放り投げる。

「使うが良い。」

(ビビる顔は可愛い!…顔だぞ!)

少し早めに相田プロ本社へ向かった愛。

スポーツウェアに着替えて他の4人のレッスン生と先生が来るのをレッスン場で待つ。

(はぁ…この流れはあの人だよな…。)

先生はすぐにやって来た。

愛のだぁ~い好きな鬼怒まり子先生…。

まり子先生は横並びのレッスン生達にご挨拶…。

「おまえら今日からスタートだよな?…自己紹介早くしろー!おまえからぁ!」

「春木 結衣です!よろしくお願いします!」

「夏 冬です!よろしくお願いします!」

「秋田 苗田です!よろしくお願いします!」

「床上 寿代です!よろしくお願いします!」

「平間 愛です…よろしくお願いします。」

(普通の名前がなんか恥ずかしいぞ?)

まり子先生怒号レッスンが幕を開ける…ことはほんと

に愛はもう嫌なのでまり子先生の先を行く。

(初めは多分これだよな…その後これで…たしかこんな動きをして…次は…)

まり子仕込みの華麗なる舞をまり子に見せる愛。

まり子は驚いて愛に話し掛ける。

「凄いなおまえ…ほとんど完成してるよ…まるで私が魂を込めて教えたような動きだな…初めてだわ!おまえみたいなできる娘…。」

スポーツウェアの袖でひたいの汗を拭く愛…。

「ありがとうございます、先生。」

(そりゃそうだろ…どれだけあんたに金棒振り回されたことか…)

愛はどんどんまり子のペースを乱して行く。

他のレッスン生が失敗してしまう。

鬼ババまり子は息を吸い込む。

愛は他のレッスン生に教えて怒号を回避する。

「あ!ここね、もうちょっと腰を柔らかく…そうそうそんな感じ…この時はしっかり決めて…良いね大丈夫。」

鬼のつのをへし折る愛…。

鬼ババまり子はペースを乱されストレスがたまった。

「あ…愛…教える事はもう…無いから。」

(会社に言ってデビューさせてもらうようにお願いしよ…。)

鬼に勝った愛…。

「明日からは、見ているだけで良いですね!」

まり子は次の日…必死に会社を説得した。

レッスンから気分良くボロいアパートへ帰って来た愛は、カナ様の恐怖をすっかり忘れてシャワーを浴びる。

パサァ~。

シャー!

ボロいアパートだが、シャワーの威力は強かった。

(うぅ…あん…ちょっと敏感すぎるんだよなこの身体…。)

キュ!

汗を流してさっぱりした愛。

カナ様はもうおやすみになられている。

愛はパジャマを着て布団に入る。

(どうしようかな?)

愛はいろいろ思い出しながら、作戦を頭の中で練っていた。

次の日の朝…。

相変わらず早起きのカナ様…。

せんべいのバリバリで起こされる愛…。

レッスンは夜からなので、昼間は暇な愛はあることを頭の中で練習していた。

(これはもう完璧だから…えっと次は♪~でそれからこの曲は♪ーでと…あぁ頭使ったら甘い物食べたくなってきた。)

「カナ様、ちょっとコンビニで甘い物買いたいんだけど?」

カナ様は、魔道がまぐち財布を召還する。

「買うが良い。」

がまぐち財布を愛に投げて渡すカナ様…。

愛は受け取り、近くのコンビニへ買い物に出掛けた。

コンビニは余り行かなかった愛。

珍しがり、いろいろ店内を見てまわる…。

(雑誌もいっぱい売ってるな…暇だからなにか買おうかな?…ん?)

愛の目に週刊誌の気になる見出しが飛び込んできた。

(桜庭ゆうま逃走中?)

週刊誌を手に取り開いて見る愛。

記事にはこうあった…。

桜庭ゆうま容疑者現在も逃走中!

暴行被害を受け、一時意識不明だった落田記者。

病院から勇気の告白。

現在意識が回復した落田記者。

あの時の恐怖、そして桜庭ゆうま容疑者への怒りを語ってくれた。

愛は週刊誌を閉じ本棚へ戻した。

(桜庭ゆうまが暴行事件を起こしてたのか…どうして?…いや、いいや…関係無い。)

愛は気持ちを切り替えてスイーツなどを買ってコンビニを出た。

(この財布凄いな…指入れたらお金出てきた。)

コンビニ袋をぶら下げ歩く愛…。

袋を持つ手に力が入り立ち止まる…。

(もうなにも気にしない…俺はどんな事があってもアイリを大好きでいる…そう決めたんだ。)

愛はまた歩き出し…ボロいアパートへ帰った。

あの日…

愛が大道マネージャーに渡したボイスレコーダー。

大道は内容を拡散して、ゆうまに仕返しを計った。

世間での評判が、がた落ちしたゆうまはイライラしていた。

誰が盗聴していたのか?

誰が拡散させたのか?

まったくわからないゆうま。

誰かれ構わず疑っていた。

その時一度ゆうまを揺すった事のある落田記者が冷やかし半分でゆうまに取材にいく。

ゆうまは盗聴して拡散させたのは、落田記者かもしれ

ないと思い込んだ…。

短腹のゆうまは落田記者をボコボコにしてしまった。

落田記者はその場で意識がなくなり、ゆうまはその場から逃げて今も捕まらずにいる。

落田記者は通りすがりの人に発見され助かった。

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