第24話同性?生活

痺れた足を治す為、足を伸ばして寝転ぶ愛…。

足をぶらんぶらんさせて天井を見ている。

「それじゃあとなり街に行きたいと思いまぁ~す。」

(めんどくさ!あぁそうだ服…。)

カナ様は寝転がる愛の顔の上に服を召還する。

ヒラ

ヒラ

ヒラぁ~

ゴン!

「痛!なんだ?黒いブーツ…んで…あぁ…やっぱり。」

ゴスロリ服…。

「ほんとにこういうのが好きなんだな!おまえ。」

愛はたらたらぶつぶつ言いながら着替えた…。

ピッ!

(ゴスロリにはこの化粧がよい。)

気づかれないように魔道の力で濃いめのメイクを愛に施すカナ様。

「行ってきますよ!ったく…めんどくさいなぁ!」

ふてくされながら母に見つからないよう、こそこそ家を出る愛…。

となり街に行くため駅に向かい歩く。

「あぁめんど…テレポート使っ…ぶつぶつ。」

一人言を言いながら歩く愛…。

「我も行く。」

カナ様が愛の後ろに現れた…。

振り返る愛…。

(あほかこいつ。)

「そんな黒マントの格好で街をうろつく気か?目立ちまくるだろ!」

大魔道師ゆえのセンス…。

(おまえ、覚えておくからな!)

「これで良い。」

呆れた愛は、カナ様と少し距離を離して歩く。

(一緒と思われたくない…。)

早歩きで歩いていると愛の前にチャラチャラした若い二人組の男達がいた…。

(あぁヤバい…嫌な予感…。)

愛に気づいた男達は愛に話し掛ける。

「お?かーのじょ!おれたちとあーそぼ。」

「可愛いね~えへへ。」

ナンパされる愛…必死に断る。

「ご、ごめんなさい…今お母さんにお使い頼まれてるの~…あ!もうこんな時間早く行かなきゃ…。」

退くわけがない男達。

「そんなのいいじゃん。」

「お使いなんかより良い事教えてあげるよ!」

困ってしまう愛…。

(うわ~…ど、どうしよう…。)

後ろからすたすた無言で歩いてくるカナ様…。

ブォーン…。

カナ様の握り拳にドス黒いオーラがまとう…。

ドガ!

バキッ!

パタ

パタ

カナ様必殺魔道パンチ…。

男達はその場に倒れ気絶した。

愛はドン引き…。

(うわ~すぐ暴力に訴えるんだなこいつ…さすが性格悪すぎ変態魔道師女だわ!)

カナ様は無言で駅に向かい歩いていく。

愛はカナ様のちょっと後をついて歩いていった。

愛とカナ様は目立ちまくりながら電車に乗り…。

(何人失神させるんだよ…他人のふり。)

そしてとなり街の駅前についた。

(はぁ…みんな可哀想。)

カナ様はある方向を無言で指を差す。

愛は指の差すほうを見てみた…。

(ハッピーバーガー…)

「そんな格好で入れる訳ないだろ!お前はまだわからんのか?ここまで何人失神させて来たんだよ!目立ちすぎだっての!ったく。」

無言の圧力…。

愛は入るしかなかった。

放課後の女子達がワイワイ楽しそうにおしゃべりしている…。

愛は店の裏側の入り口から入りカウンターへ向かって歩く…。

カナ様は愛の後ろを歩き店の中へ…。

愛を見つけた放課後の女子達…。

「あ!ねぇ見て見て、可愛いよあの……なにあれ?あの娘について来てるの?怖ぁ~い…黒マント。」

「しぃー!だめだって見ないほうが良いよ、あぶないって。」

「ヤバくない?あれ。」

静まりかえる店内…。

(はぁ…こうなるに決まってるだろ…なんか疲れるこの店。)

呆れながらカウンターの前に立つ愛…。

ひきつりハッピースマイルの店員さん…。

「い、いらっしゃいませ…お持ち帰りですね。」

決めつけられる愛とカナ様…。

「い、いえ…食べていきますぅははぁ~。」

愛は苦笑いでメニューを見る…。

(やっぱりこれだな。)

「イチゴたっぷりシェイクとポテトください。」

(カナ様はなに食べるんだ?)

カナ様のご注文…。

「お茶とせんべい。」

店内がざわつく…。

「あるわけないじゃん。」

「和菓子や行けっての。」

「やっぱりヤバいって。」

おちゃめなカナ様は愛の困った顔がお好み…。

(おまえ…絶対わざと言っただろ。)

「す…すいません、この人、仮装してまして、キャラになりきってるんですぅ…ははぁ~…はぁ…同じのふたつで…。」

あなたもですか?と思っている店員さん。

「か、かしこまりました。」

大好物のイチゴたっぷりシェイクとポテト…。

席に座って食べて飲む愛は落ち着かない。

(この店ほんと嫌だ…。早く食べてでよ。)

カナ様は次の道しるべを愛に与える…。

(我甘いの苦手…。)

「サ店だ。」

(略すなこの!わかるわけないだろ。)

「喫茶店ね…はいはい。」

愛は一気にシェイクを飲み、ポテトを口に突っ込んで店をでる。

(あ~いないでぇ…めんどくさいからほんとにいないでぇ。)

スカウトされたくない愛…。

(頼む!ほんとにいないでください!)

喫茶店の近くの路上で一生懸命女の子に声をかけている…名前を愛に忘れられたスカウトマン。

(はぁ…いなくていいのに。)

スカウトマンは予想通り愛に声をかけてくる。

「君、可愛いね…ちょっとお話ししない?」

相変わらずの声の掛け方…。

(もう少し、ましな声の掛け方ないのかこの人。)

「良いですよ…元気にしてました?」

知っている顔なのでついついでてしまった愛…。

スカウトマンは不思議そうな顔…。

「あれ?前にも声掛けた事ある?」

カナ様は愛に耳打ちをする。

「お前の事など知らぬ。」

気づいた愛。

「あっ!すいません、別な人と勘違いしました。」

愛のとなりにいる黒マントが気になるスカウトマン。

「すいませんがこちらの方は?」

愛はとりあえず言っておく。

「お友達です…。」

それから前と一緒の流れで喫茶店に入り4人掛けのテーブルに愛とカナ様がとなりどうしに座り、スカウトマンが対面に座る…。

スカウトマンは名刺を出して愛を落としにかかる。

「いやぁ~君…」

愛は以前に聞いているので、上の空で聞き流す。

「愛です…はいはいやります。」

(やっぱりこうなったか…。)

喜び笑顔のスカウトマン。

「明日にでも保護者…」

スカウトマンの言葉を遮る、カナ様の突然のご発言。

「今すぐ行く…我が保護者。」

スカウトマンは真剣な顔をした。

「すいませんが、これは遊びじゃないんです…お友達ですよね?」

嫌な空気が漂う…。

(はぁ…もうこのてでいくしかない!)

愛は立ち上がり…スカウトマンの横に座った。

スカウトマンの手をそっと握り…上目遣いで見つめる愛。

「先ほど私…嘘をついてしまいました…ごめんなさい…実はこの人…私の母です!」

驚いた顔を見せるスカウトマン。

愛はぎゅっとスカウトマンの手を握り…胸にスカウトマンの手を当てる…。

「母はずっと仮装をしていました…それが最近コスプレをしてしまい…本物のキャラになってしまいました…そんな母でも私にとっては大切な母…そんな…そんな母では…

だ…

め…

で…

す…

か…

……

…ふっ。」

自分でやってて吹き出した愛…。

スカウトマンは愛を見つめる…。

「君が言うなら僕は信じるよ…待ってて!今、タクシーを呼んでくる。」

喫茶店を出ていきタクシーを探しに行くスカウトマン。

(あほばっかり…。)

愛とカナ様はスカウトマンの拾ったタクシーに乗り…

相田プロ支社へ行く。

スカウトマンはタクシーの中で支社長に電話をして説明をしていた。

久しぶりの相田プロ支社…。

愛とカナ様はスカウトマンと一緒に支社長室へ行く。

相変わらず愛の目にはゴリラにしか見えないゴリラ男の支社長。

(やっぱゴリラじゃん…ぷっ。)

ゴリラは出世にしか目がないチンパンジー。

「本社に行ってやりませんか?」

通いで行くのはキツい愛…。

その時カナ様からのご発言があった。

「近くで暮らす。」

突然の発言に驚いたが、それならそれで構わないゴリラ。

学校や家の事が気になる愛は、とりあえず支社長室で契約を終わらせ、外にでてから聞く事にした。

「学校はどうするの?家は?」

(めちゃくちゃな事ばかり言いやがって。)

カナ様からの素敵なご発言。

「心配無用…手紙を置いてきた。」

愛は手紙の中身が気になる…。

「手紙にはなんて書いたの?」

お答えするカナ様…。

「探さないで下さい。」

(…。)

「それはただの家出じゃねぇかー!」

愛は突っ込んだ。

途方に暮れる愛…。

(なんでこうなるの…はぁ。)

カナ様が言う。

「ついてくるが良い。」

カナ様は駅に向かって歩いて行く…愛はカナ様の後について行った。

特急電車に乗り都内へ向かう。

(他人のふり。)

相田プロ本社から近いような遠いような所へ着いた。

愛の目の前にはボロいアパート…。

(きったね…住みたくない。)

カナ様はカギを取り出しアパートの扉を開ける。

カナ様のご命令。

「ここで暮らす。」

愛は絶望した。

(嫌だぁ!…でも住む所がない…。)

姿を変えられただけの愛は、実家では暮らせない。

ちゃっかりこのボロいアパートを契約していたカナ様。

「こういう所が落ち着くのだ。」

部屋に入った愛とカナ様…。

(まぁ…広くもなく狭くもないって所かな?)

さっそく魔道の力でお気に入りの布団を召還する。

お優しいカナ様は愛の布団も召還した。

(今は我の最高傑作の愛…ほんとはお前なんかに召還してあげたくないけどしょうがない。)

その他の生活用品も魔道の力で召還する。

魔道冷蔵庫の中にあった冷凍ペペロンチーノを魔道チンでチンして食べた愛。

カナ様はちゃぶ台でお茶とせんべいを食べていた。。

パジャマに着替えてさっさと布団に潜る愛…。

「めちゃくちゃなご発言はお控え下さいませ…ったく…今日は疲れた。」

眠った愛。

カナ様はお思いになる。

(ほんとすっかり生意気になりおってまったく!おまえ…母ってなんだよ?我の事何歳だと思っているんだ?もっと他にあっただろ!…それにコスプレしてるとか言いやがって…我をなりきりキャラにするな!)

カナ様もおやすみになる。

こうして始まった愛とカナ様の同棲生活…。

結局アイドルを目指す事になってしまった愛。

次に会うのはあの鬼だった。

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