第23話カナ様と…

カナ様はさっそくベッドの上のくっさいひろしの布団を下に投げつける。

ボフ!

魔道の力で召還したカナ様お気に入り真っ黒の布団を敷き寝転ぶ。

「ひろしよ、お茶とおせんべいをもて、茶の間にあるはずだ。」

呆れ顔のひろし…。

(なんでそんな事知ってるんだよ…だったら自分で行けば良いだろ。)

「嫌です。」

カナ様は起き上がりひろしの胸ぐらを掴む…そして顔面に唾がかかる勢いでもう一度おっしゃるカナ様…。

「早く茶とせんべいだぁーー!」

ひろしは嫌々茶の間に向かった。

(なんで俺が持ってこないといけないんだよ…唾もかかったし…アイリのなら喜べるのに…汚な。)

茶の間で、お茶とせんべいを用意したひろしは部屋に戻りカナ様に差し出す…。

「はいカナ様持ってきましたよ。」

(人使いの荒い変態魔道師女さん、どうぞ。)

お茶とせんべいが大好物のカナ様…。

布団の上でズズズとバリバリお茶とせんべいを楽しむ。

呆れ顔のひろしはカナ様を見て思う…。

(魔道師のくせにお茶とせんべいって…BBAか!)

当然ひろしの心の声はカナ様に聞こえている。

(別に若いピチピチ魔道師がお茶とせんべい好きだって良いじゃん…ほんとうるさい奴だまったく!)

ひろしにいちいち口で言い返すのはめんどくさいカナ様…心の中で言い返すだけにしていた。

ひろしの日常は相変わらず…。

学校に行き…はるか、えみこ、ひなたに鋭い言葉を浴びせられ…。

「嫌だぁ~こっちみないで!かずくん助けて。」

「なに食べたらそんなに臭くなるの?うわ。」

「鏡見たことあんのかお前…油ピカピカの顔で学校くんな!気持ちわりぃ。」

へこまされて家に帰る…。

そしてアイリのライブ映像や、曲を聴いて元気になる…。

カナ様は布団に寝転がりながらその日常を3日間見ていた。

(全然成長してないじゃんこいつ…あれからちょっとは変わって面白くなってないかなと見に来てあげたのに…はぁ…我の人並み外れた魔道師の感…当たらなかったか…もう飽きた。)

ひろしはパソコン画面のアイリに夢中…。

(可愛い可愛いぃアイリ…たまらんたまらん…むふふ…あの時、もうちょい手を下にしておけば…。)

カナ様は起き上がり、そこにあったアイリの分厚い写真集を手に取った…。

(おらぁー!)

毎度毎度の100%命中率でひろしの後頭部目掛けて投げつけるカナ様…。

どごぉ~ん!

ガン!

パリぃ~ん!

後頭部におもいっきりくらったひろしは画面に頭を突っ込み悶絶した。

悶絶中…。

後頭部を抑えながらひろしは、開いて落ちているアイリの写真集に気づく。

「あぁ!なんて事するんだよもう!…大丈夫?アイリ…よしよし…またせんべい取ってこいですか?」

(いちいち物を投げつけないと呼べないのかこいつ…ほんと変態魔道師だわ!まったく。)

「お前…愛になれ!」

カナ様からのご発言…。

アイリの分厚い写真集を撫でてるひろし…。

「はぁ?絶対嫌です!もうなりたくない!…あんな辛い日々はもう嫌だぁ!」

当たり前に無視して、カナ様の指先から閃光が走る…。

ひろしは懐かしい身体の違和感を感じた…。

全身鏡を召還するカナ様…。

「はいどうぞ。」

鏡を覗く愛…。

「…うわー!やっぱり…愛だ…はぁ…可愛いな。」

自分の身体をまさぐり始める愛…。

(あぁ…これこれこの感じ…あはぁ…確認しぃちゃお!)

無いけど…無い事を確認しようと下半身に手が下がっていく愛…。

カナ様は鏡を消し、愛の下がっていく手を掴む…。

「我の胸も触ってみぬか?」

愛の視線がカナ様の胸にいく…。

「いや…いいです…こっちのほうが大きいし…。」

ぷち!

歯をくいしばるカナ様…。

(なんだと?我のは小さいって事か?まな板とでも言いたいのか?気にしている事をよくもぉぉ!…そもそもお前がスケベ心丸だしで自分の身体を触り、下半身までいこうとしてたから我の胸を差し出して止めてあげたんだぞ…まったく!)

愛の手を振り離すカナ様…道しるべを愛に与える。

「となり街に行け。」

断固拒否する愛…。

「絶対嫌だ!愛になってとなり街に行ったらまたえっと…なんだっけ?まぁいいや、スカウトマンにスカウトされてゴリラ男にむちゃくちゃなスケジュールを突っ込まれて、鬼ババに金棒ふりまわされたあげく、ふざけた番組に出演させられる流れになるだろ!行きません…ん?」

ふと愛は思った…。

(あ?もしかして人気アイドルの愛に戻ったってことか?)

「あのぉカナ様?…人気アイドル愛の続きですか?」

小指で鼻くそをほじくるカナ様…。

「違うよぉ…姿を変えただけぇ。」

愛はちょっと考えた…。

(姿を変えただけなら、愛の存在は世間に知られていなく…痕跡もなにも無い…始めからだよな…。)

愛として…また…人気アイドルを目指す…あの日々が…始まる…。

…のは絶対嫌な愛は正座をして目をつぶり腹をくくった。

(ごめんね…アイリ…たとえ消されてもずっと大好きだからね…愛してるよ…さよなら。)

ワナワナ震えるカナ様…。

(このやろー!お前がそこまで頑なに拒否したら、このあとの話しがなくなってしまうだろ!…アイリオタク男…ひろしの日常を我に見せて行く気かこの!そんなの一言日記で終わるだろーが!学校行って…へこんでアイリ見て元気になった…ほらね、終わっちゃうでしょ。)

カァー。

(カラスの鳴き声。)

カァー。

(カラスの鳴き声。)

あほー。

(カラスの鳴き声。)

「ひろしー?居るんでしょー?」

母がひろしに呼びかけながら階段を上がってくる。

ガチャ!

カナ様は姿を消し…愛は正座をしたまま焦った。

足が痺れて動けない愛…。

(お母さん!ヤバい!どうしよう。)

ひろしの部屋に入った母は、可愛い女の娘が居ることに驚いた。

「ひろし?あら?まぁ可愛い…初めまして、ひろしの母です…あのぉ…ひろしは?」

愛はとっさに思いついた事を口にする。

「あ、初めましてぇ~ひろしさんは飲み物買いに外へ…。」

「あら?そうですか…これからもひろしと仲良くしてあげて下さい。」

母は愛に頭を下げ…部屋から出ていった。

カナ様が現れ…わるぅ~い顔をしながら愛に言った。

「素敵なお母さんだね!」

愛は感ずく…。

(逆らったらお母さんを消すつもりかこいつ…ほんとに最低性格悪すぎ魔道師女さまだな…。)

嫌々愛はとなり街へ向かう…。

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