第21話いつまでも…
そして…
愛の単独ライブ本番…。
…
相田記念会館は愛のファン達で超満員…。
久しぶりに見るその光景に愛梨は少し後込みをしていた。
(緊張してきた…私がステージに上がってしらけたりでもしたら…。)
…
不安でいっぱいになりながら自分の出番を待つ…。
…
愛が愛梨の名前を呼んだ…。
…
緊張から花束を持つ手と足が小刻みに震える…。
愛梨は覚悟を決めてステージに向かった…。
…
愛のファン達は熱狂的…。
愛が目の前にいるのに盛り下がる事はあり得ない…。
所属先の先輩アイドル愛梨の登場にファン達は喜び歓声をあげる。
…
愛梨はほっとした…。
…
さらに愛はテンション高め…。
…
愛梨がまり子先生の話しをふり、愛が笑いをとった…。
…
安心した愛梨は、愛に想いを込めて自分の曲を歌った…。
(ありがとう…愛ちゃん。)
…
愛のファン達ではあるが、久しぶりに大勢の前で歌う事ができた愛梨…。
…
砕け散った夢の欠片が再び元に戻ろうとしていた…。
…
出番を終えた愛梨はステージ袖で愛のライブを見守る。
…
その後一度自分の控え室に戻った。
…
愛のライブが終わる…。
…
愛梨は時計を見て愛の控え室に向かう…。
(特典も撮るってスタッフさん言ってたから、多分休憩してるはず…。)
…
愛梨は愛と仲良くしたかった…。
…
次はいつ逢えるかわからない…。
…
…
控え室の扉をノックする愛梨…。
…
大道が扉を開けた。
…
愛梨は笑顔と高い声で愛に感謝を込めて挨拶をする…。
…
愛は悲しそうなうつろな目をしながら黙って愛梨を見ていた。
…
愛梨は戸惑い、なにを話そうか考える。
…
そして、愛が二人で話しをしたいと大道に言う…。
…
愛梨は期待した。
無口だった愛が二人で話ししたい…。
…
なにを話してくれるのか少しドキドキしながら控え室の扉の前に立っていた。
…
悲しげな表情のまま近いてきた愛の言葉に愛梨は耳を疑う…。
…
…
どうして男に走ったの…
…
愛梨は裏切った…
…
アイドル辞めちゃえば…
…
…
予想もしなかった愛の言葉は愛梨の心に突き刺さる…。
…
溢れてくる涙…。
…
愛梨はもうこの場に居たくない…。
…
精一杯の声で愛に挨拶と一礼をして控え室から出た…。
…
涙が止まらない愛梨…。
…
他の人に見られないよう何度も何度も服の袖で涙を拭いた…。
…
そして…。
帰りの車の中で、愛梨はアイドルを辞める事を池内マネージャーに伝えた…。
…
池内マネージャーは辞めないよう説得したが愛梨は無言のまま受け入れなかった。
…
いきなりの事で困った池内マネージャーは、愛梨を自宅まで送った後、先輩マネージャーの大道に相談した。
…
…
(もう…何も考えたくない…消えたい…。)
…
座って部屋を眺めながらよからぬ事を考え始める愛梨…。
…
その時…一冊の雑誌が目に留まる。
…
それは…おねだりして買ってもらったアイドル雑誌…。
…
愛梨はおもむろに雑誌を持ち、破り捨てようとした。
…
…
だが…破る事はできなかった…。
…
…
眠らず一夜を過ごした愛梨は、いつも持ち歩く肩掛けバックを持ち、自宅をでていく。
…
無気力に歩く愛梨は相田プロ本社の前まで来ていた。
…
本社を眺めながら思い出す…。
…
夢を追いかけ…
…
夢を掴んでいた…。
…
あの日々…。
…
そして夢を諦めた愛梨は近くの駅へ行き…なにも考えず切符を買ってホームへ向かう…。
…
走って行く電車を眺め…立ち尽くしていた…。
…
(もう…終わり…。)
…
そう思い詰めた時…愛梨を呼ぶ叫び声が聞こえる。
…
驚いた愛梨は声のほうを見る…。
…
居るはずもない愛…。
…
愛は必死な顔をして涙をうかべ愛梨に駆けより、
そして強く抱きしめた。
…
抱きしめられた愛梨はただ身を任せていた。
…
泣きながら謝る愛…。
…
辞めないでと叫ぶ…。
…
その言葉は受け入れられない愛梨だったが、泣きながら叫ぶ愛を少し可哀想に思った…。
…
愛梨は愛の背中を優しく撫でてあげようとした…。
…
その瞬間…。
…
眩い閃光が辺りを照らす…。
…
愛の姿が消え混乱してしまう愛梨…。
(あ…あれ?…愛ちゃ…?…どうしてこっち?…電車を見ていたはず…。)
…
…
愛梨から愛の存在は消えた…。
誰となにを話していたかすら思わない…。
…
だが…
いつまでも愛梨の心の中で響いている声…。
…
ずっと応援する…
…
いつまでも…
…
大好きでいるから…
…
いつ誰が言ったかわからないが、
愛梨はその言葉を胸にもう一度夢を追いかける…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます