第18話浮かれ…そして

始めて男性に電話を掛ける愛梨…。

好奇心と不安で心臓はドキドキしていた。

プルルル~。

「はい?…もしもしぃ…誰…?」

優真は少し冷たい声で電話にでた。

緊張で、手と声が震える愛梨…。

「あ、桜庭優真さん?…加藤愛梨です…。」

電話の向こうの優真の声が、急に優しくなる。

「あぁ…愛梨さん?電話してきてくれたの…嬉しいなぁ…愛梨さん頑張ってるからさぁ…俺応援したくて、連絡先渡しちゃったぁ~。ほんと嬉しいなぁ~どうもありがとね…迷惑じゃなかったぁ?あはは…。」

フレンドリーに話してくる優真に緊張が解れてくる愛梨…。

「迷惑じゃないですよ…優真さん、話しやすそうで良かったぁ…無視しているのもちょっと嫌で…。」

その後、愛梨と優真は、仕事の話しや、流行りの話しをして盛り上がった…。

「明日も電話しようよ…愛梨ちゃんと話してると楽しくて…俺から掛けても大丈夫だよね?」

優真は愛梨に狙いを定めた…。

愛梨は、優真と話しをするのが楽しくてしかたなかった…。

「大丈夫だよ…もしでれなかったらごめんね…私から必ず掛けるね…おやすみなさい…。」

電話を切るのが名残惜しかった愛梨…。

次の日も電話をする約束をした。

優真は女たらしの口の上手いゲス男…。

どれだけ女を泣かせて来たか、自分でもわからないほどにモテていた。

純粋な愛梨を手玉に取るのは、優真にとっては簡単なことだった…。

愛梨は次の日の電話も楽しかった…。

口の上手い優真に、どんどんハマっていってしまう…。

いつしか仕事の合間にも、メールなどでやりとりを始める愛梨と優真…。

優真は愛梨を落とせると確信した。

少しだけ押しを強くして…愛梨を自宅に呼んだ。

押しに弱かった愛梨は優真の自宅へ行ってしまう…。

自宅に行ってしまった愛梨は、蜘蛛の巣にかかった蝶々の様なもの…。

言葉巧みに操る優真に惹かれ…抱かれてしまう。

愛梨と優真は付き合う事になった…。

愛梨は初めてできた彼氏に心は浮かれる。

いつも優真の事を想い仕事に励んだ。

毎日一緒に居たい愛梨だが、

人気アイドルは、易々と優真に会いにはいけない…。

週刊誌の記者が、愛梨の自宅周辺をうろつく。

大道マネージャーに送り迎えしてもらっていた愛梨。

週刊誌の記者を、大道が見つけては、おっぱらう。

愛梨はそれを逆手に取り、大道がいなくなったのを確認してから、優真に会いに行っていた。

愛梨ほど売れてない、マルチゲス優真の自宅周辺は、

貧相なもの。

立ちションついでに三流記者がちょろっと来る程度だった。

だが…、

悪い事は重なる…。

いつものように、愛梨は大道の目を盗み、優真に会いに行った。

優真の自宅でイチャイチャする愛梨と優真…。

優真の飲むお酒がなくなってしまった…。

酒好きの優真は我慢できない。

愛梨を誘い、近くのコンビニへ酒を買いに行く事にした。

愛梨は少し不安だったが、夜中という事もあり、一緒に行ってしまう。

夜中に優真と手を繋いで歩く愛梨は、ドキドキして浮かれていた。

コンビニで酒を買い、また手を繋いで歩いて帰る愛梨と優真。

そこにタイミング悪く、三流記者は潜んでいた。

愛梨と優真の手を繋いだ姿を、隠し撮りに成功した三流記者。

(よっしゃあ!大スクープだ。)

ルンルン気分で編集室に戻り、写真を現像して確認をする。

(大丈夫だ、しっかり誰か分かる…さて、どっちを揺すろうか?)

ギャンブルで借金がある三流記者…落田記者。

(女はまずいかなぁ…チクられて相田プロ怒らせたら俺危ないな…野郎を揺するか。)

桜庭優真を揺する事にした落田記者…。

次の日の夜、落田記者は桜庭優真の帰りを自宅前で待つ。

優真は鼻歌を歌いながら酒の入ったコンビニ袋を持ち、歩いて帰って来た。

落田記者は写真を手に持ち優真に声を掛ける…。

「桜庭優真さん、週刊誌の者です、これ見てくださいよ…綺麗に撮れてるでしょ?」

写真を優真に渡す落田…。

「こんなの載ったら彼女泣くなぁ…いや~最近パチンコに勝てなくて…金欠なんですよ、安くしておきますよ?」

優真はほくそ笑みながら落田に写真を返す…。

「お前にやる金なんてねぇよ…帰ればかが…載せたきゃ載せりゃあ良いだろ…ぺっ!」

落田に唾をかけ、優真は自宅に入った…。

落田記者は頭にきた…。

編集室に戻った落田は捏造記事を書き上げ、写真と共に後日発売される週刊誌に載せた。

落田記者に唾を吐きかけ、自宅に入った優真…。

(予想してた通り…嗅ぎ付けやがった…愛梨はもういらねぇや…とり乱されてもめんどくせぇし。)

スマホを手に取り愛梨に電話を掛ける…。

プルルル~。

「はい…どうしたの?優真っ…。」

明るい声で電話にでる愛梨…。

優真は開口一番に別れを切り出す…

「お前とはもう別れるわ…一緒に居てもつまんねぇんだよ…」

電話の向こうの愛梨の声が震える…。

「どうしたの…どうしてそんなこと急に言うの…嫌だよ…」

優真はイラつき、声を張り上げる…。

「勘違いしてんじゃねぇぞてめぇ…遊んでやっただけなんだよ!もう来なくていいからな。」

電話を切り、着信拒否にした優真…。

優真との別れに愛梨は深く傷ついた。

さらに週刊誌が愛梨を追い詰める…。

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