夢みる愛梨の物語

第17話愛梨の夢

父に連れられ観ていたアイドルのライブ…。

華やかな衣装で笑顔は輝き…

美しく舞う姿…。

可愛いらしい歌声…。

少女の愛梨は憧れを抱く…。

自分もいつかアイドルになりたい…。

綺麗な衣装を着たい…。

そう想いながら過ごしていた…。

ある日の事…。

学校帰り、本屋さんに立ち寄った愛梨は、一冊のアイドル雑誌に出会う。

立ち読みして帰った愛梨は、仕事から帰ってきた父におねだりして、その雑誌を買ってもらった。

嬉しくて毎日、アイドル雑誌を見る愛梨。

自分もアイドルになる決意を固めた。

アイドルオーディションに応募して、挑んだ愛梨だったが、不合格だった…。

自分の部屋で泣き崩れた愛梨…。

それでも夢は諦めなかった。

それから少しの時が過ぎ…。

相田プロのオーディションに挑んだ。

結果は合格。

ほんわかした性格の愛梨だったが、自分の部屋で大きな声を出して喜んだ。

相田プロはまず、ダンスレッスンを受けさせる。

愛梨の先生は鬼怒まり子だった。

まり子のレッスンはとてつもなく厳しい…。

愛梨は何度も泣かされたが、歯を食いしばり夢を叶える為に耐えた。

辛く厳しいレッスンに耐える日々を送っていた愛梨。

ついにデビューが決まった。

デビューシングルCDが発売されたが、まったく売れなかった。

愛梨のマネージャーは、大道が務めていた。

大道は、売れない愛梨のCDとポータブルプレーヤーを持ち、必死に愛梨を売り込んだ…。

だが、名前が売れてない新人アイドルを使ってくれる人はいなかった。

セカンドシングルも、とりあえず発売されたが駄目だった。

サードシングルが発売されたが、これが駄目なら愛梨はもう終わり…。

大道はさらに愛梨を売り込んだ。

愛梨の曲を嫌がる人達にも無理やり聴かせた。

大道の必死な売り込みは、ドラマの主題歌を探していた人を引き寄せた。

ドラマのイメージに合い採用された愛梨の曲…。

ドラマはヒットし、主題歌の愛梨の曲は売れる。

そこから愛梨の知名度は上がり、人気が出始めた。

さらに追い風が愛梨に吹く…。

音楽プロデューサー有岡が曲を作ってくれる事になった。

有岡の髪型はちぢれ麺だが、確かな音楽センスの持ち主で、作る曲は売れる。

愛梨の曲は大ヒットした。

これを機に愛梨は学校を辞め、独り暮らしを始めた。

人気アイドルになった愛梨は毎日仕事に追われる。

自宅には寝るためだけに帰るようなものだった。

どの仕事も真剣に取り組む愛梨…。

大道マネージャーは、その姿を喜び、仕事をどんどん取ってきてしまった。

仕事に向かう車の中で、外の景色を眺めては、同年代の楽しそうなカップルを見て、少し寂しくなっていた愛梨…。

そんな時に、愛梨は桜庭優真と出会う…。

優真との出会いは生放送の歌番組だった。

愛梨は新曲…この想い…の宣伝兼ねての出演…。

優真はマルチタレントとして少し売れ始め、安いギャラでショボい曲をアピールするためなんとか出演させてもらった。

生放送本番中に優真は他の共演者、スタッフ達の目を盗み、愛梨に連絡先が書いた紙を渡す。

女グセの悪い優真は、愛梨でなくても別に良かった。

いろいろなところで優真は女性に連絡先を渡す、マルチゲス野郎だった…。

仕事一筋でやってきた愛梨は、まともに男と話したり、遊んだりした事がなかった。

自宅で一人寂しかった愛梨は、車の中から見ていた、楽しそうなカップルの姿を思い出す。

大道マネージャーには見つからなかった、優真の連絡先が書いてある紙…。

愛梨は、優しい心と寂しい心…。

好奇心で、桜庭優真に電話をしてしまう。

そして、人気アイドル加藤愛梨は転落していく。

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