第4話放課後のハッピーバーガー

昼休み時間…。

愛の座っている席に集まる3人。

隣や前の席の椅子を借りて、みんなでお弁当を食べる。

食べてる最中、えみこが急に言いだす。

「ハッピーのデカデカバーガー食べて~。」

ひなたが、えみこにつっこむ。

「今食べてるのにもう腹減ってんの?ウケる…んじゃ行くか…今日の放課後みんなで。」

はるかもえみこも賛成する。

愛はカナ・エールの言葉を急に思い出した。

(身を任せろ…か。)

愛も賛成した。

雑談をしながら弁当を食べ終わった4人。

ひなたが愛を誘う。

「あ~トイレ行きたい…愛、一緒に行こ。」

愛とひなたは女子トイレへ向かった。

廊下を歩きながら、愛に話しかけるひなた…。

「愛は当然イケメン狙いでしょ?じゃないと釣り合わないよね…まぁウチの学校にはいないね…変なのばっかり。」

苦笑いをしながらひなたの方を見る愛。

「そ、そうかな…男に興味ないからなぁ…あはぁ…。」

無意識にトイレのドアを開ける。


男子WC…。


「あ、愛?そっちは男だよ!」

ひなたは叫んだ。

男子達も叫ぶ。

「ひ、平間ぁ!」

「お、お、おい。」

お約束の展開…。

「あ?そうだごめん…間違えた。」

愛はクールな顔をして、男子トイレから去る。

(平間に見られちゃった。)

(ビックリしてズボンに…トホホ。)

トイレで御用を済ませた愛とひなたは、教室へ戻るため廊下を歩く…。

「おい、平間来たぞ、頑張れ。」

「お、おう。」

愛とひなたの前に、隣のクラス男子2人が現れる。

気の弱そうな男が、愛に告白をする。

「平間さん、僕と付き合って下さい。」

愛は唖然とした…。

(誰?)

「ごめんなさい。」

気の弱そうな男は肩を落とす。

どさくさに紛れて、もう1人の男が愛に気持ちを伝える。

「だからムリだって言ったろ、平間…俺とは?」

ノリで行こうとする。

(だから誰?)

「ごめんなさい。」

当然の結末…。

「だ、だよね。」

Heartbreakした男子達。

「はいはい残念でした…愛が相手にするわけないでしょ、鏡見てから来てね~、行こ…愛。」

さらにbreakさせるひなた…。

男子達は教室にbreakした…。

(なんて長い昼休みなんだ…。)

ひろしの頃は寝ているだけだった愛。

午後の授業も終わり、放課後4人は学校から近くの駅に向かう。

ハッピーバーガーは、となり街の駅前にある。

電車に揺られながら、愛は思い出していた。

(ハッピーバーガーか…。)

ハッピーバーガー駅前店…。

そこは放課後の女子達が集まる場所…。

美味しいポテトとジュースで何時間も、

おしゃべりできるオアシス…。

ひろしは1度だけ足を踏み入れた事がある。

それは、アイリの限定DVDを求めて、となり街のCDショップに来た時だった…。

(やったぞ、手に入れたぁ…早く帰って観たいなぁ~、アイリ…どんな衣装着てるんだろ?アイリぃ…あぁ早く逢いたいアイリ~。)

早く帰りたくても電車はまだ来ない。

テンションの上がってるひろしは調子に乗った。

(喉渇いたな…今日は贅沢するか!)

シェイクを求めてハッピーバーガーに向かう。

店の裏の入口から入ったひろしは、カウンターまで歩く。

おしゃべり女子達は、ひろしの顔をロックオンした。

「ねぇ、見て見て顔油でテカってるよ。」

「あの油で、ポテト揚げに来たんじゃないの?」

「やめて、食べれなくなるぅん。」

話しのネタにされてしまうひろし。

(嫌な感じだな…テンション下がってきた。)

ハッピースマイルの店員さんが迎えてくれるカウンター。

「いらっしゃいませ、ご注文どうぞ。」

メニューを見るひろし。

(お!イチゴ。)

「イチゴたっぷりシェイクで。」

それが聞こえたおしゃべり女子達…。

「あの顔でイチゴだってー。」

「あんたに似合うのはコーラだろ。」

「イチゴ可哀想。」

ひろしはシェイクを受け取りそそくさ店から逃げた…。

そんな苦い思い出がある店…。

(はぁ~、行きたくないなぁ。)

もう1度、あの店に足を踏み入れる事になった愛。

店の前に着いた4人。

「デカデカバーガー3個食べよ…4リットルサイズコーラ飲も。」

えみこはさっさと店に入っていく。

「4リットル…あるの?」

はるかも店に入る。

「どうしたの愛?行こ。」

ひなたも店に入って行く。

(この店嫌だなぁ~。)

愛は、嫌々入って行った。

おしゃべり女子達が愛を見る。

「ねぇ、見てあの娘可愛い。」

「どこの学校?」

「食べたくなっちゃうん。」

ひろしの時とは違う。

ハッピースマイルの店員さん。

「ご注文どうぞ。」

愛はあのシェイクを注文する。

「イチゴたっぷりシェイクを下さい。」

それが聞こえたおしゃべり女子達。

「声も可愛いよ。」

「良いなぁ~。」

「イチゴが羨ましい。」

愛に憧れるおしゃべり女子達。

複雑な気持ちの愛。

(なんだかなぁ。)

愛はイチゴたっぷりシェイクを受け取り、椅子に座って飲む。

(美味しい。)

その後、えみこのデカデカバーガー早食いや、

はるかのつまらないかずくんの話し、

ひなたとお昼にあった出来事などを、

おしゃべりしながら過ごした…。

「そろそろ帰るか。」

ひなたが言った頃には、外はすでに暗くなっていた。

電車に乗って住んでいる町へ戻る。

「また明日ね。」

「うまかった~、晩御飯なにかな?」

「彼氏んとこいくかな、じゃねー。」

みんなと別れ、愛は帰宅する。

「ただいま。」

茶の間へ行くとすでに夕食ができていた。

「遅かったね、どこに行ってたの?」

母に理由を説明し、夕食を済ます。

部屋に戻った愛は、ベッドに横になる。

(女も大変だなぁ…疲れた。)

睡魔に襲われ、うとうとしていた時…。

「愛よ…道しるべを与える。」

カナ・エールが現れた。

驚いてベッドから起き上がる愛。

「もう一度となり街へ行け…1人でな…断ることは許さぬ。」

カナ・エールは消えた。

(断ってはいけない…なにをだろう?)

愛は次の日、1人でとなり街へ向かう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る