9/8 Thu. 因果応報――前編
それは4限の始まりから10分くらいが経った頃だった。
「碓氷才良くん。保護者の方がお見えです。職員室まで付いてきてください」
授業中にドアを開き、そんなことを言ってきたのは教頭先生だ。
用件を言えよ。どっちにしても付いてくけどさ。
「すみません。ちょっと行ってきます」
教師に軽く頭を下げて教頭の元に行く。川辺さんの不安げな顔が目に入ったけど、ここはスルーさせていただく。
静けさの残る廊下に出たら教頭はすぐに右折した。職員用とされる階段を使って階下へと降りてく。教頭は最初の踊り場で足を止め、
「これでよかったのかい?」
「お手数をお掛けしました」
「礼はいいよ。ただ、これで貸し借りゼロだからね」
教頭は溜息を吐いてそんなことを言ってきた。こいつ、分かってねえな。
遡るは約1か月前のこと。プール掃除の一件についてだ。
みんなの前でも言ったことだが、俺は問い合わせをしたんだ。この教頭先生にね。これは本当にやらなきゃいけないことなのかって。
「僕もね。困ってるんだよ。佐藤先生がどうしても納得がいかないって。他の若い先生も賛同しちゃってね。ほら、それを無理に言いくるめるとパワハラだなんだって言われちゃうしさ。当日の監督だって僕がやるし、形だけで大丈夫だから。ね? 佐藤先生に任せるとほんのちょっとの汚れにもケチを付けて一生終わらないと思うし」
それに対して俺はこう答えた。
「教頭先生も予定があると思いますし、掃除をしたという実績だけが必要なら最初と最後に顔を出すだけでいいですよ。なんなら俺らが帰った後にチェックするだけでもいいです。俺らも納得してやる訳じゃないですから、本来なら佐藤先生に向けられるべき悪感情を教頭先生が受けるのも理不尽ですしね」
そもそもだ。あの広大な施設を油野1人に掃除させるって内容自体が体罰みたいなもので、逆に佐藤は懲戒処分を受けていない。訓告すら受けていないんだ。
しかもこいつ。早朝に屋内プールの鍵を渡したら本当に帰ったし。こっちにとっては好都合だったから見逃したけどさ。
果たして、これはフェアな話と言えるのかね。ツイッターでアンケートでも取ってみたくなるよね。市民の公僕へのヘイト値は常に高いからよく燃えそうじゃね。
という気持ちを伝えた結果、なんと今日のコレに手を貸してくれると仰ったのだ。
いやぁ、生徒の不躾なお願いに協力してくれるだなんて、教師の鑑だね!
実に有難い。有難いけど、それとこれじゃ話が違うんだよなぁ。
「いえいえ、貸し借りゼロだなんてとんでもない。俺は教頭先生の手引きで授業をサボるんですから、これを口外されたくないならまた借りができる訳ですけど」
「きみねぇ」
教頭は顔をしかめた。けど理屈が分かってるから怒っては来ない。
「露見しても俺は別に大した痛手にならないですけど、先生はどうでしょうね」
「……僕を脅す気かい?」
「事実を述べているだけです」
「あのね」
「そもそも」
俺は教頭の反論を遮り、
「佐藤教諭の横暴。教頭先生の横着。先生にはカードを2枚しか見せていませんが、俺の手札は7枚あります」
「……どういうことかな?」
「俺の口を軽くするとお互いに不利益が生じるということです」
「つまり脅しではなく、お互いの利益のためということかな?」
「はい。ウィンウィンってやつです。その証拠にカードを1枚披露しましょうか?」
「……手短に」
それは俺も望むところだ。
「この学校で起きたいじめの証拠をいくつか持ってます」
教頭のだだっ広い額にしわが寄った。
「しかもそのうちの3つは俺の手で解決したものです」
3バカと高倉による内炭さんへのいじめ。部室に入る寸前で中から3バカの声が聞こえたから録音してある。
浅井による俺へのいじめ。これも本人に宣告した通り録音してある。
天野さんによる川辺さんへの暴言。これは録音こそしていないが、今後もモデルとして活動したくないのかって尋ねるだけで本人が認めるだろ。
細かいものでよければ他にも多々ある。浅井の丹羽くんや大畑くんへの態度もそうだしな。
こいつは典型的な事なかれ主義の公務員だ。今後の人生をどれだけイージーに過ごすかってのが真っ先に思い浮かぶはず。だから自分に責任が及ぶような出来事は遠慮したいに決まってるんだよ。揉み消せるものならすべて揉み消したいよな?
何せハゲの話だと油野への体罰の件でもそうだったらしいし。なのに、
「いじめの証拠はまだ残っている。なのにいじめの事実を確認することができない。あろうことか教員が介入した形跡もないときている。どういうことでしょうね」
これは簡単な論理的思考で答えに辿り着ける。その証拠に教頭は間もなく、
「生徒間で解決したということになるね」
「教師が動いてくれなかったから。って言葉が頭に付きますけどね」
「……相談したのかい?」
「無駄なことはしない主義です」
教頭が両手を挙げた。
「きみの勝ちだ」
しかし教頭の顔に敗北感は窺えない。
「保護者の方々に我々がいくらそれを懇切丁寧に説明したとしても、きみがさっきの言葉を口にするだけで学校側が悪いということにされる。なぜならいじめの証拠があるからだ。きみの担任が誠心誠意で本当に相談されていないと言ったところで、保身のために知らぬ存ぜぬを貫いているのだと誤解されるに違いないね」
「その手のニュースは珍しくないですからね」
「というよりきみがSNSやらを使って率先的に燃やすんでしょ?」
「言うまでもないことですね」
「しかもたぶん、今の会話も録音してるんでしょ?」
「それこそ言うまでもないことですね」
「最近の子供はおっかないねぇ」
教頭が再び足を動かし始めた。俺もその背中を追っていく。
「今回のこれは何かの悪巧みかい?」
「いえ、実は1年2組で大規模ないじめが発生していまして。俺の幼馴染がクラスのほぼ全員からシカトされてる状態なんですよ」
「……聞かなかったことにしたいんだけど」
「録音されてると分かっているのにそれを言うのはどうなんですか」
「どうもならないよ。なぜなら僕はきみの指示に従うからね。きみも僕みたいな都合のいい手駒を失いたくはないでしょ?」
こいつ。予想以上に食えねえな。
「そうですね。これからも持ちつ持たれつでいきましょうか」
「そうだね。差し当ってはそのいじめを解決してくれるということでいいのかな?」
「乱暴な手を使いますけどね。問題になったら先生は知らぬ存ぜぬでどうぞ」
「え? いいの?」
「逃げようとされると捕まえたくなりますけど、留まるって意思を見せてくれる人に横暴な態度を取る気はないです。それは不義理ってやつなので」
「碓氷くんはその辺の教員よりも大人だねぇ。儒教とかにも詳しそう」
「話の流れ的に五倫五常ですかね。あれは長幼の序さえ五倫に入ってなかったら受け入れられるんですけど」
「そこを突かれると痛い。僕も近所の迷惑ジジイに嫌気がさしているからさ」
そんな感じで話をしてたら1階に着いた。けど管理棟には向かわない。目的地は目の前にある来賓用の玄関だ。きっと俺の保護者は駐車場で待機してくれてる。
「そうだ。教頭先生とさらに仲良くなるためにカードを1枚切りますね」
玄関の前で立ち止まり、LINEで合図を送りながら言ってみた。
「お手柔らかに頼むよ」
「あの屋内プールって2年近くは教員や生徒の手が入っていませんよね」
「そうだね。校内で清掃をしたって記録があるのは一昨年で終わりかな」
「きっと気付いたのは俺と水谷さんと上条先輩だけだと思いますけど」
「何にだい?」
「どうして掃除をしていない更衣室があんなに綺麗な状態だったのかなって」
2年も放置すれば当然ながら埃っぽくなる。なのに俺らは平然とそこで着替えてたんだ。最初に掃除をする場所こそが更衣室やトイレのはずなのに。
「今から言うことは独り言なので聞き流してくださいね」
教頭の目が鋭くなった。
「実はプールが稼働してるていにして、その費用をどこかの口座にプールしてる」
くだらない駄洒落だったからクスっともしてくれなかった。
「或いは、大型連休中に融通の利く清掃会社を格安で入れてる」
あくまで教員や生徒の手で清掃された記録は一昨年までってお話。施設である以上は維持管理に必要な予算が計上されてるはずなんだよな。更衣室が綺麗だった点からもこっちである公算が大きい。
「想像力が凄いね」
聞き流せばいいのに。
「清掃会社からのリベートっていくらくらい貰えるんです?」
「何のことだい?」
「便宜を図ってることもそうですけど、今回は生徒に掃除をさせるからプール内やデッキは掃除しなくてもいいって条件を付けて費用の減額を打診したのでは? もちろん、請求書の額はいつも通りにして」
更衣室に比べてプール内は普通に汚かった。みんなでゴシゴシやるくらいにはね。
「それも証拠があるのかい?」
その言い方は肯定したのと同じだが。
「ないですよ。強いて言うなら、不景気でボーナスの減額がニュースで流れてたはずなのに、公務員様はやっぱ安定してるな。新車を買うくらいには。って思いました」
「碓氷くん」
「はい」
「仲良くしようね」
「俺は最初からそのつもりですよ」
「ちなみにどの辺から怪しかった?」
「プール掃除の監督をやるって言ったとこですかね」
「えぇ、スタートからか。どこがおかしかった?」
「尤もらしいことを言ってましたが、それでも教頭先生がわざわざ出張ることでもないでしょう。管轄で言えば生徒指導部の案件ですし、新任への洗礼にも使えるイベントでしたからね。それなのに『なぜ』と考えれば、自分が窓口になることで大きなメリットがあるからと考えるのが論理的じゃないですか?」
「なるほどね。悪いことをする時は碓氷くんに相談しようかな」
「違法行為には手を貸しませんよ。俺がするのはせいぜい目を瞑るくらいです」
「えー、焼肉おごるよ?」
冗談にしても軽すぎるな。って思ったとこで例の人物が視界に入った。
「前も思ったけどさ。あの人ってホゴシャっていうよりハンシャって感じだよね」
「伝えときますね」
「またまたー。仲良くしようよ、碓氷くん」
肩を抱いてきやがる。急に馴れ馴れしいな。
「俺、思うんですけど」
「え? なになに?」
「職員会議でプール掃除が決まったとき。先生って賛成に票を入れていたのでは?」
「……仲良くしようよ」
「これはいい小遣い稼ぎになるって思ったタイミングを聞きたいですね」
「さあ! お客様を出迎えようか!」
こいつ、低能を装ってるだけで実は頭のキレるやつだ。確実に左脳タイプだね。
という訳で保護者と合流し、教頭と3人で生徒指導室に入った。
そして出るのと同時に4限終了のチャイムが鳴った。
俺は2人に礼を言って中央階段を駆け上がる。めっちゃ人目を引くね。誰もかれもがびっくりした様子で俺を見てくる。二度見もいっぱいだ。
これが油野や水谷さんが見てる景色か。まったく慣れる気がしないな。
3階に到着。右折で7か8組に。左折で1から6組に行ける。
まあ、左折だよな。って思ったとこで人混みの中に内炭さんを発見。めっちゃ見てくる。けど俺だと気付かずに通り過ぎようとしたから、
「へい。内炭さん、へい」
めちゃくちゃあとずさりされた。この子、思ったよか反射神経がいいな。
「えぇ。どちらさまですか?」
寄ってこない。不審者を見るような目を向けてきてる。傷つくね。
「俺だよ俺」
「……その安易な振り込め詐欺っぽい語り口は碓氷くんね?」
「察し方が酷いね」
とにかく階段の近くにいると邪魔になるから廊下の窓際まで移動してみる。
「視線を凄く感じるわね。どうしてそうなっちゃってるの?」
「念のための変装。優姫に気付かれるのはよくないかなって思って」
「……いや、だからって」
内炭さんが俺の顔面を凝視してくる。照れるね。
「なんで紙袋?」
そう。俺は今よくある茶色の四角い紙袋を被ってる。目出し用の穴を空けてあるけど、視界が狭すぎてちょっと酔いそうだ。あと地味に暑いし、息苦しい。
「俺の論理的思考力をフルドライブさせた結果、これが最適解となったからだ」
「フルドライブさせる脳を間違えてない?」
ちゃんと左脳だよ。右脳のフルドライブなんて俺には無理だよ。
「という訳で今日は部室に行かない。2組の観察をする」
「観察? 何かを仕掛けたの?」
「大したもんじゃないけどね。野次馬は集まると思うけど」
「……なら見学しようかしら」
許可を待つかのように上目遣いで見てくる。
「いいけど、俺の傍にいるのはダメだぞ。優姫に正体がバレる」
「そうね。私と一緒にいる男子なんて限られてるもんね」
「なので内炭さんには油野を与えよう」
「碓氷くんのそういうとこ。好きよ?」
「セットで水谷さんもいかがですか?」
「……いただく以外の選択肢が取れないんだけど」
「押し売りにノーって言えないと一人暮らしをした時に困るぞ」
俺はLINEで油野と水谷さんに事情を説明して、
「先に1組まで行ってくれ。俺は2組の前で止まるから」
「分かったわ」
そうして内炭さんの背中を見送った。彼女は3組と2組の前を通る際に顔を左に向け、2組の時に歩く速度を落としたのが印象的だった。
何かあるのかね。血圧が上がるなぁ。
内炭さんが1組に辿り着いたくらいで油野も廊下に出てきた。いかんいかん。早く水谷さんが合流してくれんと「えっ、あの女子、なんで油野くんと親しそうにしゃべってるの?」っていう別の問題が発生してしまうわ。
俺は足早に3組まで行って、同じタイミングで噂の美人さんが出てきた。
「……何をやってるのよ」
再び不審者を見るような目を向けられた。ショックだね。言い訳はできんけど。
「油野ごっこ。顔をじろじろ見られるのって気分のいいもんじゃないね」
「胸もね」
ご安心ください。あなたのは無意識で見ることはございません。
「とにかく油野のとこに行っておくれ。内炭さんがヘイトを稼いでるから」
「はいはい。ところで碓氷くんは何をする気なの?」
「俺は見てるだけ」
で、済むといいなぁ。
「よく分からないわね」
「時限式のイベントが発生するんだよ」
「……あぁ、そういうことね」
水谷さんは納得したような顔を見せて1組の方に歩いていった。その直後に高橋さんが3組から出てきた。二度見されちゃったよ。
抱えてた巾着袋はきっと川辺さんのお弁当だね。とにかく俺も行くか。
そして2組の前に行って、内炭さんが足を止めそうになった理由が分かった。
昼休みなのに優姫は突っ伏してる。それを心配してる感じで何人かの女子が優姫の机に張り付いて声を掛けてた。どいつも口元がにやついてるけどね。
「相山さーん、メシ食わなくていいのー?」
陽キャの男子がそう言ったらそこら中で笑い声が起きた。
「ダイエットしてるんじゃない? ほら。脂肪がついてるし」
「着ぐるみを嫌がったのもサイズが合わないからだったりしてー」
「胸がデカいと態度もデカいって聞くけど本当だよね」
「てか髪を巻いてくんなっての。大したツラでもないくせにさ」
「しょうがないよ。だって学年で300位って話だし」
「あー、それじゃあしょうがないかもね」
「典型的な胸だけが取り柄の女子ってやつ?」
「わかるー。他にいいとこがあるなら教えて欲しいくらいだし」
「クラスの足手まといって自覚くらい持って欲しいんだけどなぁ」
「ムリムリ。そんなのができたら猫カフェに反対してないって」
「空気を読める頭じゃないからな」
「油野くんもこんなのに付きまとわれてカワイソー」
「相手にされてるようには見えんけどね」
「ウケる」
「こらこら、みんな」
そう言ったのは牧野だった。その醜い顔に貼りつけられたのは強い優越感。
「本当のことを言ったら可哀想でしょ?」
2組が笑いの渦に包まれた。教室の内外で世界が異なるようにすら感じる。
やっぱイメトレって大事だよね。程度の低いやつらが言いそうなことを予め考えといてよかったわ。
じゃなきゃそこの窓ガラスを割っちまってるよ。
息を吐く。もう少しの辛抱だ。
それにしても、同調圧力って本当にやばいな。だって何人かは紙袋をかぶった不審者を見てるんだぜ? なのに優姫の悪口を言うことを優先してるんだからさ。
多少でもこっちに意識を引っぱることができれば優姫の負担も減るかなって思ってたけど、いやはや見通しが甘かったね。箸にも棒にも掛からぬってやつだわ。
「やあ」
呼び掛けに応じて首を左に振ってみた。むかつくね。素顔を晒して視線を集めることができるなんてさ。
「様子はどうだい?」
ふぁさっと髪をかき上げながらヒハクが尋ねてきた。着てる制服は俺のもの。スリッパだと色で学年がバレるし、身長を稼ぐこともできないため、大畑くんから借りた鑑賞用のバッシュをソールマシマシで履いてる。
「ご自分の目と耳で判断してください」
「オレにその気はないよ。きみがいじめと判断した。それだけで充分だ」
言葉だけ聞くと嬉しくなるけどね。ふぁさっと髪をやられるとリップサービスにしか聞こえないんだよね。
ふと見れば1組の方にいる3人がヒハクの登場に驚いてる。他にも顔を赤くしてる女子が散見されるが、もしかしてSNSでヒハクを目撃した勢なのかな。
「そろそろだね」
ヒハクが右手の腕時計を見ながら言った。あれ? 俺があげたシャーペンを胸ポケにさしてる。使ってくれてんのかな。それともただの飾りかな。
なんであれ。時間に関してはヒハクの言った通りだった。
ぴんぽんぱんぽーん。
週1くらいで聞くか聞かないかってSEが耳朶を打った。
『只今より。後期生徒会役員選挙の放送演説を行います。生徒の皆様は可能な範囲で結構ですので、各立候補者の言葉をお聞きくださるようお願い申し上げます。なお、お食事の最中かとは思いますが、演説が終了するまでは大きな声でのおしゃべりを控えるようお願いいたします。繰り返します。只今より』
あれ?
「ヒハクってここにいて大丈夫なのか?」
「放送演説は録音したものを流すのさ。生放送にすると様々な事故があるからね」
緊張して声が出せないとか。噛み噛みの神になるとか。受け狙いで下ネタをかますとか。そういうのは中学でもあった気はするね。
「かおちゃんの放送も今日なの?」
2組から媚びた感じの声が聞こえた。
「あたしは来週かな。役職の上の方から順番って聞いたからさ」
「えー、じゃあ今日は聞かなくてもいっかー」
思わずヒハクを見た。笑ってるね。
「しかも同じ役職の場合は2年からって話だからあたしは最後の方だと思う」
「出たー、年功序列ー。このシステムってまじでゴミだよなー」
「2年なんか興味ねえのにな。名前を見ても知ってるやつがいなかったしよ」
だからポスターを用意するし、理念を放送に乗せるんだろ。本当にバカだな。
「少年、安心するといい」
有権者に名前を知られていない人がいつも通りに言ってきた。
「もう数分も経てば、この子達は私の名前を一生忘れられなくなる」
こりゃ参ったね。久々に背筋がゾクッとしたよ。
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