23. 不安と期待

23. 不安と期待




 あれからオレたちはエリス=アクアマリンを支持するやつらに何度か襲われるが、協力しながら戦い順調に星を集めていった。と言ってもカトレアとギルがほとんど倒してくれているんだけどな。


 オレはというと、カトレアが『ステラ様は四大との戦いがあるので休んでいてください』と言って、戦闘に加わらせてくれなかった。まぁ、ありがたいんだけどな?でもそれと同時に期待されているプレッシャーも感じていた。


「大丈夫かしら2人とも?」


「はい……。まだまだ戦えます」


「オレたちの心配より、お前は自分の心配をしてろ。この新入生魔法競技大会は間違いなく最後の四大との勝負になる。だからそれまで力を温存しておけよ。お前の負けがオレたちの負けなんだからよ」


「ええ……分かったわ……」


 2人の疲労が見て分かる。しかし2人の言う通りなのは間違いない。ここで力を使い切ってしまっては、四大との戦いに勝つことができないし意味がない。


 ……でもオレは本物のステラ=シルフィードじゃないんだぞ!?オレが四大に勝てるのか?その不安が一気に込み上げてくる。


 そんな様子を見たカトレアが声をかけてくる。


「ステラ様。珍しいですね?迷っているんですか?」


「え?」


「私はステラ様が他の四大に負けるなんて思ってません。だって私の知っているステラ様はすごく格好良くて憧れの最強の魔法使いですから!きっとステラ様ならどんな困難があっても乗り越えられます!」


 カトレアは笑顔でオレにそう言ってくれる。そうだ、今更何を悩んでいるんだオレは。今までだってどんな困難も乗り越えてきたじゃないか!あの時ステラ=シルフィードとして3年間生き抜くと決めた。それに今のオレにはみんながいる!


「ありがとうカトレア。私、頑張るわね!」


「はい!頑張ってください!」


 その時、森全体に最後の通信が入る。


 《現在のトップはグレン=フレイザード!星の総数75。次点、エリス=アクアマリン星の総数71。ステラ=シルフィード星の総数68。今残っている人数7名。残り時間2時間!》


「ということは残っているのが、ボクたちと四大ということだな」


「なら、戦いは避けられないよな。あとはオレたちがいかに星が奪われないか……だな?」


 あとは四大を倒せば良いということか。ここからは心理戦だ。グレン以外の四大は誰かを倒さないと優勝はできない。そうなると必然的に誰が誰を倒すのかを決めることになる。


「ステラ。ボクたちの星を集めて君が逃げきるのが一番効率がいいと思わないかい?」


「私が逃げきる?」


「ああ、それが一番楽だろうな。オレたちが戦っても四大に勝つ可能性がない」


「大変だと思いますけど、頑張ってくださいステラ様!」


 みんなはオレを見る。そうか……そこまでオレに信頼を置いてくれているのか。なら、その期待に応えないといけないな。


「1ついいかしら?私に提案があるのだけど?」


「提案……ですか?」


「ええ。私たちが必ず勝つ作戦よ」


 みんなに作戦を話す。こうして新入生魔法競技大会は佳境を迎えることになる。オレたちは勝つために動き出す。


 新入生魔法競技大会終了まで残り時間1時間58分

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