第1話 運命のカードに身を任せる

「ミカエル。つまりお前はマギ・ウォールドで人間達を戦わせてつまり、このキャリバー・カードを人間に使わせる。その7つの力の内の俺達が賭けたカードの1つの゙ギルド゙が勝てば俺達が選んで良いんだよな?」


「その通りさ。ガブリエル。キャリバー・カードを使う人間は既に僕が選んでおいたからね。」


ミカエルは高級感に溢れる羊の革に文字をズラズラと書き上げた物をガブリエルに見せる。


「その人間の対象は?何を基準にしてキャリバー・カードを使う人間を選んだ?ミカエル。」


「鋭い所を突いてきたねガブリエル。この人間達はね。必ずって言っていいほどに九死に一生を遂げているんだよ。」


「それはいったい…」


「人間って言うのは不思議なものでね。人間にとっで死゙とは恐怖そのもの。人は死に目の前で直面をした時に゙生゙に対する気持ちがどんな時よりも執着する。」


ミカエルが人間の生と死に対する気持ち。そして死こそが人間に対する恐怖だと語り始めた時に他の6人は黙り込みミカエルは話を続ける。


「そして人間は恐怖または痛みこそが最も頭にあるブレーンつまり脳が働きかけ、更に記憶という保存を本能でしてしまう。」


「だから何なのですか?ミカエルさん。そんな事はミカエルさんだけでは無く私を含めて私達全員が知っている事です。」


「うむ。」


「ん…知ってる。」


「何を言い出すんだか…」


「んな事は分かってるっての。」


「僕も知ってるよ~ミカエルっち。」


ラファエルの言葉に順にサラカエル、ラグエル、ガブリエル、ウリエル、レミエルが頷く。だがミカエルは細く笑みを浮かべながら再び話し出す。


「じゃあ…みんなは知っているかい?死を目の前で直面して生き残った人間には2種類に分けられる事を?」


「「「「「「ッ?!」」」」」」


「どうやら僕以外は誰も知らないようだね。」



更に語りを始めるミカエルだ。


「人間はさっきも言った通り゙死゙こそが恐怖の代名詞であり、死に直面した時に゙生゙への執着が強くなる。そして死という恐怖を何かの拍子で免れて生き残れた時、その後に人間は2種類に分かれる。」


そしてミカエルは少しだけ、ほんの少しだけ間を置いてからミカエルを除く他の6人が知りたい知識を話す。


「1つは心的外傷を残す事だね。死という恐怖が一生消せないほどの追い掛けてくる闇に恐怖を抱き癒える事のないトラウマを抱えて生きる人間。」


「確かにミカエル殿の言う通り人間と言うのは恐怖に人一倍敏感。その死という恐怖が人間の弱点とも言うべきですの。」


「その通りさサラカエル。でもね僕が言いたいのは、もう1つの人間さ。」


「イチイチ焦らさないで、さっさと言ったらどうなんだ?てめぇは。」


「そうだねウリエルの言う通り、さっさと言おう。もう1つは恐怖そのものを恐怖と感じない人だよ。」


「それは恐怖を克服したって捉えれば良いのかな?ミカエルっち。」


「レミエル。君の言う恐怖を゙克服゙とは少し違うんだよ。確かに人間は恐怖に怯える人も居れば恐怖を勇気という気合いや根性と言った精神で克服出来る。でも僕が言いたいのは少し違う。」


「じゃあ…ミカエルっち。なんて言えば良いの?」


「今、自分自身が起きている恐怖を゙恐怖だと感じない゙またば゙恐怖だと思わない゙って事だよ。レミエル。」


「ふ~ん。人間って変わってるんだね。」


レミエルはミカエルの説明に何か納得した様に頷きながら手を顎に添えて言う。


「無恐怖症…」


「その通りだよ。ラグエル。九死に一生を遂げた人の中には無恐怖症と言われる人間の一種の精神疾患がある。僕はこのキャリバー・カードを扱う人間は無恐怖症と言う恐怖や危機感を感じない人間を選んだんだよ。」


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