第77話 感動を味わわせる
感動を味わわせる
読み手が小説を読む理由のひとつは「知的好奇心を満たすため」でした。
実は小説そのものを読もうとする大きな理由が存在するのです。
そしてそれこそが、私の小説で決定的に欠けているものかもしれません。
それは読み終わったときの「感動を味わうため」です。
読み手は、10万字の先に「感動を味わうため」に小説を読みます。
つまり10万字読んで、「心が揺さぶられる(感情が動かされる)」ことを味わいたいがために時間を費やすのです。
時間を費やした挙げ句、感動がない。なにも残らない。
これでは低評価にされても致し方ありません。(『カクヨム』なら★レビューやフォローが付かない)。
まとめれば、読み手は「人生という貴重な時間を費やして文章を読み、費やした時間に見合うかそれ以上のリターンを得るため」に小説を読んでいるのです。
ここでいうリターンとは娯楽として「心を揺さぶられる」「感情が動かされる」つまり「感動」することです。
私はこれまでの作品で「読んでいてワクワクする小説を書きたい」と思って長編を書き続けてきました。
物語の展開にワクワクしてほしい、というわけですね。
これはゲームでたとえるとわかりやすいですね。
アクションハンティングゲームのCAPCOM『MONSTER HUNTER』シリーズが好例でしょう。
50分以内にモンスターを狩る過程がワクワクして面白い。
一頭ハンティングしたら、次のクエストを受注してさらに50分以内にモンスターを狩ることになる。
この時間内にハンティングする行為自体がワクワクしている状態を、私は小説で想定していたわけです。
しかし私は、読み終えたときに読み手になにを残すのか、どう心を揺さぶり感情を動かすのか、については考えが及んでいなかったのです。
だから、読みやすい文章を意識し、PVもそれほど悪くないのに★とフォローの低い作品が多い。
つまり「読み終えたあとの感動」をまるで意識していなかった。
ゲームでいえば『モンハン』にはなっていたが、RPG『DRAGON QUEST』になっていなかった。
『モンハン』にもラスボスのようなキャラはいて、スタッフロールが流れるのですが、それ以降もハンティングを続けられます。
しかし物語の感動はほとんどないのです。
『ドラクエ』は一回の戦闘はたいして興味深くない。
でも物語が進むごとにドラマが生まれて感情を揺さぶってくる。
小説は『ドラクエ』を目指すべきですが、できれば『モンハン』のハンティング要素も欲しいところです。目先のワクワクにも読み手を惹きつける力はありますからね。
「読み終えたあとの感動」を意識していなかったこと。
それこそが、小説賞・コンテストで二次選考へ進めない要因だろうと気づきました。(「カクヨムコン」は一次選考が読者選考なので二次選考は突破していないという判断です)。
小説賞・コンテストの入賞常連さんたちと、一次選考で四苦八苦する私の決定的な違いが「感動」にあったわけです。
それも「読み終えたあとの感動」です。
小説はマンガとは異なり、読み進めるのに数時間から十数時間はかかる娯楽です。
パッと見て良し悪しがわかるマンガではなく、ある程度読み進めないと良し悪しがわからない。
判断できたら躊躇なく離脱する。
それが第一話であろうと、第十話であろうとです。
ですので、現在執筆中の「初ラブコメ」も今のところ「読み終えたあとの感動」を意識していません。
大幅改稿するときに、最終話に「感動」を埋め込むところから始めます。
最終的な決着はせずに、第一シーズン完のような形ですね。
「最終話の先が読みたい」と思わせるだけの「読み終えたあとの感動」があるかどうか。
そこを意識して改稿を進めてまいりたいところです。
今日は本コラムに時間を費やしたため執筆は控えます。
ただ、この気づきは一日休んだ以上の効果を発揮してくれるはずです。
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