第29話 噛み砕いて再生されたもの
「名著の助け」の回の時に、岩波文庫を勧めたんだけどさ。岩波文庫って名著揃いがゆえに小難しい本って多いのよ。特に思想とか哲学とかね。1回読んだだけじゃ「さっぱりわからんでごわす……」って本ね。
そんな時ってね「なんとなくだけど、こんな事が書かれてる」程度の理解でいいんだと思う。その程度の理解でも、これは大切な事が書かれていて、いつか理解したいって気持ちがあれば、きっとまた読む。そしてその時「前に読んだ時よりはわかるぞ!」って思えたら、もう上等。
それでもやっぱり理解できない部分とかはあったりして「これはもう自分には理解できないかも……」って思う時があるんだけど、それはもう「わがんねっす……」って放っておけばいい。
そしたらね不思議にひょんな事で、全く関係ないところから「その小難しい概念」をわかりやすく表現してくれてるものに出会ったりする事がある。
例えばふつうに小説とか読んでて「え、コレって、もしかしてあの小難しい概念の事……?」みたいに感知できる時がある。そしたら突然、霧が晴れたように、難解だった概念が一気に理解できたりする。
作家は当然ながら膨大な数の本を読んでて、難解なモノも私なんかが及びもつかないほど深く理解してて、作家の中で噛み砕かれてる。やがてそれは、その作家独自の言葉となって、わかりやすく再生されて作品の中に落とし込まれたりする。勝手な推測だけどね。
小説を例に出したけど、映画だったり、誰かの話す言葉だったり、色々だけれど「小難しいモノ」がわかりやすく再生されたモノに出会う瞬間がある。でも、それだって、自分が「わがんねっす」と思いながらでも「小難しい本」を読んでなければ、「概念の存在」を知らなければ、気づく事もできないもんね。
「さっぱりわからんでごわす……」「わがんねっす……」みたいな読書も決して無駄にはならないって事、頭の片隅に入れてみてね。
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