第18話 動機
何で読んだのか、もうさっぱり思い出せないんだけども、英語の勉強を始めたという二人の大学生がいたとしてね。
一人の動機は「洋画が好きで仕方がないから字幕なしで一生楽しめるようになりたい」、もう一人の動機は「就職や転職で有利そうだから」。
この場合、5年後に英語の勉強が続いていて上達してるのは、ほぼ間違いなく前者だろうという話を読んだ事があって、深く納得したのね。
自然と湧き上がった歪みのない動機と、打算や目論見から出てきた動機。後者の動機が悪いというのでは決してないけれど、勉強の対象が絶対的に英語でなければならないというものじゃない。もし就職や転職にもっと有利な何かが出てきたら簡単に「ああ英語はいいや、こっちを勉強しよ」ってなっちゃたりね。
人間は自分の中から自発的に湧き上がってくる動機には、すこぶる強いんだと思う。親に「勉強しなさい」と言われた時と、自分で「よし、勉強しよ」ってなった時は全然違ったように。
で、カクヨムで今、いろんな小説を書いてる人はそれぞれに動機があると思うんだけども、自分から湧き出る歪みのない動機を大切にしてほしいね。
たとえば本当は歴史物やミステリー、純文学なんかが好きで一生懸命書いてるけど全然読まれない時、ふらっと異世界とかラブコメなんかの人気ジャンルに目が行って、こういうの書いたら自分も読んでもらえるかなあってなって、実際に書いてみて今までより反応があったりしたら、人間、本当に書きたいものを押しやって、ひとときの悦楽に酔っちゃったりするもんだと思う。
でも「読まれたい反応が欲しい」ただそれだけの動機で本当に書きたいものを脇に押しやって「モテモテで甘々生活なんです〜」とか書いてたら、いつか深刻な自己嫌悪に陥っちゃうよ。
今、プロの作家で名を馳せてる人も無名の時、生活のためにポルノ小説を書いてた事を告白してる人が結構いるけど、そういう作家さんも勇気をもって「自分が書きたいものはポルノじゃない」ってどっかの時点で振り切ったからこそ今があるわけだもんね。
自分の中から自然に湧き上がってくる動機、大切にしたいね。
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