第16話 同時多重鍋と依存症の心理
前に同時多重鍋(同時多重連載)の弊害を書いたんだけど、なぜその状態に陥るのかを依存症の懸念と合わせて書いてみたい。単なる素人の考察ね。
おそらくね、同時多重鍋より先に依存症があるんじゃないかな。SNS依存みたいにカクヨム依存ね。
朝起きた時、仕事から帰ってきた時、期待とともにカクヨムを訪れて赤いインジケーターが灯ってないと、いてもたってもいられなくなる。
「ぜ、全然読まれていないのですね……。他にやる事がないとはいえ、必死で書いたのですね……。なんで反応がないんじゃああっ! 赤いインジケーターが欲しいんじゃああっ!」心が悲鳴を上げる。
「じゃあ、どうすればいい?」 自分に問いかける。
「いい考えが浮かんだのですね! もう一つ連載を始めてみるのですね! 今の作品が、人気がないだけなのですね。新しい作品で変わるかもしれないですものね! ジャンルやテイストも変えてみるのですね! ぼんやりと構想もありますですし!」
落ち込んでいた心が少しアガる。
そして新連載を始める。格段の反応がある。赤いインジケーターが灯る。心が踊る。
「やはり新連載を始めて正解だったのですね! 前の作品もきっちり更新して頑張るのですね!」
でも時とともに、また反応が減ってくる。
「ま、またなのですね……。プライベートをすべて捧げて書いておりますのに、これはあんまりだと思うのですね。同時進行で何本連載しとると思っとるんじゃああっ! もっと読まれたいんじゃああっ!」心がオチる。
たまに赤いインジケーターが灯ると飛び上がって喜ぶ。「もっと欲しいのですね!もっとなのですね! どうしたらいいか頭をひねるのですね……。も、もう一つ連載という手があるのですね……。でも、このあいだ始めたばかりでもありますし……。も、もう一つぐらいなら大丈夫かもなのですね。いけるのですね、書くのは楽しいし、構想もあるのですね。アマチュアは好きに書くんじゃああっ!」
気がついたら、5つも6つも連載を抱えてた。そして赤いインジケーターを渇望する局面にいつも戻ってくる。「もうさすがにこれ以上連載なんて無理なのですね……」
自分でもわかる。すでに滞りは起きてて、どうしても新しく始めたり、反応がある作品に更新が偏ってしまう。それぞれの連載の整合性がとれてるかも把握できない。いろんな作品のキャラやストーリーが混じり合って、訳がわからなくなりつつある。
でも反応がほしい、どうしても欲しい。
「閃いたのですね! 長編はもう無理でも短編なら大丈夫なのですね! 短編ならパパって書けちゃうのですね。短編を書きたいんじゃあああっ! アマチュアは好きを詰め込むんじゃああっ! さ、さらにいい考えが浮かんだのですね! 宣伝を兼ねて自分の作品を解説してみるのがいいと思うのですね!」
残念ながら、こうなってしまうと周囲からは依存症に陥った人間にしか見えない。
悪循環のうずに巻き込まれていく。何かの作品をずっと読んでくれていた人が、なかなか更新がない……、なんか整合性が変……、と離れていく。何か新しいものを始めても、またやってるよ……と認知バイアスがかかる。作者まるごと捨てられる。
どこかでそんな自分に気づいて強烈なブレーキをかけて、今もういちど一つ一つの作品にしっかりと向き合う時がこないと、悪循環のうずから逃れられる日は、きっと来ない。ただの本読みの素人考察でした。
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